探偵物語
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この項目では、1979年から1980年に日本テレビ系列で放送されたテレビドラマについて説明しています。その他の用法については「探偵物語 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

探偵物語
ジャンルコメディ、アクション
ドラマ:探偵物語
監督村川透、他
制作東映芸能ビデオ
放送局日本テレビ
放送期間1979年9月18日 - 1980年4月1日
話数全27話
映画:蘇る優作 -探偵物語特別編-
監督村川透、澤田幸弘
封切日1998年2月
上映時間107分
小説:探偵物語
著者小鷹信光
出版社徳間書店
レーベルトクマ・ノベルズ
巻数全2巻
その他1998年、幻冬舎より文庫化
小説:新・探偵物語
著者小鷹信光
出版社幻冬舎
レーベル幻冬舎文庫
巻数全2巻
テンプレート - ノート

探偵物語
ジャンル探偵ドラマ
原案小鷹信光
企画加藤教夫(NTV
黒澤満東映芸能ビデオ
出演者松田優作
成田三樹夫
山西道広
竹田かほり
ナンシー・チェニー

音楽SH?GUN
オープニング「BAD CITY」SH?GUN
エンディング「LONELY MAN」SH?GUN
国・地域 日本
言語日本語
話数27
製作
プロデューサー山口剛(NTV)
伊藤亮爾、紫垣達郎(東映芸能ビデオ)
編集鍋島惇
制作東映芸能ビデオ

放送チャンネル日本テレビ系列
音声形式モノラル放送
放送期間1979年9月18日 - 1980年4月1日
放送時間火曜日21:00 - 21:54
放送分54分
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『探偵物語』(たんていものがたり)は、1979年9月18日から1980年4月1日まで日本テレビ系列で全27話が放送されたテレビドラマ。主演は松田優作

原案を務めた小鷹信光が小説版を執筆しているが、これらは原作として書かれたものではなく、ドラマの企画から派生したものである。小鷹が原作者ではなく「原案」とクレジットされているのはそのためである。

なお、同一タイトルの映像作品として、同じく松田優作が探偵役で出演した1983年の映画『探偵物語』があるが、同作は赤川次郎の同名小説を原作として角川春樹事務所(旧)が製作した別作品であり、本作との関連はない。
概要

私立探偵の工藤俊作が、街の仲間達の協力を得たり、彼を邪魔者扱いする刑事たちを手玉に取りつつ、様々な事件を捜査していく様を描いたドラマである。

当時、松田が所属していた夢屋事務所の代表・笹岡幸三郎が、東映芸能ビデオに籍を置いていた黒澤満からテレビ製作の誘いを受けたことが企画の発端となる[1]。企画の具体化に伴い、プロデューサー山口剛早稲田大学在学時代からの友人でハードボイルド評論家翻訳家である小鷹信光を招いてハードボイルド講習会を主催するなど、企画段階では小鷹自身のハードボイルド論に基づいて本格的な主人公の設定が提案された。しかし、実際の映像ではアドリブが頻発するなど、本気と冗談が入り混じった独特の世界観が築かれた。第12話「誘拐」では工藤俊作がアドリブでカメラに向かって「日本のハードボイルドの夜明けはいつ来るんでしょうかね、小鷹信光さん」と問いかける一幕もあった。

こうした口数が多くコミカルな演技は、サム・スペードフィリップ・マーロウに代表されるシリアスでニヒルなハードボイルドのヒーロー像とは相当に毛色が異なっており、むしろリチャード・S・プラザーが生み出した海兵隊上がりの私立探偵、シェル・スコットやヘンリー・ケインが生み出したプレイボーイ探偵、ピーター・チェンバーズなど、いわゆる「通俗ハードボイルド」に登場する私立探偵に近い人物造形となっている。

また松田が担当した予告編ナレーションは独特の口調で語られたものだが、これもピーター・チェンバーズのシリーズを多く手がけた中田耕治の訳文を彷彿とさせるものがあった[注釈 1]。しかし、松田のナレーションは回を重ねるごとにエスカレートし、後半はあらすじがまともに紹介されず、撮影現場の裏事情、愚痴、共演者の悪口、松田自身の近況報告に終始するなど、楽屋ネタが連発された。楽屋ネタは予告編だけでなく、ドラマ劇中でも第17話での「お前ら、来週から来なくていい。プロデューサーさんにそう伝えとくわ」、第25話での「あと2回だと思うとファ?ッとやる気が落ちるんだよ」など頻発した。ただし、最終回は一転してシリアス色が極めて強いストーリーが展開され、予告も松田、成田、山西、監督の小池要之助の4人を被写体にした挨拶という内容であった。

局側は同時間帯のドル箱シリーズである『大都会』で定着したハードアクション路線の継承を要求していたが、最終的には松田の演技志向が優先される結果となった。一方で第3話ではカーチェイスシーンが挿入されており、同シーンにて工藤が「おいおい、まるで『大都会 PARTIII』じゃないか」と前番組の余韻を皮肉るアドリブを披露していた。この第3話は最初に撮影され、当初は第1話として放送される予定であったが、後発の村川透監督の作品が「こちらの方が今の時代に合う」というプロデューサー全員の一致した意見で放送順が変えられた経緯がある。

