感情の分類
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シャルル・ルブランとJ・パスによる16の感情の表情を描いたカラー凹版画

感情の分類とは、ある感情を他の感情と区別したり対比したりするための手段である。

感情には、喜び恐れ驚き嫌悪怒り悲しみなどの基本感情が存在すると考える基本感情説と、感情が「不快」、「覚醒睡眠」などの次元上のひとつのベクトルとして表されると考える次元説がある。[1]

基本感情説を代表する理論にはポール・エクマンの分類プルチックの感情の輪ダライ・ラマ14世とポール・エクマンの分類などがある。このような理論では基本感情の組み合わせによって、異なる様々な感情(応用感情)が生じるとしている。[1]

次元説は基本感情説と対立した理論である。基本感情説では「研究者によって基本感情の数が異なる」・「同じ刺激でも人や場面によって受け取り方が異なっている」などの問題点が指摘されていた。このような問題点から、感情を基本感情ごとに分ける考え方ではなく、いくつかの要素の違いで連続的に変化するものだという主張が現れた。これが次元説である。次元説には、ラッセルの感情円環モデルなどがある。[1][2]ポール・エクマン
ポール・エクマンの分類

詳細は「ポール・エクマン#表情の分類」を参照。

アメリカ心理学者であるポール・エクマンパプアニューギニア部族民などを調査することで、基本的な感情のリストを作った。[3]

エクマンは怒り嫌悪恐れ幸福感悲しみ驚きの6つの感情が全人類に普遍的であり、生物学的基盤を持つと結論した。また、1990年代には追加で11の感情(喜び安心満足・面白い・興奮自負心納得感軽蔑困惑罪悪感)を追加した。[3][4]プルチックの感情の輪プルチックの感情の輪(混同感情の関係)
プルチックの感情の輪

詳細は「感情の一覧#プルチックの感情の輪」・「ロバート・プルチック#プルチックの感情の輪」を参照。

アメリカの心理学者であるポール・エクマン(Paul Ekman)は1980年にプルチックの感情の輪を提唱した。この理論は、円錐を逆さまにしたような色彩立体の感情モデルである。[5]

プルチックの感情の輪は、8つの基本感情(喜び期待怒り嫌悪悲しみ驚き恐れ信頼)と16の強弱派生、24の混同感情から成り立つ。[5]

基本感情と強弱派生・対極感情[5]基本感情強い感情弱い感情対極感情
喜び恍惚平穏悲しみ
期待警戒関心[6]驚き
怒り激怒苛立ち[7]恐れ
嫌悪憎悪退屈[8]信頼
悲しみ悲嘆[9]哀愁[10]喜び
驚き驚嘆放心[11]期待
恐れ恐怖不安[12]怒り
信頼敬愛容認嫌悪

ダライ・ラマ14世とポール・エクマンの分類ダライ・ラマ14世

チベット仏教指導者であり、チベット行政府国家元首を務めるダライ・ラマ14世とアメリカの心理学者ポール・エクマン2016年に感情を5つのカテゴリーに分け、合計46種類に分類した。[13]

ここでの5つのカテゴリー(五大感情)とは、楽しみ嫌気悲しみ恐れ怒りである。[13]

また、それぞれのカテゴリーの感情は以下の通りである。[13]

楽しみ:狂喜・興奮・驚嘆・ナチェス・フィエロ・高慢・平穏・安心シャーデンフロイデ・面白い・同情喜び・感覚的快楽(計13種類)

嫌気 :強い嫌悪・憎悪・反感・嫌気嫌悪嫌い・苦手(計7種類)

悲しみ:苦悩悲嘆悲哀絶望・悲惨・落胆・無力・諦め・逸脱挫折残念(計11種類)

恐れ :震駭・恐怖パニック自暴自棄・恐れる・不安緊張感狼狽(計8種類)

怒り :憤激・執念・怨み・論争性・激昂フラストレーション・苛立ち(計7種類)

ラッセルの感情円環モデルラッセルの感情円環モデル

1980年にジェームズ・ラッセルはラッセルの感情円環モデルを提唱した。[1]

ラッセルの円環構造モデルは、横軸に「不快」という感情価、縦軸に「覚醒眠気」という覚醒をとったとき、感情が円環状に並ぶ。[14][15]

また、感情の強さは原点からの距離によって表わされる。[14]
その他の分類情念論
スピノザの分類
オランダ哲学者バールーフ・デ・スピノザは、喜び悲しみ欲望の3つを基本感情として、感情を48種類に分類した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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