手小荷物
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荷物扱いの様子
関東鉄道取手駅、1978年)

チッキとは、陸海の運輸業者による「託送手荷物」のうち、鉄道による手荷物輸送、またはその手荷物、もしくはその預り証のことである。手荷物の預り証を示す英語の check(チェック・チェッキ)からチッキと呼ぶ。同様の意味をもつ ticket が訛ってチッキと呼ばれた、という説もある。

この項では、便宜的に託送手荷物全般についても記述する。
目次

1 歴史

2 手順

3 費用

4 今日的な評価

5 その他

6 脚注

7 参考文献

8 関連項目

9 外部リンク

歴史

「チッキ」は本来、上記のように「手小荷物輸送」のうち「手荷物」やその輸送を意味するが、鉄道荷物輸送が広く行われていた当時、一般の用語法として必ずしも「手荷物」と「小荷物」を厳格に区別せず、比較的あいまいに「手小荷物またはその輸送」を指す形で用いられる傾向が少なからずあった。以下はこの用語法に基づく形で記述する。 国鉄時代の小荷物切符

JRの前身である日本国有鉄道(国鉄)で、最寄りで受発送の手続きをしていた鉄道小荷物や託送手荷物、または鉄道小荷物の受発送を指した。

上記の語源に示されるように、乗客の手荷物の託送に起源を有する。鉄道の発達とともに、乗客とは関係なく輸送される小荷物の取り扱いもなされるようになり、次第にこちらのほうが比重を増し、小口の荷物や要急送品、新聞週刊誌等の輸送手段として定着していった。荷物専用列車の時刻は一時期、市販の旅客用時刻表にも時刻が掲載されていた[1]

明治時代から長年、郵便小包とともに小口荷物輸送の一翼を担っていたが、1970年代に入ると国鉄と労働組合との関係が悪化、激しい労働争議が頻発した。これが荷主からの信頼を失う結果となる。1976年昭和51年)にヤマト運輸が「宅急便」の名称で宅配便サービスを開始したことや、新聞輸送のトラック輸送への転換や全国紙の現地印刷開始により、取り扱い個数が減少に転じた。これに対抗するため1982年(昭和57年)には集配サービスを付加した「宅配鉄道便Q」(人気漫画「オバケのQ太郎」をキャラクターに起用)を開始し、1985年(昭和60年)にはさらに取次店での荷物引受サービスを加えた「ひかり宅配便」の取り扱いを開始したものの凋落に歯止めはかからず、1986年(昭和61年)に鉄道小荷物サービスが廃止された。

この後、駅構内で旅客の手荷物を車廻りまで運ぶ独特の服装の赤帽も姿を消した。

一方、1981年(昭和56年)8月から、新幹線で荷物を輸送する「レールゴー・サービス」も東京?新大阪・大阪で開始され、11月25日から東京?博多に延長[2]、1986年(昭和61年)からはこれに集配サービスを付加した「ひかり直行便」も開始された[3]

なお、東海道山陽新幹線利用の「レールゴー・サービス」は、2006年平成18年)3月のダイヤ改正で廃止されたが、2003年(平成15年)5月に「ひかり直行便」と同様のサービスを始めた西濃運輸の「カンガルー超特急便」は2009年(平成21年)8月までサービスを継続していた(名古屋駅の事務所はレールゴーの事務所の一角に仕切りを設けたものであったものを継続使用していた)。

四国旅客鉄道(JR四国)管内では、関連会社の四鉄運輸により、特急列車を利用した小荷物輸送サービス(高松 - 松山・松山 - 宇和島・高松 - 高知・高松 - 徳島の各区間に限る。高松・松山での接続輸送は可能)が提供されている。