製作主体は東映傘下の東映芸能ビデオだが、プロダクション業務は東映東京撮影所ではなく調布市にっかつ撮影所内で行われていた。演出陣も前番組『大都会』と同じくニューアクション勢を中心とした日活出身者でほぼ占められ、他に東宝の西村潔と助監督昇進者が加わったのみで、東映出身者がゼロという点も異例である。一方で文芸面では、それまで日本テレビ火曜夜9時枠を支えたシナリオライター陣の多くがテレビ朝日系列の『西部警察』へ抱え込まれたことから、本作がデビューとなる丸山昇一を中心に、田中陽造桂千穂白坂依志夫内田栄一など、ベテランや若手を問わず多彩なライター陣が新たに迎えられた。唯一、柏原寛司のみが『西部警察』と本作を同時並行で執筆している。

放送開始当初の視聴率は20%の大台に乗る好調なスタートを切っていたが、中盤以降は10%台前半にまで大きく数字を落とし、当時アクション路線を強調していた火曜夜9時枠の作品としては異色作扱いされ、一時はマイナーな作品として見られていた。しかし、松田の死後に追悼企画として再放送されたのを機に新規のファンが増加し、現在では松田の入門的かつ代表的作品として各方面に強い影響を与えている。
登場人物
工藤 俊作 -
松田優作
東京に工藤探偵事務所を構える私立探偵。ユーモア自由を愛する男。横浜で育ち、サンフランシスコ市警察刑事として勤務していた過去を持つ。とある事件で仲間を殺害された悲しみから仲間を作ることを恐れるようになり、日本に戻る[注釈 2]。黒いスーツ(白や茶のストライプスーツを着ることもある)と派手なカラーシャツを着こなし(ベルトは使わずサスペンダーを着用)、ソフト帽とサングラスを愛用。冬季はスーツの上からダウンジャケットを着込む(第23話、第24話のみテーラードコートを着用)。移動手段はベスパP150X[注釈 3]タバコの銘柄はキャメルを好み、カルティエ製のライターの火力は常に最大。聞き込みの際には情報提供者にマイク付きテープレコーダーのマイクを傾ける。風俗店の常連客でトルコ風呂(ソープランド)に好んで通っている。万年金欠気味だが、依頼人から金を渡されても心情的に納得できない場合は受け取らないこともある。死者には手を合わせず、脱帽してキリスト教式の十字を切って弔意を示す。乙女座生まれの潔癖症(第12話)、血液型はAB型(第11話)で、下半身が無毛症(第13話)。「コーヒーに砂糖とミルクは入れない主義」「午前中と日曜日は仕事をしない主義」「職業蔑視はしない主義」「手相は見ない主義」「相手にかかわらず約束は守る主義」「家庭のトラブルは扱わない」など、多くの主義を持つ。愛飲している飲み物はシェリー酒(主にティオペペ)と酪農牛乳。また、コーヒーのブレンドにこだわりを持ち、ブルーマウンテンキリマンジャロモカをブレンド(最終話でのマスター(演:柄本明)の台詞より)。月に1回、独りで豪勢なディナーを食べるのがささやかな楽しみ。就寝時はピンクのパジャマにアイマスクを愛用。船酔いに弱く、乗っているだけでも嘔吐感を催し昏倒する。イレギュラーな場面に遭遇し警察に嫌疑をかけられ新聞沙汰になる事も多々あるが前科はない(ただし、度々拳銃を不法に入手して発砲しており、服部がわざと見逃した事も)。施錠されているドアをやすやすと外し、手錠をかけられても素手で外すことができる。最終話にて殺された仲間たちの復讐を果たした後、終盤で男に刺されるが[注釈 4]、その後の生死は不明[注釈 5]。事務所の所在地は、第2話で本人が「渋谷」と発言しているが、名刺には「東京都千代田区平河3?27」と印刷されている。
ナンシー - ナンシー・チェニー
工藤探偵事務所と同じビルに住むファッションモデルの卵。頻繁に事務所を訪ね、居留守を決め込むつもりが勝手に事務所の電話に出るなど工藤の世話をやきたがる。
かほり - 竹田かほり
ナンシーと同居している女優の卵。ナンシー同様、工藤の事務所を自分の部屋同然に思っているらしく、1人そろって下着同然の姿で徘徊しては松本をドギマギさせていた。第25話では出番の少ない工藤の探偵代理として、松本とともに活躍を見せる。
相木 マサ子 - 倍賞美津子
敏腕の女弁護士。愛称「ボインちゃん」。才色兼備で活動的な女性だが、金にうるさい。愛車はマツダ・コスモAP。初登場の第3話で大型トラックとヘリコプターとのカーチェイスの末に横転、爆破させられてしまうが、第7話で全く同じ車[注釈 6] に乗っている。単独でドヤ街の犯行現場に赴いたり、犯罪者と知りながら直接行動を共にするなど大胆な面も持つ。第3話、7話、13話、14話に登場。
