戦隊ロボ(せんたいロボ)は、日本の特撮作品「スーパー戦隊シリーズ」に登場する架空の巨大人型ロボットの総称。
作品の設定によっては機械ではなく超自然的な巨大生物とされ、「戦闘巨人」など個別の表現が用いられる場合もあるが、それらも総称としての「ロボ」に含まれる[1]。
日本国外向け輸出作品である『パワーレンジャー』シリーズでは、戦隊ロボを指す語句としてメガゾード (Megazord) が使用される[2]。目次 シリーズ各話においてヒーローに倒された怪人は、何らかの手段により巨大な姿と化す。すると戦隊メンバーもまた巨大なメカに搭乗し、それらを合体させて人型ロボットを形成して立ち向かう。これがスーパー戦隊シリーズのフォーマットである[3][1]。 シリーズの歴史の中には、怪人が巨大戦闘マシンに搭乗する『超電子バイオマン』や、怪人と巨大メカが別々に出現する『特命戦隊ゴーバスターズ』などのように変則的な作品もあり、新パターンの構築やパターンとドラマの融合を目指した挑戦が、たびたびなされていることが読み取れる[3]。 この「2回戦制」は、アニメに出自を持つ「巨大ロボ」と『秘密戦隊ゴレンジャー』に始まる「5色のヒーロー」という、異なる2種類の要素を融合させた結果として生み出された[1][3]。つまり、番組制作上の必要に迫られて形成されたものがヒットして定番化したわけであり、初めから道理にかなった企画として提示されたわけではない。そしてまた、なぜこの方式が作品のヒットにつながったのかは、誰も理論化できていない。そのため、巨大ロボ戦の存在をどのように受け止めて消化するのかが、新番組の企画を練るうえで必ず打ち当たる壁であり、良くも悪くもスーパー戦隊最大の特徴であると、白倉伸一郎は語っている[3]。 巨大ロボットが登場する映像作品は数多く存在するが、戦隊ロボのデザインには以下に挙げる独自の特徴がある。 戦隊ロボの登場シーンは、各話ごとに撮影を行うのではなく、数話分まとめて撮影が行われている。特撮監督の佛田洋は2017年のインタビュー時点における現行の体制として、「初期10話分」「2号ロボ登場編」「夏の劇場版と6人目登場編」「秋の最強ロボ関連」の年4回であると証言している[7]。 撮影は基本的に特撮研究所が行っているが、『光戦隊マスクマン』から『星獣戦隊ギンガマン』まではスケジュールや予算などの都合から特撮監督の矢島信男や佛田洋ではなくアクション監督の竹田道弘が担当していた[7]。『救急戦隊ゴーゴーファイブ』以降は、デジタル技術の導入により撮影時間が短縮されたため、再び特撮班がロボ戦を担当している[7]。 特撮用の着ぐるみはまずデザイン画をもとに粘土模型を造り、それを原型とした金型で各パーツを成形する[5]。前澤範が『スパイダーマン』の巨大ロボ「レオパルドン」を手がけた際、「硬くて重いほうがロボットらしい」と考え、スーツの全身を軟らかいラテックスではなくFRPで造型した。この構造が、その後の戦隊ロボの基本となっている[8][9]。 スーツの制作は、『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』では『大鉄人17』も手がけたエキスプロダクションが担当していたが、『太陽戦隊サンバルカン』以降はレインボー造型企画が担当し[9]、足が高下駄構造になり、大きさを担保するとともにアニメ風のスタイルを強調している[9]。 『電子戦隊デンジマン』から『未来戦隊タイムレンジャー』までスーツはほとんどの場合、アップ撮影用とアクション用にそれぞれ1体ずつ製作されていた[9]。どちらも量産できるものではないため、コストは高い[5]。 CGを本格的に導入した『百獣戦隊ガオレンジャー』からはこうした区別をなくし、アクション用スーツの質を少しだけ上げることによってすべての撮影に対応するようになった。これは技術の進歩によってスーツの素材や品質が向上した成果であるのと同時に、CGが必要とする多額の予算を捻出するための手段でもあった[11]。また、レインボー造型企画の前澤範は、『ガオレンジャー』では換装合体という設定から造形物が多く、それらすべてをFRP製にするわけにはいかなかったことも理由に挙げている[10]。 2体以上のロボットが合体する超大型ロボットの場合、『超獣戦隊ライブマン』のスーパーライブロボや『地球戦隊ファイブマン』のスーパーファイブロボなどのように通常のスーツよりも極力大きくは作られているものの、実際のサイズ差は考慮せず撮影技法で演出してアクションでの可動性を重視しているものと、『高速戦隊ターボレンジャー』のスーパーターボロボや『炎神戦隊ゴーオンジャー』のエンジンオーG12などのようにスーツ自体を大きく造形し、自力での移動を考慮しないものの2種類に大別される[9]。
1 シリーズのフォーマット
2 制作
2.1 デザイン面での特徴
2.2 撮影
2.3 撮影用スーツ
2.4 ミニチュア
3 歴史
3.1 1970年代
3.2 1980年代
3.3 1990年代
3.4 2000年代
3.5 2010年代
4 脚注
5 参考文献
シリーズのフォーマット
制作
デザイン面での特徴
実写作品であるため、着ぐるみの中に人間が入って動かせなければならない[4]。デザイン画に忠実な形状では可動が阻害されるため、着ぐるみ製作にあたっては部分的に削ったり継ぎ足したりせざるを得ないが、それでも可能な限り元のデザインに近いことが求められる[5]。
幼児向けの玩具として発売されるため、ギミックは3歳児でも安全に楽しめなければならない[4]。
玩具は原則として放送年度のみの発売とされる。有名アニメロボットのように、時代ごとの新デザインで繰り返し発売されるようなものではない。「超合金魂」のバトルフィーバーロボや大獣神、「戦隊職人」ブランドのアイテムなどはあくまで例外である[4]。
最も大切なのは顔のデザインである。「子供たちが抱いて眠れるような」品のある顔立ちが求められ、恐ろしい形相は不可となる[6]。
撮影
撮影用スーツ
アップ撮影用
合体・必殺技のようなハイライトシーンの撮影のほか、幼年誌・児童誌に掲載する特写や商品パッケージにも用いられる。材質は主にFRPで、表面は何日もかけてサンドペーパーで磨き上げられたうえで着色されている。たいていは2メートル以上の大きさがあり、重量のせいで着用しての歩行すら難しい。
アクション用
毎回の撮影で用いられる。『電子戦隊デンジマン』で初めて制作された[9]。レインボー造型企画の小松義人によれば、ほとんどの場合は別にもう1体作っているのではなく、必要に応じてアクション用のパーツに組み替えていたと証言している[10]。材質は主にウレタンなどの軟質素材が用いられており、表面処理がビニール系素材で行われているなど、FRPの使用量は抑えられている[5][9][10]。小松は、硬い素材だけでは動きづらく、ぶつかると破損や怪我にもなるため、柔らかい素材を用いることも必要であると述べている[10]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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