放線菌
グラム染色したビフィドバクテリウム・アドレスセンティス
ドメイン:真性細菌
Bacteria
門:放線菌門
Actinomycetota
学名
Actinomycetota
Stackebrandt et al. 1997
タイプ属
アクチノマイセス属
Actinomyces
Harz 1877[1]
(IJSEMリストに記載 1980[2])
シノニム
Actinobacteria
(ex Margulis 1974)
Cavalier-Smith 2020
Actinobacteria
Goodfellow 2012
Actinobacteraeota
Oren et al. 2015
Actinobacteriota
Whitman et al. 2018
下位分類(綱)[3]
アシディミクロビア綱
Acidimicrobiia
アクチノマイセス綱
Actinomycetes
コリオバクテリア綱
Coriobacteriia
ニトリリルプトル綱
Nitriliruptoria
ルブロバクター綱
Rubrobacteria
サーモレオフィラム綱
Thermoleophilia
放線菌(ほうせんきん、羅・英: Actinomyces)は一般に、グラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖する形態的特徴を示すものを指す慣用名である。元来、菌糸が放射状に伸びるためこの名があるが、現在の放線菌の分類は16S rRNA遺伝子の塩基配列による分子系統学に基づいているため、系統的に類縁な桿菌や球菌の菌群も放線菌に含められることがある。このため、もはやこの菌群を菌糸形成という形態で特徴づけることは困難である。
放線菌は高次分類群としてアクチノマイセス門(Actinomycetota、放線菌門)に属する。分類学的には下記に示す多くの属がアクチノバクテリア綱(放線細菌綱)に分類されるが、マイクロコッカス目(Order Micrococcales)の各属のように菌糸形態を示さないものは便宜的に放線菌として扱われないこともある。
ストレプトマイセス属Streptomycesなど典型的な放線菌では空気中に気菌糸を伸ばし胞子を形成するので、肉眼的には糸状菌のように見える。多くは絶対好気性で土壌中に棲息するが、土壌以外にも様々な自然環境や動植物の病原菌としても棲息している。また病原放線菌として知られるアクチノマイセス属Actinomycesとその関連菌群などのように嫌気性を示す放線菌も一部存在する。放線菌のDNAはそのGC含量が高く(多くは70%前後)、それがこの菌群の大きな特徴である。 1875年 フェルディナント・コーン によってヒト涙管の結石から病原微生物として見つけられたのが最初とされている[4]。 学名の Actinobacteria は、ギリシア語で光線、放射を意味する ακτ??(アクティース)とバクテリアを合成したもの。また、放線菌類を意味する一般名詞 Actinomycete は、ακτ?? に、菌類を意味する接尾語 -mycetes(ミュケーテース、語源はギリシア語で菌を意味する μ?κε?(ミュケース))を合わせたものである。 特に冬など寒い季節や落葉の下の寒い場所を好む。竹林など多くの場所に生息している。 堆肥発酵に関与する。放射菌は多様なキチン質を利用するために最も適応したゲノムを持っている[5]。土壌にキチンを増やすと放射菌とまた、グラム陰性菌が増加する[5]。キチンは、カビや[6]、昆虫や甲殻類(カニ殻やエビ殻等)の外骨格に含まれ、土壌改良材に使われている[5]。土壌にキチンを加えることで、キチンは放射菌によるキチナーゼという酵素によって分解され、糸状菌等の病原菌の活性を抑制する効果があるとされる。 以下に放線菌の主な属を示す。
発見
概要
コリネバクテリウム属(Corynebacterium
マイコバクテリウム属(Mycobacterium)ヒト結核菌 Mycobacterium tuberculosis、らい菌 Mycobacterium leprae などがマイコバクテリウム属に含まれる[8]。牛の結核菌であるBCG菌 Mycobacterium bovisも含まれる。
ロドコッカス属(Rhodococcus)ロドコッカス属は土壌、海中など環境中に広く存在している[9]。
プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)プロピオン酸産生菌は、グルコースから乳酸、プロピオン酸、酢酸を産生する。アクネ菌はにきびの原因菌である[9]。
ストレプトマイセス属(Streptomyces)放線菌は特に抗生物質を生産する菌が多いので重要である[4]。抗生物質生産菌の大部分が放線菌に属し、特にストレプトマイセス属(ストレプトマイシンの名の由来)に多い。ストレプトマイシン生産菌、カナマイシン生産菌などがこの属に含まれる[10]。抗生物質の7割がこの属からで、ストレプトマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、リファンピシン、ブレオマイシン、バンコマイシンなど[6]。
マイクロコッカス属(Micrococcus)マイクロコッカス属は好気性でほとんど病原性を有さない。
フランキア属(Frankia)フランキア属はヤマモモやグミなどの根に共生し窒素固定を行う[11]。