投資顧問会社
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投資顧問会社(とうしこもんがいしゃ)とは、顧客(投資家)の保有する資産に対して有価証券やデリバティブ取引等の資産運用の代行または助言をすることで報酬を得る企業。日本では、金融商品取引法に基づき財務局へ登録された金融商品取引業者のうち、特に投資一任業務または投資助言業務を行う企業を指す[注 1]。公的および私的年金の積立金の運用を主に担う。2006年に廃止された旧有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(投資顧問業法)では「投資顧問業者」として規制されていた。
投資一任業務

主に、投資一任契約を締結することで顧客の資産を預かり、有価証券等で運用を行う業務。年金制度運営事業体や投資ファンド等から運用を受託する。受託者は、金融再生委員会から特別の認可を受けた株式会社でなければならなかった(投資顧問業法24条)。

投資一任契約は、他の認可投資顧問業者に再委任することができた(投資顧問業法2条4項2号)。投資顧問の投資運用業に対する「適合性の原則」は、投資助言業者法に明記されていない。日本の場合、「適合性の原則」は金商法40条1号ならびに金商法38条7号および金商業府令117条1項1号に具体化されている。

1983年7月、野村証券モルガン・ギャランティ・トラストと日本に信託会社をつくることで合意した。野村証券の目的は、モルガンとアメリカで年金資産の運用委託を受けることの他、日本で急成長が見込めた企業年金基金の投資一任勘定を認めさせることにあった。その後、株式市場は数年後ブラック・マンデーが起こってから株価が低迷し、投資信託で運用成績が伸び悩むことになった。

そこへ海外の機関投資家が日本円を買い集めてゆき、海外の為替市場では慢性的な円高が進んだ。また、円高の影響で企業の輸出が阻害され、各企業の確定給付年金の運用実績は予定利率を割り込むようになった。

年金運用を担当していた社会保険庁OBや大手生保は、ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーから年金運用に競争原理がないことを指摘された[1]

金融ビッグバンの寸前1995年に投資顧問業者が投信委託業務を併営できることになってから、市場参入者はじわじわと契約残高を増やしていった。そして、日本の企業年金がユーロ債地方債を買うという証券化を達成した。

2002年8月、新生銀行メロン・フィナンシャルと「年金資産の運用に関する提携および折半出資の合弁会社を設立することで合意に至」った[2]

2003年11月、日本郵政公社が投資顧問会社及び資産管理銀行を公募した。これが翌年60兆円を突破する契機となった。2005-2006年、国外年金への飛躍的進出を達成した。2006年GPIFが発足して、翌2007年の契約残高は120兆円となった。

1995年以降、AIJ投資顧問は年金基金の資産運用として投資一任契約を締結する一方で、投資信託の委託会社として自社が運用する投資信託を投資一任契約で買付申込することが可能となった。AIJがどのようにして運用実態を隠したかというと、国内証券へ外国投資信託を買付けることによって生じる投資信託ビジネスを利用したのである。投資信託は顧客がファンド組み入れ証券に関与できない。このような手口を阻止できなかったことが、1986年の「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」の穴であった。そして、この問題が2013年にもなって論じられた。[3]
投資助言業務

投資顧問契約を締結し、チャート等により市場動向を分析したり業績等を分析することで、有価証券及びデリバティブ商品などに関し助言を与える業務。ただし、金商法では投資一任契約の締結の代理又は媒介も投資助言業務にふくまれる。
相談形態
顧問として、投資しようと考えている銘柄に関する相談に応じる形態。顧問弁護士などと似たような位置付けになり、ある意味では投資顧問の本来の形態ともいえる。
指図形態
銘柄や日時、場合によっては指値や数量までを指図する形態。成功報酬制の場合、指図した売買により利益が出ていれば顧客が実際に売買していなくても成功報酬が発生する。顧客の投資資金の把握が重要となる。このため証券会社の中には売買履歴を複数個所に送付するように指定できる証券会社がある。またオンライン証券会社の中には売買履歴閲覧専用のアカウントを設定できる証券会社もある。
一括送信形態
FAXや電子メールを用いて、顧客全員に同一内容を送付する形態。助言にすぎないので、成功報酬制では一切みられない。
ソフトウェア販売形態
市場分析ソフトウェアやサービスなどを販売する形態。料金体系は固定制しかみられない。ソフトウェアにより算出された分析結果に基づいて顧客が任意に売買する。あるいは登録した口座で自動的に売買を行うソフトウェアもある。ソフトウェア販売に投資助言業が必要なのか、あるいはソフトウェアが自動的に売買を行う場合には投資助言業の範疇を超えて投資運用業の登録が必要なのではないか、などの問題がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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