振り込め詐欺
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特殊詐欺(とくしゅさぎ)とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込その他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の一種である[1]。オレオレ詐欺が代表的だが、その他にも、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、サポート詐欺などの手口がある[1][2]
日本における特殊詐欺
名称

振り込め詐欺(ふりこめさぎ)とは、電話はがきなどの文書などで相手をだまし、金銭の振り込みを要求する犯罪行為。2004年に警察庁が命名した。面識のない不特定多数の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、対面することなく被害者をだまし、被害者に現金などを交付させたりする詐欺の一種。

2004年11月まではオレオレ詐欺[3]と呼ばれていたが(由来は後述)、手口の多様化で名称と実態が合わなくなったため、特殊詐欺の内の4つの型(なりすまし詐欺[注釈 1]架空請求詐欺融資保証金詐欺還付金等詐欺)を総称して、2004年12月9日警察庁により統一名称として「振り込め詐欺」と呼ぶことが決定された[6]。当初から長年、“振り込み詐欺”と言われたが、「”振り込み”では納得して自ら振り込む」意味合いとなるため、あくまで「”振り込め”と人から言われている、騙されていないか」など、どの時点でも注意や再考を喚起するように統一を図った経緯がある[7]

2013年3月、振り込ませるケースが減少し、再び実態に合わなくなったため、警視庁は新たな名称案を募集した[8][注釈 2]。5月12日に新名称が発表され、「母さん助けて詐欺」が最優秀、「ニセ電話詐欺」・「親心利用詐欺」が優秀作品として選出され、この3作品は主に広報において振り込め詐欺と併用される[11][12]。しかし、最優秀の「母さん助けて詐欺」は被害者が父親であるケースもあるなど実態にそぐわず、また本来の詐欺行為の定義を狭めてしまうことが発表当初より指摘され、選出の理由が疑問視されていた。実際に静岡県警では実態とそぐわないなどの理由から、新名称「母さん助けて詐欺」を使用せず[13]、わかりやすくインパクトのある名前として、福岡県警茨城県警は「ニセ電話詐欺」を[14]山口県警[15]鹿児島県警[16]では「うそ電話詐欺」を、千葉県警では「電話de詐欺」を[17]長野県警[18]熊本県警では「電話で『お金』詐欺」を[19]それぞれ採用している。

同時期に、警察当局は「特殊詐欺」の名称を使うようになった。コトバンクの『知恵蔵Mini』の特殊詐欺の説明[20]には「警察庁によると、2014年の特殊詐欺の認知件数は1万3392件…」の記載がある。

なお、この新名称募集は警視庁がTwitter公式アカウントを取得したことのプロモーションも兼ねていた。当時Twitterアカウントの管理をしておりこの公募の担当でもあった元警部・中村健児はTwitterの他にも実際に高齢者にアンケートを取ったり警視庁の記者クラブに所属するマスコミにも名称を募ったりしていた。しかし、これを最終的に決定するのは犯罪抑止対策本部の職員であり、中村はある日出勤した際にどの層にも全く人気のなかった「母さん助けて詐欺」に決定されたことを突然聞かされたという。このことについて、「警察官は(昔から)ネーミングセンスがない」「高齢者もマスコミも『これはいい』と言っていないのに定着するはずがない」と皮肉を込めて振り返っている[21]
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電報電話を利用した詐欺事件自体は「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」という言葉が登場する前から既に存在した[注釈 3]

1999年8月頃から2002年12月頃までの間に電話で「俺、俺」と身内を装って11人に銀行口座に振り込ませた事件があり、2003年2月に犯人を検挙した鳥取県警米子署がこの手口を「オレオレ詐欺」と称したのが初出とされている[23][24]。また、「オレオレ詐欺」で架空口座を用いる手の込んだ手口は2003年2月中旬に東京都杉並区の闇金融業者で誕生したのが最初とされている(この詐欺グループは2004年1 - 3月に検挙された)[25]
展開

当初は詐欺を行う犯人が「俺、俺」と名乗り、もっぱら「1人」(単独)だけで子や孫を演じていたが、後に「債務者」であると装って困窮を訴えるのに加えて「債権者」役の犯人も電話口に出て「至急返済がなされなければ酷い目に遭わせる」など、「2人以上」の組織が共謀し、複数人の犯人が電話に出る形で脅す手口も使われるようになった。一方で、演じる対象を通勤・通学に出た家族をはじめとする親類に拡げて「交通事故」「痴漢」「横領」「傷害事件」「暴行事件」「借金返済」の加害者や債務者に仕立てる手口も使われる。最初に電話を架けた際には金銭問題を直接的に話題にしなかったり、考える時間的余裕を与えないように数分ごとに電話をかけたりするなどで台本を巧みに作成した上で犯行が行われたり、危害を受けた被害者やその関係者、駅員、警察官、弁護士などの役割分担を行って多人数の犯人で演技を行い、さらには背景にサイレンなどの効果音を流すなどの演出も行われることから、劇団型犯罪(または劇場型犯罪)とも呼ばれる[26]

「振り込め詐欺」という言葉が定着するにつれて、振込み型の詐欺は減少したものの、指定場所へ送付させる・宅配便や郵便で私設私書箱へ送付させる[注釈 4]・バイク便業者や代理人が被害者の自宅近くに受け取りに現れて手渡しをさせるなど多様化している[27][28]

最近は後述の騙されたフリ作戦を逆手に取った詐欺が急増している。手口は犯人1が電話をかけ、「俺、俺」などという普通の振り込めサギの手口を行うまで同じである。そして次、警察と名乗る犯人2が「先程あなたのお宅に振り込め詐欺の電話がかかってこなかったか? 犯人が自宅の玄関まで向かうと思うので、現金を渡すように。警察が見張りをしているので、お金を盗んだ後にすぐ逮捕する」と嘘の電話をかける。次に玄関の前に犯人1が現れ、そのまま犯人1と犯人2は金を盗み逃走するもので、後述の騙されたフリ作戦を利用したサギである(劇場型犯罪も参照)[29][30][31][32]
手口

2020年より警察当局では、以下の10の手口に分類している[1][33][34]
オレオレ詐欺

息子や孫などの親族またはその上司、あるいは警察官弁護士などを電話で名乗り、親族が起こした仕事などのトラブルや事故を口実に現金をだまし取る(または脅し取る)手口の類型[34]

元々の「オレオレ詐欺」であった手口。

主に息子や娘を装い

「俺だよ、オレオレ」「わたし、わたし」「お父さん……」 「お母さん……」「久しぶりだけど、覚えてるかな?」

「〇〇警察の者ですが」

「携帯電話をなくした(故障した)から、会社や知人の携帯を使っている。この番号を登録しておいて」

などと装った電話をかけ、

「(交通事故傷害事件暴行事件医療事故痴漢行為、盗撮行為)を起こして逮捕された。


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