抗NMDA受容体抗体脳炎
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抗NMDA受容体脳炎
別称NMDA受容体抗体脳炎、抗N-メチル-D-アスパラギン酸受容体脳炎、抗NMDAR脳炎

NMDA型グルタミン酸受容体の模式図
診療科神経学, 精神医学
症候学早期:発熱、頭痛、疲労感、精神症状、興奮[1]。後期:低換気、自律神経障害、高血圧、心拍数増加[1]
通常の発症数日から数週間[2]
リスクファクター卵巣奇形腫、不明[1][3]
診断法脳脊髄液で抗NMDA抗体陽性[1]
鑑別ウイルス性脳炎、急性一過性精神病性障害、神経遮断薬悪性症候群[4]
合併症長期の精神的または行動的な異常[4]
使用する医薬品ステロイド系抗炎症薬免疫グロブリン療法 (IVIG)、 血漿交換(PE)アザチオプリン[4]
治療免疫抑制剤, 卵巣奇形腫の外科的除去[1]
予後一般に予後良好(治療介入ありの場合)[1]
頻度比較的一般的[4]
死亡者数4%以下[4]
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抗NMDA受容体脳炎(こう - じゅようたいのうえん、: Anti-NMDA receptor encephalitis)とは、の興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体、NMDA型グルタミン酸受容体自己抗体ができることによる急性型の脳炎である[5]。致死的な疾患である一方、治療により高率での回復も見込める疾患である。卵巣奇形腫などに関連して発生する腫瘍随伴症候群と考えられているが、腫瘍を随伴しない疾患も多数存在している。2007年1月ペンシルバニア大学のDalmau教授らによって提唱された[6][7]。ある日から突然、鏡を見て不気味に笑うなどの精神症状を示しだし、その後、数か月にわたり昏睡し、軽快することが自然転帰でもあるため、過去に悪魔憑きとされたものがこの疾患であった可能性が指摘されており[8]、映画『エクソシスト』の原作モデルになった少年の臨床像は抗NMDA受容体脳炎の症状そのものと指摘されている[9]。また、興奮、幻覚、妄想などいわゆる統合失調症様症状が急速に出現するのが本疾患の特徴であるため、統合失調症との鑑別も重要である[10]
目次

1 発生率と疫学

2 徴候と症状

3 発病機序

4 病態生理

4.1 脳脊髄液 (CSF) 中の抗体の存在

4.2 NMDA受容体への抗体の結合


5 管理と予後

6 体験記とその映画化

7 出典

8 関連項目

発生率と疫学

全体的な発生率は不明であるが、未知の病因とされている脳炎の1%程度含まれると推定されている[11]2007年にこの疾患概念が確立するまでに日本で「若年女性に好発する急性非ヘルペス性脳炎」として報告された一群の多くは抗NMDA受容体脳炎と同一のものであったと判明している[12]ランセットの100例を検討した記事によると、100人の患者のうち91が女性であり、平均年齢は23歳(5-76の範囲)であった。


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