服部刑事 - 成田三樹夫
「工藤ちゃん!」が口癖で、事あるごとに工藤に付きまとっては因縁をつける刑事。常に横柄に振る舞っているが女性に対しては甘い。工藤からは煙たがられているが、彼の違法行為を目こぼしするなど協力的な面もあり、特に後半は工藤の理解者としての側面も強調されるようになる。何度も工藤の上前をピンハネしたり、恐喝まがいで袖の下を受け取ったりと金に汚い悪徳警官ぶりが災いして、第25話で窮地に陥る。松本と同じく事件に対する洞察力および推理力が極めて乏しく、安易に工藤を誤認逮捕する事もしばしばあり腐れ縁のようになっているが、最終回では逆にこの無能ぶりが工藤を救う結果となる。極度の肩こりで、よく金槌で肩を叩いている。
松本刑事 - 山西道広
服部の部下。刑事としてのキャリアは5年少々(第17話)。工藤のことを「乞食野郎」などと目の敵にしており、何かと口実をつけて逮捕しようとする。しかし、終盤になると工藤の腕前を認めているかのような行動を見せるようになり、第25話で服部が罠に落ちた際には真っ先に工藤を頼ってきた。女性に関してはウブな一面があり、相木の色仕掛けにより学生時代の初体験を白状した上、捜査情報を吐かされたこともある。第20話では泥酔して破廉恥行為に及んだ弱みを工藤に握られ、頭が上がらなくなってしまう。服部の汚職行為を咎めもせず、おこぼれも頂戴しているなどダーティーな一面もあるが、刑事という自分の職業には情熱と誇りをもっており、それゆえ社会的弱者を蔑視する傾向がある。
ダンディー - 重松収
工藤の昔からの腐れ縁。ビリヤードを嗜み、イタリアンマフィアの様なファッションで決めているが、4歳になる娘がいる。工藤以外には子持ちであることを秘密にしており、工藤にそのことを弄られると「カンベンしてよ」と狼狽する。工藤からの要請で盗聴の委託も引き受けたり、闇の世界の情報を提供する。最終話の終盤、工藤と最後に言葉を交わした人物。
イイヅカ - 清水宏
表向きは骨董屋だが、裏では工藤に拳銃を渡しているブローカーでもある。映画マニアで、視聴した作品の批評を工藤相手に展開することが多い。その反面、自分がチェックしていない作品について工藤から突っ込まれると、著しくヘコむ。酒を飲むと泣き上戸になる。最終回では、工藤からの依頼でタケシ(古尾谷雅人[注釈 7] の身を匿ったことから、事件に巻き込まれ落命する。
イレズミ者(初代) - 野瀬哲男
工藤を「兄貴」と呼んで慕うチンピラ。イレズミといっても背中に「イレズミ者」と文字が書いてあるだけである。目立った活躍がないまま途中で姿を消す。背中の文字の近くには桜の花びらが描かれており、毎回1枚ずつ描き加えていく予定だったが、画面では文字の印象が強すぎて目立たなかったという[2]
イレズミ者(2代目) - 前田哲朗
初登場となる第19話の本編中で披露式が行われた(その際は「イレズミ者パート2」と呼ばれていた)。工藤を「先生」と慕う。イレズミといってもイレズミ柄のシャツを着ているだけである[注釈 8]。第26話では、出番の少ない工藤に代わるかのように出ずっぱりの活躍を見せるが、イイヅカ同様、事件に巻き込まれ最終回で殺害される。
サブロー - 庄司三郎
主に風俗関係の事件で工藤に情報をタレ込むポン引き。関西弁で喋る。
京子 - 橘雪子
事務所近くの風俗店に勤めるトルコ嬢。しかし、ストーリーによって異なる名で呼ばれている。
山崎 - 榎木兵衛
「あたしゃ、な?んも知らないの」と言いながら工藤に情報を提供する宝石の故買屋。表向きは「山崎商事」という金融会社を経営する。酒好きで、登場時は大体酔っ払っている。また、第24話では「エノやん」とも呼ばれる。
スタッフ

企画 - 加藤教夫(日本テレビ)、
黒澤満東映芸能ビデオ

プロデューサー - 山口剛(日本テレビ)、伊藤亮爾、紫垣達郎(東映芸能ビデオ)

原案 - 小鷹信光(徳間書店刊)

撮影 - 仙元誠三、山崎敏郎、杉村博章、片岡二郎、山崎善弘、高村倉太郎

照明 - 井上幸男、渡辺三雄、加藤松作、直井勝正

録音 - 磯崎倉之助、増尾鼎、野口素寛

美術 - 佐谷晃能

編集 - 鍋島惇

助監督 - 小池要之助崔洋一、飛河三義、成田裕介原隆仁、中島芳人、高坂勉


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