放射線物理学(ほうしゃせんぶつりがく、英: Radiation physics)とは、放射線と物質の相互作用を研究する物理学の分野である。
電離放射線が物質に照射されれば、ミクロの世界では(時にはマクロレベルでも)エネルギーのやりとりが発生し、原子・分子や原子核などが散乱したりエネルギーが吸収されたりして、分子結合を破壊したり、原子を励起・電離させたり、放射線の種類やエネルギーによっては原子核へも影響を及ぼす。 放射線には大きく分けて電荷を持ったものと持たないものがあり、特に電荷を持った放射線の場合は物質との電磁相互作用が盛んであり、物質との相互作用で荷電粒子線がエネルギーを失うことを電離損失と呼んでいる。 とくに電子などの軽い荷電粒子線はこの電離損失よりも光を放射してエネルギーを失うこともあり、特にエネルギーが高くなるほどその傾向が強くなる。例えば制動放射、チェレンコフ放射、シンクロトロン放射などがそれである。 X線やガンマ線の場合は物質に当たると、放射線のエネルギーが低い順に、光電効果、コンプトン効果、対生成を引き起こす。更に高エネルギーのガンマ線では光核反応を引き起こす。 中性子線の場合は電荷が存在しないため物質の電子とは直接相互作用しないため電離作用はせず、おもに原子核と衝突することによってエネルギーを失っていく。中性子が衝突した原子核は弾き飛ばされこれも電荷や運動エネルギーを持っており(核爆発でも同じように核分裂生成物は放射線となり、ようは巨大なアルファ線のようなものである)、非弾性散乱の場合はガンマ線などを放射するため、二次的に電離を引き起こすことはある。衝突により失速し最終的に速度を失って中性子捕獲によって捉えられるか、中性子自体約10分の半減期を持っているため放射性崩壊により崩壊して陽子となる。
放射線の種類による相互作用の違い
参考文献
物理学辞典編集委員会 編『 ⇒物理学辞典三訂版』、培風館、2005年、項目「放射線物理学」より。ISBN 4-563-02094-X
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