拡散反射(かくさんはんしゃ;diffuse reflection)は、非金属表面で起きる光の反射のうち、鏡面反射を除いた成分のことである。拡散反射は鏡面反射に比べて反射角に依存せず、多様な方向に同程度の光度を放つのが特徴である。でこぼこした表面における反射を乱反射と呼び、拡散反射と混同される場合もあるが、乱反射には鏡面反射の成分が含まれている。拡散反射と鏡面反射は、偏光フィルターを使用して分離することができる。
拡散反射は、入射光が界面下に透過し、多重反射及び散乱することによって起こると考えられる。吸光のある材質ではその過程で特定の波長の拡散反射光の強度が弱まる。よって拡散反射スペクトルと透過スペクトルは類似したものになる。金属表面で拡散反射が起こらない理由は、自由電子が内部への光の侵入を妨げるためである。
ゼリーやロウのように、光を比較的多く透過する材料では、入射光が内部の深くまで透過、拡散、散乱し、出射する場所が入射した場所から離れている(反射とは呼びがたい)ため、拡散反射ではなく表面下散乱と呼んで区別される。 拡散反射スペクトルの強度再現には、クベルカとムンクによって導かれた[2]。 f ( R ∞ ) ≡ ( 1 − R ∞ ) 2 2 R ∞ = K S {\displaystyle f(R_{\infty })\equiv {\frac {(1-R_{\infty })^{2}}{2R_{\infty }}}={\frac {K}{S}}} ここで f ( R ∞ ) {\displaystyle f(R_{\infty })} はクベルカ-ムンク (Kubelka-Munk) 関数、 R ∞ {\displaystyle R_{\infty }} は光拡散距離に対して十分に厚いサンプルにおける絶対拡散反射率、 K {\displaystyle K} は吸収係数、 S {\displaystyle S} は散乱係数である。 拡散反射の最も単純な近似は、光束が半球状に一様に分布するランバート反射である。より正確なモデルに、表面の凹凸を加味したオーレン・ネイヤー反射がある。 拡散相互反射(かくさんそうごはんしゃ;diffuse interreflection)は、他の物体から反射した光が周りにある他の物体にぶつかって、それらを照らすことによって起きる。拡散相互反射は、つやがあるとか鏡のような物体からの光の反射を、特に述べているわけではない。この意味する事を現実世界の言葉で言い直すと、地面や壁、織物などのようなつやがない表面を反射した光は、光源が照らしている場所から直接反射したのではないということである。もし、拡散反射している表面に色がついていたならば、反射光も色がつくし、結果として周りの物体も似た色がつくことになる。 3次元コンピュータグラフィックスでは、拡散相互反射はグローバル・イルミネーションの重要な構成物である。レンダリング時に拡散相互反射をモデル化する方法はたくさんある。よく使われる方法として、ラジオシティ法とフォトンマッピングの2つがある。
理論
近似
その他
出典^ Scott M. Juds (1988). Photoelectric sensors and controls: selection and application
^ Paul Kubelka, Franz Munk: Ein Beitrag zur Optik der Farbanstriche. In: Zeitschrift fur technische Physik. 12, 1931, S. 593?601.
関連項目
ランバート反射
鏡面反射
オーレン・ネイヤー反射
光散乱
光沢