戦国小町苦労譚
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戦国小町苦労譚
ジャンル
時代小説ファンタジー
小説
著者夾竹桃
イラスト平沢下戸
出版社アース・スター エンターテイメント
掲載サイト小説家になろう
レーベルアース・スターノベル
連載期間2013年1月27日 -
刊行期間2016年1月15日 -
巻数既刊17巻(2024年3月現在)
漫画
原作・原案など夾竹桃・平沢下戸(原作)
作画沢田一
出版社アース・スター エンターテイメント
掲載サイトコミック アース・スター
レーベルアース・スターコミックス
発表期間2017年5月26日 -
巻数既刊15巻(2024年2月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクトライトノベル漫画
ポータル文学漫画

『戦国小町苦労譚』(せんごくこまちくろうたん)は、夾竹桃による日本ライトノベル。イラストは平沢下戸が担当。2013年1月27日より「小説家になろう」で連載されており、2016年1月15日からはアース・スターノベルアース・スター エンターテイメント)より書籍化されている。2023年3月時点でシリーズ累計発行部数は200万部を記録している[1]

2017年5月26日からは『コミック アース・スター』(同社)にてコミカライズが連載されている[2]。作画は沢田一
あらすじ

歴史好きの農業高校生・綾小路静子は、学校の帰りにふと気が付くと永禄八年(1565年)3月という戦国時代のど真ん中にタイムスリップしていた。そこで織田信長に出会い、(当時は無礼に当たる)実名を口にして殺されそうになった静子は、南蛮で育ち最新の農業技術を持っているため役に立つと自称する。その言葉を聞いた信長は、静子を荒れ果てた村の村長に任命し、豊作にすることを命じる。村長に任命された静子は、土壌を改良したりタイムスリップの際に偶然持っていた苗を植えたりして信長の命に応えようとする。初めこそ村長が女であることへの風当たりは強かったが、静子が実力を発揮するにつれ村人の偏見は少なくなっていった。その後、静子は内政にも呼ばれ、現代の技術や農業の知識を織田軍のために使用する。

稲葉山城の戦いを制した信長は、これまでの静子が語る知識や育ちをうかがわせる話などから、宣教師から聞く南蛮とは明らかに異なる出自の人間と見破り、別な世界からの来訪者ではないのではないか?という問いを投げかけ、ついに静子はタイムスリップについて正直に話すことにする。静子の知識は信用できると判断した信長は、静子を「織田家相談役」に任命。可児才蔵、前田慶次が馬廻となり、勝蔵が静子のもとで修業することとなった。その後静子は行商人から自分のものではない現代品を購入し、自分のほかにもタイムスリップしてきた人間がいることを知る。

信長は足利義昭と会合の上、上洛を決定。静子も上洛戦に参戦を命じられる。その後京の治安回復を成し遂げた際、料理人としてやってきた足満とみつおに出会う。静子と話し合い、みつおは畜産担当として、足満は神社の神主としてそれぞれ働くこととなった。足満は、濃姫を間者から救ったことを切っ掛けに自身が元将軍・足利義輝であり、死ぬ直前に現代にタイムスリップして再び戦国時代に来た人物であることを思い出す。

