打ち出の小槌
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この記事の項目名には以下のような表記揺れがあります。

うちでのこづち

打ち出の小槌

打出の小槌
大黒の打出の小槌とその使いの鼠を描いた摺物岳亭春信

うちでのこづち(打ち出の小槌、打出の小槌)は、振ることにより様々なものが出てくるとされる伝説上の(つち)。日本説話昔話に登場している宝物のひとつである。の持つ宝物であるとされるほか、大黒天(だいこくてん)の持ち物であるともいわれ、富をもたらす象徴として描かれている。かがえられ、説話や物語などに見られる鬼の登場する物語がその原典であろうことが考察されている[1]
概要

欲しいもの、願い事を唱えて振ると願いどおりの物があらわれる効果を持つ。隠れ蓑、隠れ笠と並び称されており、福を招く宝物であるとされる。「ものを出す槌」の伝承は「新羅」の、『酉陽雑俎』に収録される『こぶとりじいさん』の原型に登場し、また同様の話はインドにある物が古いことからインドからモンゴル、朝鮮を経て日本へ伝わったと考えられる[2]
御伽草子
室町時代に書かれた『御伽草子』のひとつである『一寸法師』では、姫を襲った鬼がこのうちでのこづちを所持しており、一寸法師によって退治された際にこれを落としてゆく。一寸法師は姫に「大きくなれ」とこづちを振ってもらって体を大きくしてもらい、立派な武士として身を立てる結末となっている[3]。現在、一般に流布している昔話としての一寸法師でも、同様にうちでのこづちが一寸法師を大きくするために使われる面が大きくあつかわれているが、『御伽草子』では背を大きくしたり、金銀を出したりする以外に、鬼を退治したあとの疲れをとるために次々とおいしそうなを出すなどの効果も発揮しており[3]、その用途は幅広い。
日本大百科全書
平安時代末期[注 1]の仏教書『宝物集』には、打ち出の小槌は宝物だけではなく牛や馬、食物や衣服など心のままにすべて出現させる事が出来るが、打ち出した物はまたこれすべての音を聞くと失せ果せる物であり、結局は現世に実在する宝物と言えるべきものではないという内容の説話を収録している[4][5]
大黒天の持ち物
うちでのこづちは、日本において大国主(おおくにぬし)の神と同一視されるようになった大黒天の持ち物であるといわれ、大黒天像は槌を持った姿で製作されることが多い[6][7]。しかし、どのような記述によって大黒天が槌を持つ姿が製作されるようになったのかは明確ではない[7]。なお、東洋史家の宮崎市定は、中国で古くを打って音を出して人を呼ぶのに用いられた柱斧という槌のような道具があり、貴人が柱斧で従者を呼んで命じれば従者が何なりと貴人の欲する物を持って来るところから、槌そのものに魔力があるかのような考えが生じたのではないかとしている[8]。また、南方熊楠は、大黒天がガネーシャと習合しで出来るうち本来ガネーシャが持つ斧が変形した可能性があるとしている[9]。この信仰について南方は汎世界的に存在する、雷神の神物とされ崇拝される、「石器時代石斧」はハンマーにも見えることから、雷神の持ち物が斧あるいは槌とされた可能性があるといい、例として「ムジョルニル」を上げる[10]
昔話

一寸法師のほか、日本各地で伝承されている昔話の中では、鬼の所有している宝物として登場するほか、異界を訪問した人物がうちでのこづちをおみやげとして持ち帰り、欲しいものを唱えて振ると願いどおりの物があらわれ長者になったとする展開で登場する。その様子を見ていた隣人がうちでのこづちを借り、欲を出した願いを早口で唱えると誤認されて違うものがあらわれ、痛い目に合うという結末をもつ話も多く存在する。

高知県高岡郡などにつたわる昔話では、売れなかった節季用の薪木を海へ捨てた正直者が竜宮から礼品としてうちでのこづちをもらう[11]

鹿児島県長島町などにつたわる昔話では、末娘の婿が邪慳にあつかわれたことから姑に渡すべき立派な薪(十三生木)を海などに捨てた結果、竜宮から感謝され、うちでのこづちをもらう[12]

紀州(和歌山県)では、継母に虐待される継子が、超自然の存在によって事態を好転させるというグリム童話に収録されまたイタリアポルトガルにも分布する話の中で、継娘の境遇に同情した鬼が「叩くと銭の出る」小鎚を与える。

桃太郎が鬼ヶ島で手にした宝物として隠蓑、隠笠、打出の小槌があげられてもいる例も過去の文献には存在していた[13]山東京伝による絵本『絵本宝七種』(1804年)に書かれた桃太郎の話のなかでも、鬼ヶ島で手に入れたうちでのこづちを桃太郎が振ってさまざまな宝物を出している姿が描かれている[14]
平家物語におけるこづちと鬼

平家物語』巻6「祇園女御の事」には、うちでのこづち自体は登場しないが、うちでのこづちを持った鬼が出たという噂が立ったとする話が記されている[15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:23 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef