戦争と一人の女
作者坂口安吾
国 日本
言語日本語
ジャンル短編小説
発表形態雑誌掲載
初出「戦争と一人の女」-『新生』1946年10月・臨時増刊号(小説特集号)第1号
「続戦争と一人の女」(のち「戦争と一人の女」)-『サロン』1946年11月号(第1巻第3号)(小説特集号)
収録『いづこへ』 1947年5月15日(サロン版)
装幀:本郷新 題字:大野容子
『戦争と一人の女』(せんそうとひとりのおんな)は、坂口安吾の短編小説。戦時中の空襲下の日々を舞台に、虚無的な男と、淫奔ながらも不感症の女の同棲関係を描いた作品。坂口安吾の主要作の一つで、敗戦後から1946年(昭和21年)末までに書かれた作品の傑作として投票で選出された作品である[1]。GHQの検閲により大幅作削除されていた初出は1971年(昭和46年)以降から復活し、「続」でなく、当初の「戦争と一人の女」が正規版となっている[1][2]。
2013年(平成25年)に同名タイトルで映画化された。目次 1946年(昭和21年)10月1日、雑誌『新生』臨時増刊号(小説特集号)第1号に「戦争と一人の女」掲載された[1]。ゲラ刷りの段階でGHQの検閲により多くの文章が大幅削除されたために、翌月11月1日、雑誌『サロン』11月号(第1巻第3号)小説特集号に「続戦争と一人の女」が発表された。末尾には、安吾自身の注記で「新生特輯号の姉妹作」と付されている[1]。 その後はこの「続」の方を「戦争と一人の女」と改題し、1947年(昭和22年)5月15日刊行の単行本『いづこへ』に初収録された。最初に掲載された『新生』版の方は、同一状況の展開を、男側の視点で綴られているが、『サロン』版は、女の視線で語られている(安吾の初の女語りの作品)[1][2]。闇に葬られていた『新生』版は、安吾の没後の1971年(昭和46年)12月に刊行の『定本坂口安吾全集 第13巻』(冬樹社)に初収録され[1]、以降、『新生』版が「戦争と一人の女」として復帰した[2]。 太平洋戦争末期の東京で、小説家の野村は酒場の主人の妾であった女との生活をはじめた。女には肉体の喜びは無いが、性質が本来頭ぬけて淫奔なのであった。家庭的な愛情は無いが奇妙に惹かれあう二人は、どうせ戦争で破滅するのだからと、戦争をおもちゃに楽しんでいるかのような退廃的な生活を送っていた。空襲が激しくなり、火の手が迫る中で死を覚悟していたはずの女は、家を火から守ることを野村に懇願するのだった。
1 発表経過
2 あらすじ
3 おもな収録刊行本
4 映画作品
4.1 キャスト
4.2 スタッフ
5 漫画作品
6 脚注
7 参考文献
8 外部リンク
発表経過
あらすじ
おもな収録刊行本
『いづこへ』(真光社、1947年5月15日)
装幀:本郷新。題字:大野容子
収録作品:第一部(「石の思ひ」、「風と光と二十の私と
※ 佐藤美代子装幀の異装本もあり。
文庫版『白痴』(新潮文庫、1949年1月3日。改版1996年)
カバー装幀:平野甲賀。付録・解説:福田恆存。
収録作品:「いずこへ」、「白痴」、「母の上京」、「外套と青空」、「私は海をだきしめていたい」、「戦争と一人の女」、「青鬼の褌を洗う女」
『定本坂口安吾全集 第13巻 雑纂 II』(冬樹社、1971年12月25日)
解説:奥野健男。伝記的年譜・解題:関井光男。月報:関井光男「坂口安吾の世界」
※ 『新生』版が初収録されている。
文庫版『白痴・青鬼の褌を洗う女』(講談社文芸文庫、1989年7月3日)
装幀:菊地信義。付録・解説:川村湊
収録作品:「ラムネ氏のこと」、「ふるさとに寄する讃歌」、「帆影」、「木々の精、谷の精」、「波子」、「真珠」、「白痴」、「外套と青空」、「女体」、「恋をしに行く」、「戦争と一人の女」、「続戦争と一人の女」、「青鬼の褌を洗う女」
『坂口安吾全集 4』(筑摩書房、1998年5月22日)
装幀:菊地信義。編集:柄谷行人、関井光男。解題:関井光男。