接続法
[Wikipedia|▼Menu]

接続法(せつぞくほう、ラテン語: coniunctivus、: subjunctive、: subjonctif、: Konjunktiv、: congiuntivo、西: subjuntivo)は、インド・ヨーロッパ語族に属する言語でのの1つ。勧告・命令・禁止・願望・後悔など、願われたことや考えられたことを述べる (mood) である。対語は直説法 (indicative mood)。

英語ではあまり意識されることはないが、フランス語ドイツ語など英語以外の言語では頻繁に使われる。なお、日本語では英語にある subjunctive と呼ばれる同様の法に仮定法という訳語を当てているが、ここでまとめて取り扱う。

主な使い方としては、

命令法の代用(特に一人称複数三人称の活用を使う敬称二人称への命令)

意見や不確実な概念などの表現

現在や過去の事実に反する仮定(例:「もし私が鳥だったら…」)

現在はまだ起きていないが、将来起きる可能性のある事象(例: 「この法案が可決された場合…」)

が挙げられる。

総じて、直説法と対比すると、その内容が実際に成立している、事実であるという話者による主張を少なくとも直接的には伴わず、内容そのものとして、想定されうる事態として提示するときに使われる傾向がある。日本語で言えば、「……ということ」に当たるような用法である。そのため、間接話法や間接疑問文、目的文や結果文などの従属文で使われる。主文に接続し、それだけでは多くの場合完結しないというこの点が、接続法という名の由来である。多くの場合、従属文では、そこで述べられる事態は、(結果文は例外であるが)それが事実であると述べることには主眼がなく、その内容自体がどのようなものであるかに主眼がある。ただし、印欧語でも言語によっては上記のものについても接続法以外の活用で対応するものもあるため、この辺りには一定の基準はない。
英語の仮定法

英語の場合、接続法を学校文法では、仮定法と特に呼ぶことがある。日本語の「仮定」の意味と紛らわしいため、かつては「叙想法」という言葉で呼ぶ者もいた。
仮定法過去

仮定法過去 (subjunctive past, past subjunctive) とは、動詞および助動詞の過去形を用いて現在の事実とは反対の仮定、想像、実現不可能な願望を表現する。be動詞は、wereを用いる。ただし、実際に過去の時制を表しているわけではなく、あくまで過去形を使うことから来る命名である。現在では、とくに米国において口語的に単数一人称主語"I”に対してwasを使うケースも増えている。

かつては独自の語形変化であったが、そのほとんどが過去形の語形変化と一致していたため、区別が失われ、be動詞以外全く過去形と同じ変化形になったと考えられている。

1. ifに導かれる条件節などで用いる場合(省略形や分詞構文を用いる場合もある。仮定法過去完了も同様)

If it were not for him, the project would fail.
= Were it not for him,
= But for him,
= Without him,

(彼がいなければこの計画は失敗していただろう。)
=Achieving the project is owed to him. (直説法;そのプロジェクトが達成できたのは彼のおかげである)

2.「wish that-節+過去形」で実現不可能な願望を表す。「?ならいいのに」

I wish I could marry the newscaster [actress]. (あのアナウンサー[女優]と結婚できたらなあ)

3. 様態を表す「as if / as though+過去形」「あたかも?であるように」

She looks as if she were ill. (彼女はあたかも病気であるかのような顔をしている。)

4. It is time+過去形「もう?する時間だ」

It is time that you went to school. 「もう学校へ行く時間だ」

仮定法過去完了

仮定法過去完了 (subjunctive past perfect) とは、動詞および助動詞の過去形+完了形を用いて過去の事実とは反対の仮定、想像、実現不可能な願望を表現する。

If I had caught the train, I would have been in time for school.
= Catching the train, ※分詞構文が必ずしも時制を一致させるとは限らない。

(その電車に乗れれば、学校に間に合ったのに。)
= As I didn’t catch the train, I’m late for school.(直説法;電車に乗り遅れたので、学校に遅刻した。)

Without the sun, all living things couldn't have existed.
= Had it not been for the sun,
= If it had not been for the sun,

(太陽がなければ、全ての生き物は発生しえなかっただろう。)
= Thanks to the sun, all living things were able to exist.(直説法;太陽があるおかげで全ての生き物は発生することができた。)
仮定法現在

仮定法現在 (subjunctive present, present subjunctive) とは、英語の仮定法のうち、期待、願望、主張、命令、評価、提案、勧誘、要求、危惧などを表す語に伴って現在ないし未来における仮定や想像について、動詞の原形、もしくはmayやshouldなどを伴って表現する。ただしそれ自体で特別な時制を表すものではない。

1. 期待、願望、主張、命令、要求、提案などを表す動詞に伴うThat節

I desired that the exam [should] be postponed until the next week.

(試験が来週まで延期されることを望んだ)

He asked me that the book [should] be returned.

(その本を返してくれと言った。)
※そのほか、suggest, order, request, propose, demand, insist, expect, bid, advise, beg, declare, decideなどが導くthat節で用いられる。

2. 評価(必要、重要、当然)などを表す形容詞と共に

It was important (necessary, impossible) that he [should] send the letter immediately.

(彼にはその手紙を直ちに送るのが重要(必要、不可能)だった。)

It's natural you should get confused.[1]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef