指比
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修正、加筆に協力し、現在の表現をより原文に近づけて下さる方を求めています。ノートページや履歴も参照してください。(2018年5月)
人差し指が薬指よりも短い、すなわち2D:4D比が小さい。これは子宮内でのテストステロン曝露量が高いことを示している。

指比(しひ)とは、手の各の長さの比率のこと。一般的にMP関節(指の付け根の関節)の線の中点から指先までの長さを測る[1]。もっぱら人差し指(示指; 2nd digit)と薬指(環指; 4th digit)の長さの比のことを指し、示指環指比(じしかんしひ)、第2指・第4指比(だいにし・だいよんしひ)、2D:4D比とも言われる。2D:4D比は、所定の手の人差し指の長さをその手の薬指の長さで割ることで求められる。人差し指が長いほど2D:4D比は1より大きくなり、薬指が長ければ1より小さくなる。

2D:4D比は子宮内でのアンドロゲンテストステロンの曝露に影響されることが指摘され、したがって、出生前アンドロゲン曝露量の大まかな指標となる(2D:4D比が低いほど出生前アンドロゲン曝露量が高い)ことが示唆される[2][3][4][5][6][7][8][9]。また、2D:4D比はエストロゲン曝露量にも影響されており、テストステロン単独ではなく、テストステロンに対するエストロゲンへの曝露量の比率(T:O比)と相関することを示す研究もある[10][11][12][13]

2D:4D比は性的二形である。男女どちらも人差し指のほうが一般に短いが、2本の指の長さの差は女性よりも男性においてより顕著になる[14]。多くの研究で、2D:4D比と様々な身体的・行動的形質に相関関係があることが示されている[15]
目次

1 研究史

2 分布

3 アンドロゲンの効果

4 指比の効果に対する説明

5 地理的・民族的差異

6 形質・特性との相関

7 LGBTとの関連性

8 指比と発達

9 洞窟壁画

10 他の動物における指比

11 参考文献

12 関連項目

13 外部リンク

研究史

大部分の男性が女性に対して人差し指が薬指より短いことは、19世紀後半の学術文献で何度か指摘されている[16][17]。1930年には201人の男性と109人の女性のサンプルから統計的に有意な性差が認められている[18]。しかしその後、この発見は長らく忘れられたか無視されてきたようである。1983年、キングス・カレッジ・ロンドンのグレン・ウィルソンが女性の自己主張の強さと指比の相関関係を調べた研究を発表し[19]、これがある性の中での指比と心理学的特性の関係を検証した最初の研究事例となった[20]。ウィルソンは、骨格構造と人格はいずれも子宮内での性ホルモンレベルに影響されるという説を提案した[19]。1998年、ジョン・T・マニングらが2歳児の指比に性差があることを報告し[21]、この値が出生前性ホルモン量の指標となるという説を前進させた。これ以来、指比についての研究は世界中で盛んに行われてきた。

Biology Lettersに掲載された2009年の研究では次のように主張する。「2D:4D比の性差は主として、ゼロ切片でない共通のアロメトリー(両対数線形的)な変化によって生じる。これは、2D:4D比が指が長くなるにつれて必然的に減少する、すなわち男性が女性よりも長い指を有することを意味している」[22]。このことは指比の性差や、それに対するホルモンの推定的影響の根幹をなすと考えられる。

ジャングェイ・ジャンとマーティン・C・コーンによる2011年の論文は、「ネズミの2D:4D比は、指の発達中のごく短い期間における、アンドロゲンとエストロゲンのシグナル伝達のバランスに左右される」と報告する[23]。子宮内でのヒトの指の形成は13週までに起こると考えられており、また骨同士の長さの比率はこの時点から成人になるまで一定である[24]。この間、アンドロゲンに胎児が曝露されると(この量こそが性的二形の正体と考えられている)、薬指の成長率が高まる。このことは性別の異なる二卵性双生児の2D:4D比の分析から得られる。女子は子宮内の兄弟から過剰なアンドロゲンに曝され、したがって2D:4D比が有意に低くなる[25]

重要な事実として、成人の性ホルモンの量と2D:4D比との間には何らの相関も見出されていない[26]。このことは、2D:4D比が完全に子宮内でのホルモン曝露量に規定されていることを示している。いくつかの研究で、指比が遺伝性であることも示されている[27][28]

この話題に関する研究の大きな問題は、大人のテストステロンレベルが2D:4D比によって予測できるかどうかについて、文献のなかで食い違いが生じていることである[26]。しかし、ステレオタイプ的にテストステロンレベルに由来するとされる男性の性的特徴は、2D:4D比と相関することが明らかになっている。したがってどちらかには相関関係があるはずであるが、両方にあるということはない。
分布 分布の模式図:青が男性、緑が女性、赤色が集団全体。アルバータ大学内の対象者に基づき、また正規分布を仮定している。

136人の男性と137人の女性を対象にしたアルバータ大学の研究[29]によれば、男性平均が0.947(標準偏差0.029)、女性平均 は0.965(標準偏差0.026)となった。正規分布を仮定すると、男性では0.889-1.005、女性では0.913-1.017が2D:4D比の95%予測区間として導かれる。

ウォーリック大学の249人の学生・院生を最終サンプルとする2018年の調査[30]では、ジェンダー比の調整の結果、男性平均は0.951(標準偏差0.035)、女性平均0.968(標準偏差0.028)となった。

日本の双生児300名を対象にした調査では、男性の指比の平均値は0.95±0.03であり、女性の指比の平均値は0.96±0.03であった[31]。日本の医療系専門学校学生95名(男子75名、女子20名)を対象にした研究では、指比の男性平均は0.97±0.04で、女性平均は1.02±0.04であった[32]。また、人材派遣会社から募集した20代の男女18名での指比の平均値は、男性で0.955±0.035(右手)と0.911±0.027(左手)、女性で0.972±0.022(右手)と0.945±0.029(左手)であった[33]

日本で行われた自閉症児童の指比を調査した研究では、健常児の対照55人(男児30人、女児25人)の指比も計測している[34]。それによると健常児の指比の平均値は、男児で0.97±0.005、女児で0.98±0.004であった[34]
アンドロゲンの効果

出生前のアンドロゲンレベルの上昇によって起こる先天性副腎過形成症(CAH)の女性は、たいていの場合低い、男性的な2D:4D比を示す[35][36][37]。他に起こりうる生理学的効果としては、陰核の拡大と浅い膣が挙げられる[38]

CAHの男性は対照群の男性より低い2D:4D比を示すが[35][36]、このことも出生前アンドロゲンが2D:4D比に影響を及ぼすことを裏付ける。なぜなら羊水検査によるサンプルでは、CAHを有する男性はテストステロンの出生前レベルが高めの正常範囲にある一方で、弱めのアンドロゲンであるアンドロステンジオンのレベルが、対照群の男性に比べて数倍高いからである[39][40][41]


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