鉄道小荷物については「客車便」という呼び方もあった。客車の一種である荷物車を使用し、旅客列車扱いのダイヤで運行されることに着目した呼称で、貨物列車に比較して高速であり、所定ダイヤで運行されるため輸送日数にも確実性があることを意味するものであった。ヤード輸送方式時代の貨物列車は貨車の集結状況によってどの列車に組成されるかが不確実であり、輸送日数が不安定なのが大きな欠点であった。
手順

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隼駅に再現された手小荷物貨物取扱所

「手小荷物」とひとくくりに表現されることも多いが、託送手荷物と小荷物とでは当然ながら相違があった。

託送手荷物は、旅客が鉄道や船舶などの交通機関を利用する際に駅から駅またはから港の区間で旅客の手に余る重さ・嵩(かさ、体積)の手荷物等を駅や港の窓口で受付して輸送会社が預かる。小荷物との違いは乗車券が必要であり、自宅などへの配達が可能であった。この時に手荷物の引換券が渡される。

小荷物について、当時の国鉄の営業規則では次のようになっていた。いずれも1980年当時のものである。

1個30キログラムまで、大きさ2立方メートルまで。超過分は超過料金が必要。

受付は小荷物取り扱い駅で午前9時から午後5時まで。但し、貴重品や特殊な物品は取り扱い駅を限定して取り扱う。

所要日数は受付日1日+輸送距離400キロメートルごとに1日。急行荷物列車とブルートレイン利用の場合は受付日の翌日。

運賃は5つの地帯に分け、地帯区分、重量、品物によって決定する。急行荷物列車利用の場合は100円の急行荷物料金を、ブルートレイン利用の場合は小荷物運賃相当額の特急荷物料金をそれぞれ徴収する。

急行荷物列車とブルートレイン利用の場合は区間を限定して取り扱う。

配達はするが、配達可能駅と配達可能エリアを別に指定し、配達料金を徴収する。それ以外は駅留(駅まで取りに出向く。受付時間は午前9時から午後5時まで)。

荷物は厳重に荷造りした上、荷受人・荷送人を書いた紙などを荷物本体に貼ると共に、同じ内容を書いた荷札をくくりつけなければならない。
左側の窓が手小荷物受付窓口だった(JR越後線の小島谷駅

鉄道小荷物輸送は、旧国鉄だけでなく地方や、大都市圏の一部の私鉄でも行われていた。また、旧東京地下鉄道(現・東京地下鉄銀座線)でも昭和初期に旧国鉄との連絡運輸を開始したのを機にチッキの取り扱いを開始したが、約10年間に発送が3個、到着が5個という状態だったため、1950年(昭和25年)にチッキ扱いは廃止された[4]

2016年(平成28年)現在、島根県一畑電車で手荷物[5]・小荷物制度[6]が存続しているほか、近畿日本鉄道、南海電気鉄道を除く関西の大手私鉄では、利用頻度は高くないものの新聞原稿について託送制度が存在している[7]
費用

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昭和初期から戦前まで使用された、職員用の小荷物運賃表

重量や輸送距離により変動するが、1959年当時は運送距離の遠近に関わらず115円で、配達をしてもらう場合は30円加算された。また、発送駅から到着駅までの運賃は旅客同様最短距離によるが、私鉄駅からの発送の場合は私鉄線の運賃も加算された。
今日的な評価

日本の鉄道からは託送手荷物は姿を消したが、航空機高速バス離島航路においては乗客の手荷物を預かって輸送(通常は乗客と同じ便で)するサービスが常識となっている。性格は託送手荷物そのものである。いずれも客室が狭いことや、保安上の理由によるものであるが、ターミナルで荷物を持って移動する負担が減る等、乗客にもそれなりの利便性がある。

九州地方のいくつかの大手バス事業者では、九州産業交通がかつて一般路線バスによる小荷物輸送を行っていたほか、都市間バスによる小荷物輸送すら、長い歴史を持ちながら現在も行われ続けている。

日本の鉄道においては、その旅客輸送密度の高さ故に荷物輸送のためのスペース・人員・ダイヤを確保できなくなったのが実情である。


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