指定文化財
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この項目では、日本で保護される歴史的・文化的作品(日本の文化)や遺跡について説明しています。日本に限らないものについては「文化遺産」、「文化遺産保護制度」をご覧ください。
日本国宝に指定されている平等院鳳凰堂京都府宇治市)。

文化財(ぶんかざい)とは、人間文化によって残された有形・無形のもののうち、価値(文化的価値)を広く認められたものの総称
日本の法規

文化財について日本文化財保護法第2条第1項は次のように規定している。なお、以下の文中の「我が国」は日本国を指す。この法律で「文化財」とは、次に掲げるものを言う:
建造物絵画彫刻工芸品書跡典籍古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

演劇音楽工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

衣食住、生業、信仰年中行事等に関する風俗慣習民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園橋梁峡谷海浜山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)

周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)

すなわち、歴史上・芸術上・学術上・観賞上等の観点から価値の高い有形文化財無形文化財民俗文化財記念物文化的景観・伝統的建造物群の6種類が、指定等の有無にかかわらず「文化財」に該当する。文部科学大臣は文化財のうち重要なものを指定、認定、選定、登録、選択し、保護のもとにおくことができる。ただし指定等およびその解除にあたっては、文部科学大臣はあらかじめ文化審議会に諮問しなければならない(文化財保護法第153条)。
文化財の種類
有形文化財詳細は「有形文化財」を参照国宝に指定されている鳥獣人物戯画

有形文化財は、建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産(これらと一体をなしてその価値を形成している土地、工作物などを含む場合がある)および考古資料、歴史資料を指すと定義されている。文部科学大臣は、有形文化財のうち特に重要と判断されるものを重要文化財に指定することができる(第27条第1項)。さらに、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる(第27条第2項)。

1996年(平成8年)の文化財保護法改正により、国または地方公共団体の指定を受けていない有形文化財のうち、保存と活用が特に必要なものを登録有形文化財に登録する制度が創設された(第57条)。登録の対象は当初は建造物に限定されていたが、2004年(平成16年)の法改正でそれ以外の有形文化財にも適用範囲が拡大された。
無形文化財詳細は「無形文化財」を参照

無形文化財は、演劇音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産であると定義されている。文部科学大臣は、無形文化財のうち特に重要と判断されるものを重要無形文化財に指定することができる(第71条第1項)。重要無形文化財の指定にあたっては、当該重要無形文化財の保持者または保持団体を認定しなければならない(第71条第2項)。保持者の認定には、個人を各個別に認定する各個認定と、保持者の団体の構成員を一体として認定する総合認定がある。各個認定を受けている保持者は人間国宝と通称される。文化庁長官は、重要無形文化財以外の無形文化財のうち、その記録を作成し、保存し、または公開するための措置を講ずるべきものを「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として選択することができる(第77条)。これを選択無形文化財と通称する。
民俗文化財詳細は「民俗文化財」を参照重要無形民俗文化財に指定されている車大歳神社の翁舞

民俗文化財は、衣食住、生業、信仰年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件であると定義されている。

文部科学大臣は、有形の民俗文化財のうち、特に重要なものを重要有形民俗文化財に指定することができる(第78条第1項)。2004年(平成16年)の文化財保護法改正により、国または地方公共団体の指定を受けていない有形の民俗文化財のうち保存と活用が特に必要なものを登録有形民俗文化財に登録できることになった(第90条第1項)。最初の登録物件は「若狭めのう玉磨用具」「勝沼ぶどう栽培用具及び葡萄酒醸造用具」「雲州そろばんの製作用具」の3件で、2006年(平成18年)3月15日に官報告示された。

また、文部科学大臣は、風俗慣習、民俗芸能、民俗技術などの無形の民俗文化財のうち特に重要なものを重要無形民俗文化財に指定することができる(第78条第1項)。また、文化庁長官は、重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、その記録を作成し、保存し、または公開するための措置を講ずるものを「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選択することができる(第91条)。これを選択無形民俗文化財と通称する。
記念物詳細は「記念物」を参照

貝塚古墳、都城跡、城跡、旧宅などの遺跡庭園橋梁峡谷海浜山岳などの名勝地、動物植物、地質鉱物などの自然の産物は記念物と総称されている。文部科学大臣は、記念物のうち重要なものを史跡名勝天然記念物に指定することができる(第109条第1項)。さらに、その中でも特に重要なものを特別史跡特別名勝特別天然記念物に指定し、重点的な保護のもとにおくことができる(第109条第2項)。

2004年(平成16年)の文化財保護法改正により、国または地方公共団体の指定を受けていない記念物のうち、保存と活用が特に必要なものを登録記念物に登録できることになった(第132条第1項)。最初の登録物件は「函館公園」(北海道函館市)、「再度公園及び再度山永久植生保存地」(兵庫県神戸市[注 1]、「相楽園」(神戸市)の3件で、2006年(平成18年)1月26日に官報告示された。
文化的景観詳細は「文化的景観」を参照

文化的景観は、地域における人々の生活または生業、および当該地域の風土により形成された景観地と定義されている。2004年(平成16年)の文化財保護法改正により創設された文化財のジャンルであり、「日本の原風景」などと呼ばれるような、棚田里山などの景観がこれに該当する。文化庁は文化的景観の保存・活用事業を実施しており、文化庁の「文化的景観の保存・整備に関する検討委員会」が第三次調査で180の重要地域を選定した。文部科学大臣は、景観地区などとして都道府県または市町村が保存措置を講じている文化的景観の中から特に重要なものを重要文化的景観として選定することができる(第134条第1項)。重要文化的景観選定の第1号は滋賀県近江八幡市の「近江八幡の水郷」で、2006年(平成18年)1月26日に官報告示された。


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