手形行為
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この項目では、有価証券について説明しています。

手の形を残したものについては「手形・足形」をご覧ください。

秋田県秋田市の地名については「手形 (秋田市)」をご覧ください。

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手形(てがた)とは、
一定の内容の証明となる証文には手形を押したことから、一定の資格権利を証明する書面そのものも手形という[注 1]通行手形(関所手形)、切符手形(切手)、約束手形為替手形といった使われ方をする。

上記が転じたもの。有価証券としての一種である約束手形と為替手形のこと(広義には小切手も含む)を指すのが一般的である。

以下、ここでは、2.の意味の「有価証券としての一種である約束手形と為替手形」の共通事項について記述する。
手形の起源

日本における現行の手形制度は、日本独自の制度が発展したものではなく、明治以降、ヨーロッパの制度を取り入れて発展させたものである。
手形の種類
為替手形(かわせてがた)
手形の振出人(発行者)が、第三者(支払人)に委託し、受取人またはその指図人に対して一定の金額を支払ってもらう形式の有価証券のことである。略称は為手(ためて)。遠隔地との取引をする際(特に輸出入)、現金を直接送ることの危険を避けるために用いられることが多い。日本の商慣行では、江戸時代の遠距離取引においては為替の手段として今日の為替手形と同様の物が用いられていた。水戸黄門漫遊記でも、黄門一行が路銀を受け取る手段として度々登場する。現在では、銀行間口座振替(一般に言う口座振込)が主流となり国内取引の決済手段としては、ほとんど用いられない。このことから平成28年度の日本商工会議所主催の簿記検定から「2級(および3級)においては、手形の取引は約束手形のみとなり、為替手形の取引は出題されません」とされた。
また債権者が債務者に引き受けさせ期日に支払いをさせるといった融資の手段として用いられ、金融機関からの融資においても中長期の割賦返済を前提とした証書貸付に対し、手形貸付と呼ばれる貸付手段である。
約束手形(やくそくてがた)
手形の振出人(発行者)が、受取人またはその指図人に対して、一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する形式の有価証券のことである。略称は約手(やくて)。手形は、2 - 3か月程度の中期信用を担う手段として広く利用されていることもあり、日本国内で流通する手形のほぼすべてが約束手形である。約束手形の一つに、自動車など高額商品の分割払い用の手段として「マル専手形」がある。商品購入の際に金融機関で専用の当座預金口座を開設し、口座に入金後分割払い分の手形を振り出し、販売者に渡すものである。1980年代まで自動車購入時の分割払いに使われていたが、自動車ディーラー債権回収業務の負担が増大したことなどから、1990年代以降自動車メーカー系ファイナンス会社や信販会社、当の「マル専手形」を扱った銀行など金融機関によるオートクレジットやオートローンの拡大により、制度としては存在するものの実際の利用はほとんどなくなっている[1]。このような状況から、2020年ごろから「マル専手形」の新規取り扱いを中止する金融機関が出ている[2][3]。なお、2021年2月経済産業省は、2026年をめどに約束手形を廃止する方針を決定している[4]
私製手形
手形法に基づいて発行された手形のうち、金融機関の指定する特殊な様式によらないものをこう表現する人がいる。

このほか、白地手形の項目も参照。
手形の使用目的奈良県下市町は日本の商業手形発祥の地として知られる

手形は、以下の目的で使用される。
商業手形(代金延べ払い)
手元に現金がない場合に、約束手形を振り出して代金に充てる方法である。企業取引は通常信用売買によってなされるが、通常の売掛債権よりも手形債権とした方が回収が確実視される。また、満期日まで実際の支払い期限が延長されるため、実質的に代金延べ払いの機能も有する。簿記用語(勘定科目)においては、受取手形あるいは支払手形と呼ばれている。
手形貸付
金銭を貸し付けるにあたって、借用書の代わりに、借主から貸主を受取人とする約束手形を振り出させることをいう。借主が支払期日に手形を決済出来ない場合は不渡りとなり、6か月以内に2回不渡りを出すと銀行取引停止処分となり倒産に追い込まれるため、最優先で決済することとなる。印紙代の節約にもなり、しばしば利用される。
融通手形
まず、経済的信用のある者が約束手形を振り出したり、手形の裏書人になる。この手形をすぐさま金融機関において手形割引を受けて現金を確保させるために資金繰りに窮した者へ渡すという使い方をいう。手形振出の元になる経済的関係(原因関係)がなく、手形の支払いが拒絶されるなど、しばしば紛争を生じる。
手形の使用方法

