成人式
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2021年埼玉県熊谷市の成人式(熊谷スポーツ文化公園

成人式(せいじんしき)とは、年度内に成人となる人々を学齢ごとに日本の各地方自治体が主に1月第2月曜日(成人の日)に激励・祝福する行事である。講演会を開いたり、記念品を贈ったりする。しかし、日本国政府の主催ではなく各地方自治体が自主的に行っているため、学齢方式はどこも同じだが成人の日以外に主催する自治体も存在する[1]

2022年令和4年)4月1日成年が20歳から18歳に引き下げられたものの、多くの自治体は引き続き20歳を対象に実施している[2]。また、成年の引き下げに伴い、多くの自治体が名称を「成人式」から「二十歳のつどい」などに変更した[3](詳細は#成人年齢引き下げに伴う動きを参照)。

本節ではこのほか、成人式に類似したイベントについても取り上げる。
由来成人式でを開ける鏡開き(鏡抜き)式

成人を祝う儀礼は古くからあり、男子には元服褌祝女子には裳着・結髪などがあった。文化人類学民俗学では、こうしたものを通過儀礼(イニシエーション)の一つとして扱う。皇族の成年式は、後述のとおり1909年から1947年まで行われていた。

日本における今日の形態の成人式は、第二次世界大戦の敗戦間もない1946年昭和21年)11月22日埼玉県北足立郡蕨町(現:蕨市)において実施された「青年祭」がルーツとなっているのが定説である[4]敗戦により虚脱の状態にあった当時、次代を担う青年達に明るい希望を持たせ励ますため[5]、当時の埼玉県蕨町青年団長高橋庄次郎(のち蕨市長)が主唱者となり青年祭を企画、会場となった蕨第一国民学校(現:蕨市立蕨北小学校)の校庭にテントを張り、青年祭のプログラム「成年式」として行われた。この「成年式」が全国に広まり現在の成人式となった。蕨市では現在も「成年式」と呼ばれており[5]1979年(昭和54年)の成人の日には市制施行20周年、成人の日制定30周年を記念して同市内の蕨城址公園に「成年式発祥の地」の記念碑が同市によって建立された。

蕨町の「青年祭」に影響を受けた日本国政府は、2年後の1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法により、「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます」の趣旨のもと、翌1949年(昭和24年)から、1月15日成人の日に指定した[5]。それ以降、ほとんどの地方で成人式はこの日に行われるようになった。その後、1998年平成10年)の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)に伴って、2000年(平成12年)より、成人の日は1月第2月曜日へ移動している[注釈 1]。なお、2018年近くの調査によって名古屋市、また宮崎県東臼杵郡諸塚村も発祥の地を名乗っている[6]
参加者日本の成人式に参加する服装の一例

成人式の参加対象となる成人は、本来は前年の「成人の日」の翌日からその年の「成人の日」までに誕生日を迎える人を祝う日とされている。しかし、最近(特にハッピーマンデー制度導入以降)は前年の4月からその年の3月に成人する人を式典参加の対象にする、いわゆる学齢方式が定着するようになっている。

年齢方式の場合、誕生日の遅い早生まれの人が他の参加者がほとんど見ず知らずの人になってしまったり、ハッピーマンデー制度によりその年の成人の日は19歳で翌年の成人の日は21歳になるケース[注釈 2]があることにより学齢方式に変更された経緯がある。

他に北海道札幌市広島県広島市では、この1年間に20歳の誕生日を迎える人を成人式参加の対象者とする暦年方式が用いられていた[注釈 3]。しかし、大学受験で1浪しただけで式典参加が困難になる場合が多いうえ、前年に他市町村で成人式の対象とならなかった人が翌年、進学や転勤で転入した場合、2年続けて参加できなくなるなど若者の不評が多かったことから、両市とも2000年以降は学齢方式に変更されている[注釈 4]

1960年代までは、新成人は半数以上が既に社会に出ている勤労青少年だったが、1970年代以降、大学・専門学校進学者()の増加や中卒・高卒就職者の減少から、新成人全体に占める在学者の割合も年々増加しており、現在に至っている。

総務省統計局(2019年12月31日)は、2020年1月における新成人の人口を122万人と推計。総人口に占める割合は10年連続で1%を下回った[7]

技能実習生留学生などの外国出身者の参加も増加している[8]。2020年、宮城県塩竈市では、インドネシア語ベトナム語英語やさしい日本語の招待状を送った[9]。2019年度の外国出身の参加者は全体の約6%で30人だった[9]
成人年齢引き下げに伴う動き

2022年に民法改正により成年(成人年齢)が18歳に引き下げられたが、18歳は概ね高校在学中で受験や就職活動があるなどの事情で、当該年度に20歳になった人を招待する等、従来の形式のままで行うと八王子市などは回答している[10][11]。成人年齢と参加者の年齢の乖離にそなえ名称を変更する動きも出ている[12]

2023年に18歳を対象とした成人式を行ったのは、伊賀市三重県)、国東市大分県)、美郷町 (宮崎県)の3市町のみで、他の自治体ではすべて20歳を対象とした成人式を継続した[13]。このうち、国東市は2023年5月に18歳成人式を開催したものの、出席者から不満の声が上がり[14]、2024年には早くも20歳成人式に戻した[15]。伊賀市は18歳による式に変更したことにより、2023年には従来の形式では最後となる式(20歳を迎える学年の式)を1月に、19歳を迎える学年の式を3月に、2023年5月4日に年度を跨いで全員が18歳を迎えた学年[注釈 5]の式を開いた[16][17]。美郷町は2023年1月3日の午前に20歳対象の成人式を、午後に19歳対象の成人式を[18]8月15日に18歳対象の成人式を開催した[19]。この18歳成人式に参加した新成人は、通学する高等学校制服を着用していた[19]別海町北海道)では18歳成人式の挙行を予定していたが、町民の8割が反対したため、20歳成人式を維持することを決定した[13]

また、成年であるか否か、成人式に参加するか否かにかかわらず、20歳未満の飲酒喫煙は法律[注釈 6]で禁止されている。
令和4年度(2023年)以降の自治体の方針例

自治体名称対象出典
新宿区はたちのつどい(変更なし)20歳
[20]
渋谷区はたちのつどい[21]
世田谷区二十歳のつどい(仮称)[22]


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