抵当権
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

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抵当権(ていとうけん, : Hypothec)とは、債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権弁済(優先弁済的効力)を受ける権利を言う。質権とは違って引渡しを要しないために所有者が抵当権成立後も引き続き使用・収益をすることができる、というのが概ね通有的な性質であるが、法域によっては引渡しを要する場合を含むこともある。

日本の民法においては、当事者の合意によって設定される約定担保物権であり、不動産や一定の動産・財団のみをその目的とし、一般財産をその目的とすることはできない。これは、英米法におけるmortgage(譲渡抵当またはモーゲージ)(特にそのうちの権原(title)の移転を伴わない類型)に似るといえ、その訳語としても用いられる。
日本

日本法における抵当権については概要、以下のとおりである。

民法について以下では、条数のみ記載する。

概説
抵当権の概要

民法は抵当権の内容について「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権弁済を受ける権利を有する」と規定する(369条1項)。


まず、債権者(抵当権者)は自己の債権を確保するため、抵当権設定者(通常は債務者。物上保証も参照)の不動産または権利(地上権及び永小作権)に抵当権を設定する。抵当権は非占有担保物権であるため、抵当権設定の合意のみにより設定できるが(176条)、不動産登記が第三者に対する対抗要件となり(177条)、かつ抵当権の実行には通常、登記事項証明書が必要なため(民事執行法181条1項3号)、ほとんどの場合登記される。ただし、当事者間では、抵当権の登記をしなくても抵当権の実行は可能である。

抵当権は同じ不動産について重ねて設定できる。その場合の各抵当権の優劣は設定された先後(登記されなければ対抗力がないため、実際には登記の順序)による(第373条)。ほぼ同時刻に申請された場合は、1番抵当権(あ)、1番抵当権(い)の様に表記し、優先弁済は同順位である。申請時刻に差がある場合は、その先後により1番抵当権、2番抵当権という具合に順位がつけられ、その順番に従って優先弁済を受けることになる。

抵当権の特徴は非占有型の担保物権である点であり、抵当権が設定されても抵当権設定者は抵当権が設定され担保となっている目的物を債権者に引き渡す(占有を移す)必要がない。抵当権としばしば対比されるのが同じ約定担保物権である質権であるが、質権の場合には目的物を債権者に引き渡さなければならない点が抵当権とは異なる(344条)。抵当権の場合には、抵当権設定者は引き続き担保の目的物を自由に使用・収益・処分することができるので、目的物の効率的利用が妨げられず、社会的に重要な役割を果たしている[1]

債務者が債務不履行に陥った場合には、抵当権が実行されて不動産競売(担保不動産競売)に付され、抵当権者はその代金をもとに他の一般債権者に優先して弁済を受けることで、債権の回収を図ることができる。抵当権が実行され不動産競売により目的物が競落されるとその物に設定されていた抵当権はすべて消滅する(消除主義)。抵当権の実行方法には担保不動産競売のほか担保不動産収益執行などの方法もある。
抵当権の性質

担保物権の通有性により、抵当権には以下の性質が認められている。

付従性
抵当権は被担保債権とともに成立(成立における付従性)・存続し、債務者が債務を弁済した場合等、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅する(消滅における付従性)という性質。

随伴性
抵当権は被担保債権の移転に随伴するという性質。抵当権の設定された目的物の所有権を第三者に譲渡した場合は、抵当権付の所有権が移転することになる。民法はこのような第三取得者との関係を考慮して代価弁済抵当権消滅請求といった制度を設けている。

不可分性
抵当権者は、被担保債権の全部の弁済を受けるまで(一部の弁済を受けたとしても)、抵当目的物の全部について抵当権を実行できる(留置権の不可分性の規定の準用、372条・296条)。

物上代位性
抵当権の目的物が滅失した場合でも、それが債権などの形に転化していれば、それに対して抵当権が及ぶ(後述)。先取特権の物上代位性の規定の準用(372条・304条)質権の物上保証人の求償権の規定の準用(372条・351条)
抵当権の設定

抵当権の設定は抵当権設定者と抵当権者との間で締結される抵当権設定契約によって設定される。
目的物

抵当権を設定することができるのは、登記・登録制度がある物や権利だけである。これは当該物に抵当権が設定されていることが誰にでも分かるよう、公示する必要があるからである。民法上、その典型は不動産であり(369条1項)、地上権と永小作権にも抵当権を設定することができるが(同条2項)、そのような形で利用されることはあまりない(よって以下では物(民法では、動産でも不動産でも(物、ブツ)という)に抵当権が設定された場合を念頭に記述する)。また、抵当権に対して抵当権を設定することができる。

また、各種の特別法によってその対象が不動産以外にも広げられている。前述のとおり、登記や登録といった抵当権の公示手段があるものである。鉱業権漁業権立木立木法)、船舶商法848条)、自動車、農業動産、航空機建設機械工場(工場抵当という)がある。さらに、企業組織全体をその対象とする財団抵当がある。ここで対象となるのは工場財団や鉄道財団などである(詳細は特別法上の抵当権を参照)。
物上保証

通常、抵当権は債務者の所有物に対して設定される。つまり、債務者=抵当権設定者となる。しかし債務者以外の者が抵当権設定者となって債務を担保する場合もある。この場合の抵当権設定者は債務を負わない(つまり自ら給付を実現する義務を負わない)が自己の不動産の上に他人の債務のための責任だけを負担していることになる。これは債務者以外の者の財産が責任財産となるという点で保証の関係に類似するため、こうした抵当権設定を物上保証(ぶつじょうほしょう)といい、このときの抵当権設定者を物上保証人という。

なお、保証人(連帯保証人)が担保提供する場合は、物上保証の責任だけでなく、保証人(連帯保証人)としての責任もあることは当然である。
被担保債権

抵当権の被担保債権は、通常、金銭債権である。元本の他、利息、定期金、損害遅延金、違約金等元本に付随するものが含まれる。ただし、利息等、時の経過によって金額が増大するものについては直近2年分までしか、優先弁済の対象とはならない(375条)。金額の増大によって、後順位抵当権者らに配当が回らなくなるのを防ぐ趣旨であり、後順位抵当権者が少ない質権は、2年の制限に服しない(346条)。

抵当権を設定するには被担保債権を「特定」する必要がある。不特定の債権を担保したい場合は根抵当権(根抵当権であっても債権の範囲の指定は必要である)を設定すべきである。特定さえされていれば、抵当権設定時に被担保債権が発生していなくても、期限付債権や条件付債権などで将来発生する可能性があるものについて被担保債権とすることができる(附従性の緩和、大判昭7.6.1)。
抵当権の効力
抵当権の効力の及ぶ範囲
付加一体物

抵当権は、抵当地上の建物を除き、その目的である抵当不動産の付加一体物に及ぶ(370条
本文)。 ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び424条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は付加一体物には及ばない(370条但書)。

果実

抵当権はその担保する債権につき不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ(371条)。

ここでいう果実とは、天然果実だけでなく法定果実も含む。この規定が担保不動産収益執行の実体的根拠であることに争いはないが、物上代位との関係でもそうであるかについては、後述のとおり争いがあった。また、債務不履行前に生じた賃料に対して及ぶか否かについても争いがある。

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則としてその満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる(375条)。


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