揮発油
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ガソリン 金属製ガソリン携行缶20 L 自動車用レギュラーガソリン

ガソリン(瓦斯倫、イギリス英語: petrol、アメリカ英語: gasoline)とは、石油製品の一種で、沸点摂氏30度から220度の範囲にある石油製品(および中間製品)の総称。この名称は、「gas(ガス)」とアルコールやフェノール類の接尾辞である ol と不飽和炭化水素の接尾辞である ine に由来する。

ガソリンは代表的な液体燃料である。アメリカ合衆国では「ガス」と呼ばれることが多く、日本で自動車の燃料切れを意味するガス欠はこれに由来する。また常温揮発性が高いため、日本の法令などでは揮発油(きはつゆ)と呼ばれる場合がある。目次

1 概要

2 合成ガソリン

3 ガソリンの用途

4 自動車用ガソリン

4.1 規格

4.2 有鉛ガソリンと無鉛ガソリン

4.3 アンチノック性による分類

4.3.1 ヨーロッパ

4.3.2 日本


4.4 混合燃料・代替エネルギーへの転換

4.5 不純物が含まれたガソリンの記録


5 航空用ガソリン

6 工業ガソリン

7 保管中の品質低下

8 ガソリン税制

8.1 ヨーロッパ

8.2 日本

8.2.1 自動車用ガソリン

8.2.2 航空用ガソリン



9 ガソリン価格の動向

10 参照資料

11 脚注

12 関連項目

13 外部リンク

概要

ガソリンは常温において無色透明の液体で、揮発性が高く、臭気を放つ。主成分は炭素水素が結びついた、炭素数4 - 10の炭化水素の混合物で、密度は一般に783 kg/m3である。硫黄窒化物などの不純物が含まれているが、製品にする際は脱硫などの工程により大部分が取り除かれる。

引火点は-40℃以下で、常温でも火を近づければ燃焼する。揮発したガソリンは空気より3 - 4倍重いため、床面または地面など低いところに沿って広がる。比重が1以下のため火災時に水を注入すると、飛び散ったり下に入り込んだ水で炎が拡散することから、B火災(油による火災)に対応した消火器が必要となる[1]

また前述のように室温であっても容易に揮発し、条件によっては爆発的に引火するため、静電気程度のわずかな火種であっても爆発してしまい、実際に事故も発生している(例:名古屋立てこもり放火事件)。また大量のガソリンによる火災は爆燃現象が発生し消火や避難が間に合わないこともある(例:京都アニメーション放火殺人事件[2]

交通事故ガソリンエンジンのエンジンルームや燃料タンクなどを損傷した場合は、消防隊員や警察官、自動車整備士等が許可した場合を除き、絶対にエンジンを再始動したり、ハザードランプや発炎筒を使用してはならない。衝突事故に伴う車両火災を防止する観点から、バッテリーや配電盤、電気配線を潰れやすい位置に配置したり、エンジンの制御プログラムに緊急停止機能を実装することで、衝突と同時にエンジンを停止させられるような構造になっている車種もある。

ガソリンは高度な石油化学工業製品であり、ガソリンの生産には高度な技術と大規模な石油化学工場が必要となる。このため、ほとんどの産油国では原油を輸出し、ガソリンを輸入している。

ガソリンのうち低沸点(摂氏30 - 120度程度)のものは、溶剤やしみ抜きなどに用いられる。衣類などの脂溶性の汚れをとるための溶剤としても使われる(日本ではベンジンと呼ばれる)。

日本では消防法第2条第7項に定義されている。危険物に該当し、第4類危険物第1石油類に分類される。政令や火災予防に関する市町村の条例によっても危険物の取り扱いには規制が設けられている[3]。また、労働安全衛生法施行令の別表第6の2において有機溶剤にも掲げられている。
合成ガソリン

メタノール、気体の天然ガス(LNG)や低品位な石炭である褐炭などを原料として、触媒を使用した炭化水素合成反応によって得られる液状炭化水素(人造石油)のうち、沸点範囲がガソリンと同等な液状物質のこと。第二次世界大戦以前の日本やドイツでは石油資源が稀少であったため重要な戦略物質であった[4]


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