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放射性降下物(ほうしゃせいこうかぶつ、英: nuclear fallout)またはフォールアウト(英: fallout)[注釈 1]とは、核兵器や原子力事故などで生じた放射性物質を含んだ塵を言う[1]。広域な放射能汚染を引き起こす原因はこの放射性降下物である。
一般には死の灰という俗称で知られる[注釈 2]。日本では第五福竜丸事件が有名である。 核実験については、米ソを中心として大気中での核実験が1950年代から1963年に部分的核実験禁止条約が締結されるまで行なわれた[注釈 3]。その結果として、ウラン・プルトニウムの核分裂で生じた核分裂生成物が地球環境に拡散し、地上に降下して土壌や水環境中に微量に存在することとなった[注釈 4]。そのような核実験などを原因として降下してくる核分裂生成物を放射性降下物(フォールアウト)と呼ぶ。なお、放射性降下物が発生する原因としては原子爆弾、核実験、原子力関連施設事故がある。 放射性降下物が原因である大きな被曝事件としては、1954年に発生した遠洋漁船第五福竜丸がビキニ環礁での核実験の際、船員が被爆し、帰国後に1名が死亡した「第五福竜丸事件」がある[注釈 5]。詳細は「第五福竜丸」を参照 原子力発電所の原子炉が事故を起こすと大規模な災害となることがある[注釈 6]。 核爆発は、火球の中のすべての物質を気化・プラズマ化させる。核爆発が地表に近かった場合には火球に触れた大地も同様になり、これが残留電離放射線に結合して降下物を生む。その残留電離放射線の発生源としては、主に核分裂生成物[注釈 7]、核分裂に寄与しなかった核物質[注釈 8]、中性子による放射化[注釈 9]がある。 核爆発のあと、火球の熱で蒸発した核分裂生成物、未反応の核物質、および兵器の残留物は、凝縮し、直径10nmから20μmの微細な粒子となり、懸濁物をなす。これらの粒子はすぐに成層圏へ上昇し、特に爆発規模が10キロトンを超える場合は、気流によって拡散し、数週間、数ヶ月ないし数年後に地表へ漸次沈降する。これが世界規模の降下物となるのである。 地表に沈降した放射性物質は降雨などにより地下水へ移動し、これらを汚染する他、植物に栄養素の一部として取りこまれてこれらを汚染し、汚染された植物を食べた草食動物、及びこれらを捕食する肉食動物を汚染する。これを生物濃縮という。したがって世界規模の降下物によって生じる生物学的な影響は長期間続く。これらの放射性物質を含んだ食物を人間が摂取した結果、長寿命の放射性核種(ストロンチウム90、セシウム137のような)が体内に蓄積する恐れがあるためである。ストロンチウムは同族元素であるマグネシウムやカルシウムに性質が似ているため骨や代謝系に、セシウムは同族元素であるナトリウムやカリウムに性質が似ているため体液や筋肉にそれぞれ浸透し、そこから放たれる放射線によりダメージを受ける。 英国の作家ネビル・シュートのSF小説『渚にて』では、放射性降下物により死滅していく世界が著述されている。 ネプツニウム237は、核兵器の爆発によって生成する[3] ことから、核実験の世界規模の放射性降下物として知られている[4]。なお、ネプツニウム237は、ウラン238が高速中性子照射によって生成するウラン237がベータ崩壊して生成する[3]。 地表面または水面における爆発では、大量の土または水が火球の熱で蒸発し、レイリー・テイラー不安定性により放射性のキノコ雲となって上昇する。この物質は、凝縮するときに核分裂生成物やその他放射化した物質と結合する。地表/水面爆発により、直径100nm未満から数ミリメートルの大量の粒子と、地球的規模の降下物に寄与する非常に細かい粒子が生成される。大きい粒子は成層圏まで上昇しないので、局地的な降下物として、およそ24時間以内に地表に沈降する。広島で使用された核爆弾の場合、木造家屋や草木等の有機物の多い環境で爆発したため、核爆発によって直接、及び二次的に発生する火災などにより間接的に多量の煤(すす)が生じ、これらを含む粒子が核爆発や火災によって生じた気流の乱れから発生した局地的な降雨と共に地表に降り注いだ。これがいわゆる「黒い雨」である。 局地的降下物による深刻な汚染は、爆発、熱線よりもはるかに遠くまで届く。特に高エネルギーの地表爆発の場合には、爆発から発生した降下物の、地表での形状は、爆発の風下方向に細長くぼやけた楕円形になる。それは一回の爆発で長さ数百キロメートル、幅50キロメートルになることもある。放射線医学的に汚染された区域に人間がいた場合、こうした汚染が即時外部被曝をもたらし、また放射性汚染物を吸い込む、または飲み込むことによる内部被曝も起こりうる。 水面爆発(及び浅い水中爆発)の場合、そこで発生する粒子は軽く小さくなる傾向がある。このため局地的な降下物は少なくなるが、より広い区域に拡散する。粒子は大部分が水分を含んだ海の塩で構成される。これらは雲の種となって局地的な降雨を生じ、重大な局地的降下物のある地域を生じることがある。地下爆発では、「ベースサージ」(base surge)と呼ばれる現象が付随して発生する。ベースサージとは地下爆発で生じたきのこ雲の基部に発生する、柱状に下から上へ広がる雲である。水中爆発では、目に見えるサージは、あたかも一体の連続した液体のように流れる、液体(水)の粒子の雲である。地下爆発では、サージは小さな固体粒子でできているが、液体のようにふるまう。地下爆発では土はベースサージの形成に有利に働く。 気象の条件は局地的な降下物に影響を与える。風により降下物は拡散する。
概要
原子力発電所事故に伴う放射性降下物(fallout from nuclear power plant accidents)
「チェルノブイリ原子力発電所事故」、「スリーマイル島原子力発電所事故」、および「福島第一原子力発電所事故」も参照
降下物の発生源
降下物の種類
世界規模の降下物
ネプツニウム237
局地的な降下物
降下物に影響する因子
場所
気象
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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