損害保険契約
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

損害保険契約(そんがいほけんけいやく)とは、損害保険に関する契約である。
損害保険契約の定義

損害保険契約は、「保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するもの」をいう( 保険法第2条第6号)。

ここでいう、「保険契約」とは、「当事者の一方が一定の事由が生じたことを条件として財産上の給付(生命保険契約及び傷害疾病定額保険契約にあっては、金銭の支払に限る。以下「保険給付」という。)を行うことを約し、相手方がこれに対して当該一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)を支払うことを約する契約」(保険法第2条第1号)であり、必ずしも保険金の形で金銭を交付する義務を負っていない。
損害保険契約の法的性質

損害保険契約は
双務契約である。保険契約が成立すると、保険者は一定期間内において条件付きで保険給付支払義務(危険負担義務)を負い、契約者は保険料支払義務を負う。債務不履行の場合には民法の一般原則が適用されるが、なかには同時履行の抗弁(民法第533条)など、約款で修正されるものがある。

損害保険契約は有償契約である。保険契約では、保険者の提供する危険負担給付と保険契約者の支払う保険料給付とが対価的な関係にたっている。

損害保険契約は諾成契約である。保険契約を締結する場合、個人・企業が「申し込み」の意思表示を行い、保険者がそれを受け入れる「承諾」の意思表示をすれば、契約が成立する。ただし、保険者に保険責任が生じるためには約款上、保険料の支払いを要するとしていることが多く、要物契約(当事者の合意だけでなく目的物の交付によって成立する契約。ここでは保険料の支払いが目的物)と誤解されることが多いが、保険契約を要物契約と規定する法律は存在しない。

損害保険契約は不要式契約である。保険契約を締結するための申し込みの意思表示は、口頭でも文書でもよく、特別の方式は法律で定められていない。ただし、保険者は、損害保険契約を締結したときは、遅滞なく、保険契約者に対し、保険法第6条各号に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない(保険法第6条)。

損害保険契約は射倖(しゃこう)契約である。射倖契約とは、当事者の一方または双方の契約上の義務が具体化するか否か、またはその大小いかんが偶然の約束事によって左右されることを本質とする契約のことをいう。保険契約者が負担する保険料支払債務が確定債務であるのに対して、保険者の負担する保険給付支払債務は条件付きの債務となっている。少額の保険料で高額の保険給付が得られる可能性がある損害保険契約は、この射倖契約の性質があるため、例えば保険金目当ての犯罪に結びつくなどの公序良俗に反することのないよう、次の規制により、契約者・被保険者に対して高度な善意および信義誠実が要請されている(この点を評して、保険契約は最大善意の契約と呼ばれている)。

被保険者が被保険利益を有しないときは、損害保険契約は無効

保険契約者又は被保険者になる者は、契約締結時に、重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたものを告知する義務を負う(保険法第4条)

保険者は、保険契約者又は被保険者の故意又は重過失によって生じた損害をてん補する責任を負わない(保険法第17条)。ただし個別商品において、約款で重過失は免責としないものがある



損害保険契約は附合契約である。保険契約を締結する場合、具体的な契約内容について保険会社と自由に交渉する余地は特に個人保険の場合ほとんど残されておらず、契約者は保険者が一方的に作成した契約内容(保険約款)を包括的に承認するか、拒絶するかの選択しかない。複雑で大量の商品を、簡易・迅速かつ安全に取引するために、契約自由の原則(内容の自由)が制限され、契約が定型化、標準化されている。

損害保険契約を規律する法律
損害保険契約を直接規律するもの

損害保険契約を規律する法律として、以下のようなものがある。

民法

商法

保険法

保険業法-保険契約の締結又は保険募集に関する禁止行為や、保険契約の申し込みの撤回等を規定している

消費者契約法

自動車損害賠償保障法(自賠法)、原子力損害の賠償に関する法律(原子力損害賠償法)-これらの法律では、被害者の保険会社に対する直接請求権を規定している。

各取引主体を通じて損害保険契約を間接的に規律するもの(監督法)
保険会社を規制するもの

保険会社の組織・業務は保険業法(平成7年法律第105号)で規制される。特に、同法第128条(報告または資料の提出)?第134条(免許の取消し等)により事業内容の詳細が規制される。損害保険契約の中心をなす約款の内容は第4条(免許申請手続)第2項、第5条(免許審査基準)第1項に基づき、監督行政を通じて規制される。「保険業は、内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ、行うことができない」(第3条第1項)が、保険業を営もうとする事業者が行う免許申請に際しては、(1)定款、(2)事業方法書、(3)普通保険約款 、(4)保険料および責任準備金算出方法書等が審査される。企業分野の保険では、既に認可を得た事項について一定範囲内で届出により変更可能とされている(保険業法第123条(事業方法書等に定めた事項の変更) および保険業法施行規則第83条(事業方法書等に定めた事項の変更に関する届出)を参照)。
その他の法人を規制するもの