日本においては、手形を利用しようとする者は、まず銀行との間で当座勘定取引契約を結び、一般社団法人全国銀行協会が制定する「統一手形用紙」を受け取る。本来、手形要件(手形として機能させるために必要な法定された記載事項)さえ満たしていればよく、手形用紙に制限はない。しかし、統一手形用紙を用いなければ銀行は割引などの取引に応じてくれないため、実務上は統一手形用紙による手形を利用することがほとんどである。

しかし、一部貸金業者では、自社で私製手形を作成(統一手形用紙によらないものをこのように呼ぶ)し、金銭消費貸借証書の代用とする事もある。これは、印紙を節約できる場合があるほかに、証拠が書証に限定される手形訴訟の提訴により、迅速に回収できる可能性があるためである。ただし、申立が裁判で却下された例もある。
手形法理総説

手形(為替手形も含む)は、後述のように完全有価証券とされることから、有価証券法の基本法理を示すものとして手形法学の研究は各国で盛んである。以下は日本における手形法学に基づいて説明を加える。
手形の法源

ジュネーブ統一手形法条約への加盟によって制定された手形法によって規定されており、加盟国の間では基本的に同様の法規が適用される(しかし、他の加盟国においては、手形そのものは日本ほど盛んに用いられてはいない)。また、実務上は全国銀行協会連合会が制定する当座勘定規則と銀行取引約定書の規制も重要である。
手形の法的性質

手形は、証券と権利が強固に結合されており、その権利の発生・移転・行使というすべての段階において手形という証券を必要とするため、完全有価証券といわれる。

手形は、以下のような性質のすべてを持つ有価証券である。
要式証券性
証券の記載と権利の内容を一致させる前提として、証券の記載が法定的に定型化されていること。無因証券性と文言証券性を認めるための前提である。
文言証券性
証券の記載通りの効果が生じること(設権証券性からいって当然ではある)。これにより手形取得者は簡易な確認だけで証券の記載通りの効果を享受できるため、取引の安全に資する。
設権証券性
振出によって既存の権利とは別個の手形上の権利が生ずること。
無因証券性
手形の効力が原因関係の効力によって左右されないこと。
指図証券性
権利の移転のために
裏書を要するということ。民法における指名債権譲渡の特則として、簡易迅速な取引を可能とする。
呈示証券性
履行請求のためには証券を呈示しなければならないということ。高度の流通性を持つ手形において速やかな権利者確定が可能となる。
受戻証券性
証券との引き換えによってのみ債務履行を請求できるということ。
手形取引の安全

手形は、高度の流通性が予定されているため、取引の安全(手形債権者を不測の損害から守る)が法律ないしその解釈によって特に図られる。手形に対する信頼が損なわれれば手形制度は存立できないため、通常の商取引より手厚く保護される。また、後述の不渡りを起こした者に厳しい処分がとられるのもこのためである。
手形関係

手形をめぐる法律関係を手形関係という。手形の発生原因となる法律関係である原因関係と区別される。手形関係には振出・裏書・引受(為替手形の場合)などがある。
手形の振出

通説によれば、手形に署名し相手方に交付することを手形の振出という。

手形理論手形要件も参照のこと。
手形の譲渡

手形は、理論上は貨幣に匹敵する流通性をもつため、受取人(手形の振出を受けた者)から裏書譲渡によって転々と流通し、その所持人を変えてゆくことが想定されている。


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