折り紙
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この項目では、紙を折る遊びについて説明しています。"折紙"、"折り紙"の他の用法については「おりがみ」をご覧ください。
折鶴 (一辺75mmの和紙の折り紙)百鶴(『秘伝千羽鶴折形』より)つるバラ紙飛行機

折り紙(折紙、よみ: おりがみ、: Origami)とは、を折って動植物や生活道具など色々なものの形を作る日本伝統遊びである。また、折り上げられた作品そのものや、折り紙用に作られた正方形の専用紙、千代紙などのことを指す。分類の仕方により、儀式儀礼で使う紙で折った工作物や、室町時代に整えられた上級武家が和紙で物を包むために用いていた折形(折形礼法)[1]も「儀礼折り紙」として折り紙に含む場合があるが、日本では一般的には、戦国時代頃には存在し江戸時代頃に庶民に広まった「遊戯折り紙」のみを指す[2]

一般的に折り紙と認識されている遊戯折り紙の起源は定かでないが、最古の証拠として1500年代末の戦国時代から1600年代初頭の江戸時代までに装剣金工師の後藤栄乗が作った小柄折り鶴が描かれているため、この頃までには既に折り紙が存在したことが確認されている[3]。紙を折る文化はヨーロッパなどでも独自に発達しているが、現代では日本語の発音を移した「ORIGAMI」という呼称が海外でも広く使われている[4]

折り紙の芸術的側面が評価され、過去にはなかった複雑で優れた作品が生み出され、各国に伝承する折り方に加えて、新しい折り方も考案され続けている(各種の折形、折り方は伝承折り紙の一覧を参照)。

また、折り紙の持つ幾何学的な性質から、数学の一分野としても研究されている他、工学分野でも構造物の収納・展開の手段として活用されている。Computational Origamiという、ITを用いて折り紙を設計する分野も存在する。
概要

古くは千代紙(ちよがみ)と呼ばれる彩色豊かな和紙を使用した。この為、折り紙の紙を千代紙という場合もある。また、近年では伝統工芸品としても千代紙が販売されている。

現在の折り紙は、多くの場合、使用する紙は一枚で、はさみなどは使用しないが、2枚の紙を使うもの(例:手裏剣)や、はさみで切り込みを入れるものもある。また、複雑な作品や折り目がつきにくい場合などにはヘラを用いることもある。折鶴(下は同じ大きさの紙)

緻密に、折ったり、折り目の間の空間に折り目の一端を挟み込むなどして、形を作り上げていく。折り続けていくため、折り始める前の紙の大きさに比べ、出来上がった形はかなり小さなものになることもある。

代表的な折り紙には、鶴(折鶴連鶴)、風船紙飛行機、手裏剣、(やっこ)さんなどがある。ヨーロッパでは、スペイン語でパハリータ、フランス語ココットと呼ばれる小鳥(または鶏)の形をした折り紙が代表的である。また、洋食の時に折られてテーブルに置かれるナプキンも、広義の折り紙の一種である。
折り紙の種類
不切正方形一枚折り

「ふせつ せいほうけい いちまいおり」と読む。折り紙のうち、はさみ等による切れ込みを入れず、正方形の紙一枚だけを用いた折り紙をこう呼ぶ。基本的な折り紙であり、この折り紙を好む者もいる。不切正方形一枚折りで作ったエンシェントドラゴン

                                                
複合折り紙

対象をいくつかの部分に分けて折り、それを組み合わせて作品を作る折り方。伝承的なものでは、「奴さん」と「」を組み合わせたもの。紙に切り込みを入れなくても比較的簡単に複雑な形を表現でき、また色違いの紙を使うことでカラフルな作品に仕上げることもできる。組み立てる際に針金などを使う場合がある。
切り込み折り紙

紙に切り込みを入れてカドの数を増やしたり、一部を切り取ったりすることによって、複雑な形を折りやすくする折り方。折り紙愛好者からは邪道扱いされることもあるが、「不切正方形一枚折りにこだわって折り方が複雑になり過ぎるより良い」という意見もある。

秘傳千羽鶴折形』に見られるような「つなぎ折り鶴」は、はさみを利用して作る。
ユニット折り紙ユニット折り紙日本人作家によるユニット折り紙の作品(折り紙球)詳細は「ユニット折り紙」を参照

