政府_(フランス第五共和政)
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フランス共和国政府
Gouvernement de la Republique francaise
中央政府
政府ロゴマーク
概要
創設年1958年10月4日
対象国 フランス
政庁所在地パリ
現行憲法フランス共和国憲法
政体共和制
半大統領制
代表首相
機関
行政府

内閣
ガブリエル・アタル内閣(フランスの省参照)
公式サイト
Portail du Gouvernement (フランス共和国政府公式サイト)
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フランス共和国政府(フランスきょうわこくせいふ、フランス語: Gouvernement de la Republique francaise)は、フランス行政権(執行権)を司る機関である。1958年憲法(第五共和政憲法、以下「憲法」と略す)20条1項は、政府は国の政策を決定し、指導すると定めている。

政府の構成員は大統領により任命される。政府の首長は首相であり、政府は首相の権限の下に置かれる。
構成

政府の首長たる首相大統領により任命され(憲法8条1項)、政府の他の構成員は首相の提案に基づき、大統領により任命される(同条2項)。政府の構成員は政府の構成に関するデクレ(大統領令)により、以下のような序列が付けられる[1]
首相(Premier ministre)
政府の首長。大統領により任命される。首相は大統領に対し、任命する閣僚を提案する。
国務大臣(ministre d’Etat)
政府の次席に置かれる。今日では主として儀礼的な職名であり、実力者に対して副首相格の処遇を与えるために用いられる。国務大臣は、通常は首相が主宰する関係閣僚会議(reunion interministerielle)を主宰する権限を持つほか、閣議(Conseil des ministres[注釈 1])において、自己の管轄とは無関係の事項に関して意見を述べるために発言することが伝統的に許されている。
大臣(ministre)
を所管する。大臣の人数はその時の政府および設置される省に応じて変動する。第四共和政以前は各省大臣(ministre a portefeuille)と無任所大臣(ministre sans portefeuille)または国務大臣とが区別されていたが、今日ではそのような慣行はなく、すべての政府構成員が特定の管轄を有している。
担当大臣(ministre delegue)
大臣、あるいは稀に首相の下に置かれ、一定の権限を委任される。
副大臣(secretaire d’Etat)[注釈 2]
大臣、あるいは時に首相の下に置かれる。
高等弁務官(haut-commissaire)
第五共和政においては、第1次および第2次フィヨン内閣においてのみ任命された。

担当大臣は議題にかかわらず常に閣議に出席するのに対し、副大臣および高等弁務官は議題が自己の管轄と関連する場合のみ閣議に出席する。
権限

政府は国の政策を決定し、指導する(憲法20条1項)。政府の政策および目的に関する決定事項は、法案およびデクレ(政令)の作成という形で表される。政府のあらゆる政策決定は法的な文書となる。すべての法案および一部のデクレは閣議において採択される。政府が政策の方向性を集団的に決定し、重大な措置を実施するのもまた閣議においてである。政府の活動は、集団指導制という重要な側面を有している。

また、政府の活動は軍事力行政機構という2つの実行力によって支えられており、それによって政府は政策に沿った活動の方向性を決定する。

政府は必要最小限の権限だけでなく、非常に広範な権限を有している。具体的に政府は、公共サービスの適正な運営および継続性を確保し、国会の審議手続を指揮する権限を有するほか、経済改革法案に関して、経済社会環境評議会(Conseil economique, social et environnemental)に対し諮問を行うことができる。
職務

定例の閣議(Conseil des ministres[注釈 1])は毎週水曜日の午前にエリゼ宮殿で行われ、大統領が主宰する。閣議によって政府の業務には連帯感が生まれ、また閣議によって政府の業務は集団的に指導される。しかし、政府の業務の大部分を担っているのはそれぞれのであり、あるいはいくつかの省の代表者が集まって行われる会議や委員会である。他方、そのような各種会議に対して首相などが介入することによって、その場で取られた措置や決定の有効性と一貫性が保証される[2]
予算

政府は国の経済財政政策に関して責任を負う。各大臣は予算法律(loi de finances)に基づき、歳入歳出予算を執行する。各大臣は概算要求を作成し、それを予算担当省(ministere charge du budget)に提出する。同省はその要求を承認するかしないかを決定する。同省はまた、次年度の国家予算を編成し、国の年間歳入総額および歳出総額を再編成した補正予算を作成する。

予算法律が執行されるためには、国会の議決を経なければならない。国会は予算法律に対して修正を加えることができる。
その他
兼職の禁止

政府構成員の職務は、国会議員の職務、全国的性格を持つ職能代表の職務、および公職、または職業活動の行使のすべてと両立しない(憲法23条1項)。これは、閣僚に対する外部からの圧力や影響力を避けるとともに、閣僚が政府の業務に集中できるようにするためである。

これに対して閣僚は、市町村長や地域圏議会議員、議会議員などの地方公職を保持することは許される。リオネル・ジョスパンは首相在職時に、政府の職務と地方公職との兼職を厳格に禁止した。この決定は、主として、地方に根を下ろし続けることの証しとして地方公職を保持することを望む者の圧力によって反故にされる前に、以後の政府にとっての先例とされた。
国会との関係

政府は国会に対して責任を負う(憲法20条3項)。特に政府は国民議会(下院)に対して責任を負い、国民議会は不信任動議(motion de censure[注釈 3])によって内閣を総辞職させることができる(憲法49条2項、50条)。

武力介入時には政府は国会に通知しなければならず(憲法35条2項)、また紛争が4か月以上に及ぶ場合には国会の承認を得なければならない(同条3項)。

首相は国会の会議の日程を補充し(憲法28条3項)、あるいは国会の臨時会(session extraordinaire)の開催を請求することができる(憲法29条1項)。
政府事務総局

政府事務総局(secretariat general du gouvernement)は、第五共和政の下で政府の交代があったときに、国家の連続性を保証する機関である。政府事務総局は首相に属し、政府事務総長(secretaire general du gouvernement)の権限の下に置かれる。
省詳細は「フランスの省」を参照

省は、政府に直属する行政機関である。政府の構成員たる大臣が省の長となる。
歴代内閣

首相および大統領の所属政党:       新共和国連合→共和国防衛連合→共和国民主連合→共和国連合国民運動連合共和党       フランス民主連合       社会党      共和国前進      所属とは無関係に共和国前進と協力関係にある首相

代内閣成立年月日終了年月日首相大統領
氏名所属政党
1ミシェル・ドブレ内閣1959年1月8日1962年4月14日ミシェル・ドブレ新共和国連合シャルル・ド・ゴール
2第1次ジョルジュ・ポンピドゥー内閣1962年4月14日1962年11月28日ジョルジュ・ポンピドゥー新共和国連合
→共和国防衛連合
3第2次ジョルジュ・ポンピドゥー内閣1962年11月28日1966年1月8日
4第3次ジョルジュ・ポンピドゥー内閣1966年1月8日1967年4月1日
5第4次ジョルジュ・ポンピドゥー内閣1967年4月5日1968年7月10日
6モーリス・クーヴ・ド・ミュルヴィル内閣1968年7月10日1969年6月20日モーリス・クーヴ・ド・ミュルヴィル共和国防衛連合
7ジャック・シャバン=デルマス内閣1969年6月20日1972年7月5日ジャック・シャバン=デルマス共和国防衛連合
→共和国民主連合ジョルジュ・ポンピドゥー
8第1次ピエール・メスメル内閣1972年7月5日1973年3月28日ピエール・メスメル共和国民主連合


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