独立行政法人日本貿易保険を規制する日本貿易保険法、船主相互保険組合を規制する船主相互保険組合法、火災共済協同組合その他各種協同組合を規制する中小企業等協同組合法がある。なお、上記に挙げるような根拠法のない共済事業については平成18年4月の改正保険業法の施行により小額短期保険業 あるいは保険業として規制されることとなった。

(注)以下は、これらと区別の法律により規制されるものを除き、一般に損害保険会社との間で行われる損害保険契約について取り上げる。
個人を規制するもの

保険業法第186条第2項 では、個人でも海外の保険会社等と保険契約を締結する場合には予め許可が必要としている。許可を受けない場合には50万円以下の過料に処せられる場合がある(保険業法第337条第1項)。なお、この許可申請は金融庁ホームページで電子申請 が可能である。
普通保険約款

普通保険約款に(最低限)何を定めるべきかについては、保険業法施行規則第9条に規定がある(絶対的記載事項)。その他の規定を約款に置くこともできる(任意的記載事項)が、公序良俗、法令に反することはできない。ここでは、「行政」「法律」「裁判」による記載について取り上げる。
行政による契約内容への介入
基礎書類

保険業を営もうとする者による免許申請手続は、保険業法第4条(免許申請手続)第2項、規則第8条第1項第6号に基づき行われる。審査基準は保険業法第5条(免許審査基準)に定められている。認可を受けた事項の変更は、保険業法第123条(事業方法書等に定めた事項の変更)第1項、第124条(事業方法書等に定めた事項の変更の認可)1項に定める手続きよる。監督官庁である金融庁は、保険会社に対し第131条(事業方法書等に定めた事項の変更命令)に基づき、認可・届出内容の変更を命じることができる(この場合は、変更命令後に引き受けられる保険契約からの適用となる)。なお、認可違反であっても契約は有効であり。行政罰は別の問題である。
契約のしおり

保険会社は約款および契約に関する説明を記載した「契約のしおり」を、保険業法第100条の2(業務運営に関する措置) および保険業法施行規則第53条第1項第8号に従い、契約者に対して交付するが、この契約のしおりに記載された内容も契約の一部を構成する。
裁判による契約内容の修正

約款解釈の態度は「客観的に」かつ「平均的な保険契約者の理解可能性」を標準として行うべきであるとされる。裁判所は一般に約款の拘束力を認めている。火災保険の例だが、大正4年12月4日大審院判決(民録21輯(しゅう)2182頁)がある。

裁判実務において約款解釈が保険者に不利とされる「作成者不利の原則(疑わしきは約款作成者不利に)」は、信義則(民法第1条第2項)から導き出される。保険者は約款を一方的に作成しうる地位にあるが、そうした地位にある保険者としては自己の利益のみを考慮した約款を作成することは許されず、その内容を公正なものとすることが信義則上要請されるからである。また、保険契約者にとって保険約款を完全に理解することは難しく、契約条件を十分に理解しないまま契約が締結されることも少なくない。なお、この「作成者不利の原則」は、約款の拘束性を認めたうえでの解釈指針にとどまるものであることに注意が必要である、つまり、前記のとおり行政による契約内容への一定程度の介入があることを前提とすれば、法的安定性の要請から、裁判所の解釈による修正は、文字通りの意味ではとくに不合理な結果となる場合に限定され、解釈により修正が行われる場合でも比較的狭い範囲に限定することが適当とされている。

例1 最高裁平成9年3月25日判決(民集51巻3号1565頁)で、火災保険普通保険約款第22条ただし書にある「30日条項」は合理性がなく、当該期間経過後は保険金支払の遅滞責任がある、とされた。

例2 最高裁平成15年7月18日判決(民集第57巻7号838頁)で、税理士特約第5条第2項に関し、モラルリスクがない場合には適用されないとされた。

損害保険契約成立の要件
当事者・関係者


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