何枚もの紙を同じ形に折って、それらを組み合わせ、一つの作品を作り上げる折り紙作品をユニット折り紙と呼ぶ。ユニット折り紙の対象には対称性の高い多面体(一般に「くす玉」と呼ばれるものなど)、などが多い。枚数としては2枚から数十枚、多いものでは1万枚以上もの紙を組み合わせることがある。ユニットを組み合わせる時には、紙の摩擦のみで全体を支えるものが理想であるが、場合により糊付けやで綴じるケースもある。ユニット折り紙作家としては、笠原邦彦、川村みゆき、布施知子などが有名。類似のものに、折り紙細工がある。伝承の「手裏剣」もまたユニット折り紙の一つである。
仕掛け折り紙

上記の折り紙に加えて、動かせる玩具として作られたもの。古くは「カメラ」(シャッターが開く)や「羽ばたく鳥」(首としっぽを持って羽根を動かせる)など。近年には神谷哲史の『黒い森の魔女』(魔女⇔ドラゴンに変形する)などの複雑なものもある。
基本形詳細は「基本形」を参照

折り紙には、基本形と言われるものがいくつかある。例えば、鶴の基本形は4つのとがった「カド」を持っており、動物を折る場合ならこれらを頭や足に当てることで創作が容易になる。以下に、その代表的なものを記述する。
鶴の基本形
伝承作品の折り鶴を作る途中までの形で止めたもの。
あやめの基本形
伝承作品のあやめを作る途中までの形で止めたもの。かえるの基本形ともいう。
さかなの基本形
さかなを作る途中の形で止めたもの。
とびらの基本形
折り紙を、長方形になるように半分に折ってから、「とびら」の形にしたもの。ユニット折り紙のユニットを折る際にも使用される。
用紙

一般的には折り紙専用の正方形の紙を使う。しかし、作品によっては長方形(主に辺の比が1:√2のもの)その他の形をした紙を使う場合もある。通常は他の用途向けの紙で折られることもある。袋(シャツなどに仕上げる)[5] のほか、新聞紙などを用いる作品(帽子ミット、紙鉄砲など)もある。紙幣を折り紙の素材とし、人物などの図柄を完成作品のデザインの一部に取り込むような試みさえある。五角形六角形八角形など多角形の特殊な紙を用いる作品もあるが、こうした場合は自分で必要に応じ正方形の紙から切り出すとよい。

文房具店などで最も普通に売られている折り紙は15cm角であるが、それ以下・それ以上の折り紙(5cm角、7.5cm角、24cm角、35cm角等)も市販されている。また、稀ではあるが円形の折り紙なども存在する。彩色に関しても、両面カラーのもの、透明なもの、グラデーションや水玉など特殊な模様の入ったもの、表面が2等分や4等分に色分けされているものなどがあり、現在1000種以上の折り紙用紙が入手可能といわれている。

複雑な作品を折る場合には、金属箔を利用したホイル紙や、薄い和紙(破れにくい)の裏に金属箔(例えば形が崩れにくくなるアルミ箔)を裏打ちした自作の用紙が用いられることが多い。

展示用の作品には、見栄えの関係で選定した洋紙や和紙を正方形(あるいは作品に応じた形)に裁断して使うことが多い。厚手の紙(洋紙など)を随時、適度に湿らせてから折る「ウェットフォールディング」という技法も使われる。この技法を用いると、厚い紙を簡単に折ったり、皺を大幅に減らしたりすることができる。また、曲がった形を固定したり、紙を"伸ばして"(歪ませて)折ったりすることもできる。

手元に正方形の紙がなくとも、例えば目の前にある不要な書類などを工夫して正方形に整えれば、予め用紙を用意してなくとも折り紙を十分に楽しむことが出来る。
折り図

折り紙の折り方を人に伝えるため、その工程を絵(しばしば写真)で示す折り図が存在する。折り図では、慣例的に、切る線を??、山折り線を一点鎖線(「―・―・―・―・―」)、谷折り線を破線(「― ― ― ― ―」)で表すことが多い。また、理解を容易にするため文章が添えられることも多い。
主な折り方詳細は「折りの技法」を参照

折り紙では、基本的な折り方に以下がある。

山折り

谷折り

中割り折り

かぶせ折り

その他にも、特別な折り方が多くある。       

蛇腹折り

ミウラ折り


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