放射線医学
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放射線医学(ほうしゃせんいがく)とは、放射線を用いた診断や治療等を中心とした医学の一分野である。

医療機関における診療科名は「放射線科」とするところが多いが、「放射線診断科」や「放射線治療科」を標榜することも可能である。高輝度高精細モニタで画像診断を行う放射線診断医。マイクに口述している。シャウカステンにかけたフィルムで画像診断を行う放射線診断医Dr. Macintyre's X-Ray Film (1896)
歴史.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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1895年ヴィルヘルム・レントゲン(Wilhelm Rontgen: 1845.3.27-1923.2.10)博士はX線を発見し、医療への貢献のみならず近代物理学の幕を開いたこの発見により1901年最初のノーベル物理学賞を受賞した。

X線発見と同じ1895年、早速X線による治療が行われている。文献的に最初に報告されたがんのX線治療は、1896年2月のVoigtによる進行期上咽頭がんの疼痛緩和照射である。その後、現代では照射装置や治療計画装置の技術的進歩により、強度変調放射線治療 (Intensity-modulated Radiation Therapy: IMRT) や画像誘導放射線治療 (Image-Guided Radiation Therapy) などより高精度な治療へと発展していった。

また、放射線診断学を支える撮影技術に関しても、発展を続け、単純X線写真をはじめとして、1970年代初頭に実用化したラドン変換を基本原理とするコンピュータ断層撮影、1946年のブロッホ、パーセルによる核磁気共鳴信号検出成功に端を発し、1983年に実用化した核磁気共鳴画像法、そして単一光子放出型コンピュータ断層撮影法 (single photon emission computed tomography: SPECT) や陽電子放射断層撮影 (positron emission tomograpy: PET) といったモダリティーが開発されていった。
分類

大きく以下の三つに分類される。
放射線診断学

放射線診断学

単純X線撮影

CT

MRI

SPECT

PET

超音波検査


画像下治療 (Interventional Radiology, IVR)
放射線診断手技を用いた治療法である。直訳すると「介入的放射線医学」となるが、一般的でなく、「IVR」、「インターベンショナルラジオロジー」と呼称されることが通例である[1]が、それが普及の障害になっているとの考えから関連学会で「画像下治療」と言う訳語が定められた[2]。主に経皮的アプローチにより行なわれ、注射針や細いカテーテルと呼ばれる細い管を用いて血管内から病変部へアプローチするものや、肺や肝臓などに体外から直接針を刺入した上で、病変部の生検をしたりや針先からラジオ波を流すことによるジュール熱によって病変を焼き切ったりするものなど、診断治療への介入は多岐にわたる。従来の手術治療と比べ体への侵襲が少ない方法であり、一部の手術療法の置換による低侵襲化および耐術能に乏しい患者の代替治療の提供を目的として発展してきた。以前は、血管造影や超音波、透視下による治療部位の把握が中心であったが、最近ではCT、MRI等も応用されている[3]。治療対象および方法はかなり広範であり、日進月歩の著しい分野である。治療を行なう部門ではあるが、診断部門に分類される。

Vascular IVR

Non-vascular IVR
この他に放射線透視下において、消化器内科的には血管以外に経皮的に胆管を造影したり(ERCP)内容物のドレナージを行う(PTCD)などの手技や、整形外科的には非観血的に骨や関節を整復するなどの手技がある。
放射線治療学

放射線療法(radiation therapy, radiotherapy: RT)
高エネルギーのX線、電子線(electron)、陽子(proton)、重粒子線(heavy particle)、中性子(neutron)などを照射し、体を突き抜けて悪性細胞に到達し、死滅させるという治療である。現時点では、主に高エネルギーX線、電子線が用いられており、X線は身体内部の腫瘍、電子線は皮膚がんなどの体表面やそれに近い腫瘍の治療に用いられている。一方で、陽子線治療重粒子線治療の施設も増えつつあり、また研究レベルでは照射した中性子が薬剤と反応してアルファ線とイオンを放射しがん細胞を傷害するホウ素中性子補足療法(BNCT)の施設も設置され始めている。陽子線・重粒子線治療・BNCTの卓越した線量分布は強度変調放射線治療よりも理想に近く、有害事象の軽減が期待されている治療である。陽子線・重粒子線治療は日本での施設設置当時から2016年ごろまでは、治療技術の確立や治療成績に関する信頼できる論文が少ない事が問題であったが、2022年現在では治療成績に関する論文なども多く報告されている。陽子線治療は2022年現在、小児がんの限局性固形腫瘍、限局性及び局所進行性前立腺がん、頭頸部悪性腫瘍、手術困難な骨軟部腫瘍、4センチメートル以上の切除不能肝細胞がん、切除不能肝内胆管がん、切除不能局所進行膵がん、切除不能局所大腸がん術後再発病変に対して保険収載されている。重粒子線治療では、陽子線治療の保険適用に加えて子宮頸部腺がんが保険適用となっている。
核医学詳細は「en:Nuclear medicine」および「RI内用療法」を参照

核医学とは、放射性同位元素 (radioisotope; RI) やその化合物の生体内(in vivo)や試験管内(in vitro)の挙動を追跡し、診断・治療を行う医学分野である[4]。核医学画像は、CTやMRIといった他の診断用画像と根本的に異なる側面を持っている。その違いは、CTやMRIは形態画像と呼ばれ、患者の解剖学的な構造を画像に反映するのに対し、核医学画像は機能画像と呼ばれ、種々の放射性薬剤を用いた生理・生化学的機能情報を画像に反映する点にある[5]

核医学検査
核医学検査においては、放射性を放出するアイソトープを含んだ薬品(放射性医薬品)を投与し、ガンマカメラ(シンチカメラまたはアンガー型カメラとも呼ぶ)で体内での動態を計測する[6]。アイソトープ検査、RI検査ともいわれる。

核医学における検査・計測条件と目的による分類[7]

in vivo(インビボ)
非密封RIを体内に注射し、各種臓器の機能や動態を直接計測する。

骨シンチグラフィー(骨シンチ)や18F-フルオロデオキシグルコース・陽電子放射断層撮影(18F-FDG-PET:positron emission tomography)などが、これにあたる。



in vitro(インビトロ)
生体から採取した血液や尿などからホルモンなどの微量物質を生体外で測定する。

核医学による治療

131Iによって、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんのうち、乳頭がんと濾胞がんの治療を行なう。ヨード内用療法。

90Yによって、一部のリンパ腫の治療を行なう。(商品名:ゼヴァリン)

89Srによって、骨シンチで取り込みのある全身性の有痛性多発骨転移に対して、疼痛緩和を図る。(商品名:メタストロン)

223Raによって、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して、全生存期間(中央値)を11.1ヶ月から14ヶ月へ延長する[8]。2016年6月販売開始。(製品名:ゾーフィゴ)

医療被曝「被曝」も参照

医用画像における実効線量
対象臓器検査実効線量(大人)[9]環境放射線
等価時間[9]
頭部CT単純CT2 mSv8カ月
造影剤を使用4 mSv16カ月
胸部胸部CT7 mSv2年
がん検診のための胸部CT1.5 mSv6カ月
胸部単純X線撮影0.1 mSv10日
心臓冠状動脈CT血管造影12 mSv4年
冠状動脈CT、カルシウム走査3 mSv1年
腹部腹部・骨盤CT10 mSv3年
腹部・骨盤CT、低線量プロトコル3 mSv[10]1年


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