静子の助言により浅井長政の裏切りは無くなったものの、浅井家の実権を握る浅井久政の妄動を防ぐ事は出来ず、史実通りに浅井朝倉連合軍と織田家の対立が始まり、姉川の戦いが起こってしまう。志賀の陣森可成を失うのを避けるため、静子軍は宇佐山城へ向かう。可成は死亡はしなかったものの重傷を負い、静子は作戦が失敗したことに深く責任を感じるようになる。信長軍は劣勢が続き、朝廷による和睦の令によって志賀の陣は終幕する。
登場人物
綾小路静子(あやのこうじ しずこ)
本作の主人公
[3]。歴史好きの元農業高校生。ある日突然戦国時代にタイムスリップしてしまい、織田信長に仕えることとなる。肩書は「織田家相談役」。信長直属として「静子隊(のちに軍単位となる)」を率いる。博覧強記でもあり、戦争に詳しい姉や、農業のプロである祖父・寅之助とその知り合いの薫陶もあって多方面の知識を有し、戦国時代以降の未来の知識や技術や料理などを再現することで、戦国の終焉を目指す織田家にとって切り札的存在でもある。信長と前久による朝廷戦略として静子の家名を利用し、断絶した公家・綾小路家の末裔とされ、前久や濃姫が代筆した手紙と献上品により、正親町天皇より従四位上の官位と「仁比売(にひめ)」の名を賜る。ルイス・フロイスを始めとした外国人に対しては男装した上で頭巾を被った姿で相対し、「頭巾宰相」と呼ばれている。この変装は信長の指示だったが、以後解禁の指示がないため律儀に続けている。尾張を中心とした織田領内の発展と安定に寄与し、信長に仕えてから長年に渡って尾張を発展させてきたことで、尾張では崇拝に近いレベルで民に慕われている。動物好きでヴィットマンファミリーだけでなく地元の野生種やフロイスから献上された外来種も手懐けており、害意を持つ者は近づいただけでも排除される。作中ではタイムスリップしてすでに10数年が経っており、三十路も目前だが独身。静子の持つ個人資産額もだが、織田家内部での立場が高まり下手な相手を婿にすることも出来ず、保護者役である信長・前久・足満の3人が親バカを発揮して候補者に片っ端からダメ出しした結果、信長の庶子でも訳ありだった四六と器を養子にする形になっている。
織田上総介三郎平朝臣信長(おだ かずさのすけ さぶろう たいらの あそん のぶなが)
尾張国の戦国大名。静子の持つ知識の価値を知り召し抱える。非常に聡明で静子の語る知識を自分なりに咀嚼して独自の見解で活用する。怒ると手が付けられないのは史実の通りだが、身内と認めた相手には存外甘いところもあり、正室でありながら子がいない濃姫との関係も良好。家中の有望な若者や人質として預かった者を静子の元に預け、高度な知識と思考法を学ばせている。
森三左衛門可成(もり さんざえもん よしなり)
信長の家臣。静子のお目付け役。史実では戦死している宇佐山の合戦を生き延び、戦傷によって一線を退くことになるも勝蔵に稽古を付けられる程度の力量は維持している。
ヴィットマン、バルティ
静子が手なずけたハイイロオオカミのオスと番のメス。5匹の子を産むが、天正3年(1575年)に寿命を迎えて亡くなる。
カイザー、ケーニッヒ、アーデルハイト、リッター、ルッツ
ヴィットマンとバルテイの間に生まれた狼たち。さすがに嫁は見つけられなかったようで、輸入したジャーマンシェパードと交配し、ウルフドッグとして血を残す形になった。
シロガネ、アカガネ、クロガネ
フロイスから信長に献上されたオウギワシや、静子が山で拾った外来種らしきミミズク。
金蔵(きんぞう)
静子が最初に任された村の鍛冶職人。静子からの依頼で様々な道具を作るが、職人が増員されつつもオーバーワークとなり、技術街が作られたことでようやく一段落する。
彩(あや)
静子の小間使い。当初は信長の密偵として静子の知識の源泉を探っていたが、現代文が読めなかったり、静子の荷物をヴィットマンファミリーが守っていたため成功せず。静子を手伝っているうちに静子の事業になくてはならない人材となっていく。家族や親族は合戦に巻き込まれたことで既に死去しており天涯孤独であったが、信長に拾われた事で静子の小間使いとなった。静子自身は彩を自分の義妹にすることも考えている。
玄朗(げんろう)
静子軍の歩兵部隊を統括する老人。戦国の世に生きるには不用心すぎる静子を心配しつつ主君として立てている。彼の部下たちは家族の面倒も見てくれた静子への恩に報いるべく、宇佐山の合戦では死兵となって朝倉軍を食い止めた。軍務面で静子を支えた功績によって士分に取り立てられ「尾張楠木玄朗静興(おわりくすのき げんろう しずおき)」と名乗るようになる。
濃姫(のうひめ)
信長の正室。好奇心旺盛で、信長と同様に静子に無茶ぶりを行う。信長と共に来る以外にも、ねねやまつを連れて静子の元を訪れ、面白いことはないかと要求している。かなりのリアリストで宗教や古いしきたりも不合理と判断すれば切って捨てている。
織田信忠(おだ のぶただ) / 奇妙丸(きみょうまる)
信長の嫡男。当初は「茶丸」と名乗って静子の様子を窺っていたが、咳病の治療を受けたりして静子と親しくなり、多大な影響を受けて成長を遂げた模様。甲州攻めでは武田勝頼との一騎打ちに勝利して許婚であった松姫を譲り受けている。配下の諸将達から、松姫を側室では無く妾にするよう具申され、松姫の身が危ないと判断し、正室にすると宣言することで事を大きくし信長の耳にも入ることで、諸将らの暗躍を阻止して、一度は信長と対立するも静子が間に入る事で一連の騒動を公の場で謝罪し発言を撤回すると宣言したことで、松姫を側室として迎え入れれることが出来た。
可児才蔵吉長(かに さいぞう よしなが)
静子の馬廻衆。真面目な性格で先走る勝蔵やノリの軽い慶次を抑える役所。与えられた命令に対して完璧を目指す質で、京の浮浪者・孤児対策では完璧を求めすぎて失敗したことから、質の向上を目指すには「まず体裁を整えてから」という要点を学ぶ。
前田慶次利益(まえだ けいじ とします)
静子の馬廻衆。性格が明るく、京の職人を岐阜に勧誘したりと人を取り込むのが上手い。静子のことを静っちと呼ぶ。静子が南蛮から輸入した軍馬・デストリア種を気に入り「松風」と名付ける。
森長可(もり ながよし) / 勝蔵(かつぞう)
可成の次男。荒くれものであり、信長の命によって静子のもとで修業をしている。最初は静子に反発していたが徐々に静子のことを認める様になり、静子から学んだ知識や技術も活用して「鬼武蔵」の二つ名に劣らぬ暴れっぷりを見せる。家中ではやり過ぎだと意見されるが信長からは「若人らしくて良い」と気に入られている。後に元服してから幾多の戦いに参戦しており、様々な活躍をしていく。本人は政治については一切の興味を持たないが、それは森家は兄が継ぐからであり、もし自身が政治に明るいと良からぬ欲を持つものが現れて、森家を揺るがすかもしれないと言う理由だった。静子もこの考えを聞くと、信長から気に入られていることもあって森家に火種を産む可能性があると納得しており、本人はあくまでも兄の腕で矛であれば良いと思っている、
簫(しょう)
前田利家の次女。女性でありながら織田家で躍進する静子に憧れ、人員増強の募集がされた際に志願してきた。薙刀にも長けており、才蔵に稽古をつけてもらっている。
藤堂与吉(とうどう よきち)
浅井の家臣だったが、長政の追放を受けて退転。織田家に仕官した。静子に預けられるが当初は静子を認めなかった。史実では築城の名人だったため、黒鍬衆に研修に出される。漫画版では大男に描かれており、床に正座した状態で立った勝蔵と大差ない位置に頭がある。
足満(あしみつ)
静子は知らないが、正体は足利義輝。永禄の変で死亡する直前に現代にタイムスリップし、ボロボロに傷ついて記憶を失った状態で拾われ、静子の家で数年の間を共に過ごしていた。その後静子と同様にタイムスリップし、再び戦国時代へやってくる。


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