愛染明王
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愛染明王(『図像抄』〈十巻抄〉より)木造愛染明王坐像 東京国立博物館蔵、内山永久寺旧蔵、鎌倉時代、13世紀、重要文化財愛染明王(仏像図彙 1783年)

愛染明王(あいぜんみょうおう : r?gar?ja[1])は、仏教の信仰対象であり、密教特有の憤怒相を主とする尊格である明王の一つ。愛染王とも[1]
概説

金剛薩?(Vajrasattva)の化身で、通常は17尊、時に37尊を眷属とする[1]
異名

『覚禅鈔』には、愛染明王の異名として「?枳王」を挙げ、『妙吉祥平等秘密最上観門大教王経』(大正蔵No.1192)には、?枳王が「大愛明王」と訳されている。

また『瑜祇経』における“愛染王一字心明”が「ウン・タキ・ウン・ジャク」(吽引 ? 枳 吽引 惹入聲 )とあるので、那須政隆は?枳明王(?aki)を愛染明王であるとしている[2][注 1][4]
密号

愛染明王の密号は『離愛金剛』である[5] [注 2][注 3]。ここでの「離」は生死のとなる因子の煩悩や渇愛を離れる意味で、「愛」は菩提(覚り)の妙果を愛する意味であるので[5]、『離愛金剛』は「愛欲(煩悩)を離れ、大欲に変化せしむ」の意味となる[6]
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出典検索?: "愛染明王" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2016年8月)
木造愛染明王坐像 東京国立博物館蔵、内山永久寺旧蔵、鎌倉時代、13世紀、重要文化財

愛染明王は一面六臂で他の明王と同じく忿怒相であり、頭には獅子の冠をかぶり、宝瓶の上に咲いたの華の上に結跏趺坐で座るという、大変特徴ある姿をしている。その身色は真紅であり、後背に日輪を背負って表現されることが多い。

造像形態としては、近現代の自由な発想に依る描画・造形を除き少なくとも日本においては、前述のとおり座像で顕されることが圧倒的に多く、立像は、彫刻では和歌山県紀の川市の円福寺が所蔵する江戸時代の作例と、山梨県甲斐市天澤寺山門の二天像(対となるのは摩利支天立像)を成す江戸時代の像、「目黒不動」と通称される東京都目黒区瀧泉寺本堂安置の像(本尊須弥壇向かって左側の唐破風・防護ガラス付きの龕内に安置。照明も十分でなく礼拝位置からも距離があるため像容は判然としないが、江戸初期は下らない時期の作とされる)が知られる[注 4]

また、『瑜祇経』第五品に記される偈頌(げしゅ)である「衆星の光を射るが如し」の部分を再現した天に向かってを引く容姿の造像も存在し、高野山金剛峯寺に伝えられる「天弓愛染明王像」や、京都府木津川市山城町の神童寺像、山梨県甲州市塩山の放光寺像などが著名である。更には、日蓮筆と伝える「愛染不動感見記」の馬に乘る八臂像や、両頭など異形の容姿で描かれた図像も現存する。

愛染明王信仰は「恋愛・縁結び・家庭円満」などをつかさどる仏として古くから行われており、また「愛染=藍染」と解釈し、染物・織物職人の守護仏としても信仰されている。さらに愛欲を否定しない[8]ことから、古くは遊女、現在では水商売の女性の信仰対象にもなっている。

日蓮系の諸宗派で祀られる「大曼荼羅御本尊」では、題目南無妙法蓮華経」の右側に不動明王の種字「カーン」が、左側に愛染明王の種字「ウーン」が配置されている。また寺院の本堂では「三宝尊」の周囲に配置される仏・菩薩・祖師像などと並び、不動明王像と相対して愛染明王像が配置される。

なお日蓮の曼荼羅における不動明王は生死即涅槃を表し、これに対し愛染明王は煩悩即菩提を表しているとされる。

軍神としての愛染明王への信仰から直江兼続は兜に愛の文字をあしらったとも考えられている[9]
愛染明王の功徳

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本誓と功徳

いわゆる愛染明王の姿の特徴は、一面三目・六臂で、頭上には獅子の冠を頂き、冠の上には五鈷鉤が突き出ていて、その身は赤色で宝瓶の上にある紅蓮の蓮華座に、日輪を背にして座っている。これらの相が示すその象徴的な意味は以下のようになる。[10]

燃え盛る日輪を「織盛日輪」と言い、日輪は仏のもつ無上の浄菩提心を表し、燃え盛る炎は智火が煩悩に基づく執着や愛欲をことごとく焼き尽くし、その「愛染三昧」の禅定が不退転となる仏の勇猛心であることを表している。

頭上に獅子の冠を頂き、髪の毛を逆立てて怒髪天を突くさまを表すのは、百獣の王である獅子が吼えるとあらゆる猛獣もすぐに静かになる譬えのように、憤怒の怒りの相と獅子吼によって諸々の怨敵を降伏して、一切衆生を救済することを表している。

冠の上に五鈷鉤が突き出ているのは、衆生の本有(ほんぬ)の五智を呼び覚まして、邪欲を捨てさせて正しい方向へと導くことを意味し、愛染明王の大愛[注 5]が衆生の心に染み入り、仏法の真実を体得せしめることを表している。

一面三目で身体が赤色であり、その身を五色の華鬘で荘厳する点は、三つの眼は法身と般若と解脱を意味し、世俗面においては仁愛と知恵と勇気の三つの徳を表す。身体が赤く輝いているのは、愛染明王の大愛と大慈悲とがその身体からあふれ出ていることを意味し、五色の華鬘でその身を荘厳するのは、五智如来の持つ大悲の徳を愛染明王もまたその身に兼ね備えていることを意味し、両耳の横から伸びる天帯[注 6]は、「王三昧」に安住して如来の大法である真理の教えを聞くことを表している。

六臂として手が六本あるのは、六道輪廻の衆生を救う意味をもつ。また、左右の第一手は二つで「息災」を表していて、左手の五鈷鈴は、般若の智恵の音と響きにより衆生を驚愕させて、夢の如きこの世の迷いから覚醒させることを表し、右手の五鈷杵は、衆生に本有の五智を理解し体得させて、愛染明王の覚りへと到達せしめることを表している。[11]

左右の第二手は二つで「敬愛」と「融和」とを表していて、左手の弓と右手の矢(箭)は、二つで一つの働きをするので、この世の人々が互いに協力して敬愛と和合の精神を重んじ、仏の教えを実践する菩薩としての円満な境地に至ることを意味している。また、愛染明王の弓矢は、大悲の矢によって衆生の心にある差別や憎しみの種を射落とし、菩提心に安住せしめることを意味し、そして矢は放たれるとすぐに目標に到達することから、愛染明王への降魔や除災、男女の縁結び[12]における祈念の効果が早く現れることをも表している。


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