愛を乞うひと
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愛を乞うひと
著者
下田治美
発行日1992年8月27日
発行元情報センター出版局
ジャンル長編小説
日本
言語日本語
形態四六判上製本
ページ数302
公式サイト ⇒www.4jc.co.jp
コードISBN 978-4-7958-0086-1
ISBN 978-4-04-187301-4文庫判

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『愛を乞うひと』(あいをこうひと)は、下田治美による日本の長編小説1992年8月27日情報センター出版局より刊行された。1993年4月22日角川文庫より文庫化されている。

10歳まで孤児院で育った後実母に引き取られ、凄惨な虐待を受けて母への愛の渇望と憎しみを抱きつつ大人へと成長した少女が、ふとしたきっかけから母の過去を見つめる旅に出て、真の母の姿に向き合うことにより自分を取り戻していく様子を描く[1]

1998年映画化作品が公開。2000年に『愛をこうひと』と題して曽根富美子により漫画化。2017年テレビドラマ[2]
あらすじ

おおまかなあらすじは映画と同じだが、最後の母との再会の場面は原作にはなく、連絡を絶っていた母・豊子と再会する直前で終わる。その時、照恵は、介護する豊子の尻をたたいて、「死ぬまでにおぼえてよ、ひとの愛しかたを」と叫ぶ自分自身を想像する。プロデューサーの木村典代は、映画版の結末を原作の下田に四時間説得して受け入れさせた[3]
登場人物
主要人物
山岡照恵(やまおか てるえ)
本作の主人公。印刷会社の作業員として働く主婦。夫は亡くなっており娘の深草と2人暮ししている。基本的に物腰が穏やかで大人しく母親にしては少々頼りない性格。子供の頃から困った時や嫌なことがあると作り笑いをする癖があり、「ついてない」と言うのが口癖。現在では豊子のことを“あの女”と呼んでいる。額の左側に子供の頃に豊子に受けた虐待のケガの跡があり、前髪で隠している。
陳豊子(ちん とよこ)
本作のもう一人の主人公で照恵の実母。昭和30年、詳細は不明だが夜の仕事をしている。気性が荒くキレやすくかなり気まぐれな性格で、孤児院で育った照恵を引き取ったが育てる気はなく、気に入らないことがあると照恵に当たり散らして虐待をする。作中では、『
バナナ・ボート』の歌が好きで時々口ずさんでいる。
書誌情報

愛を乞うひと(
1992年8月27日情報センター出版局ISBN 978-4-7958-0086-1

愛を乞うひと(1993年4月22日角川文庫ISBN 978-4-04-187301-4

映画

愛を乞うひと
監督
平山秀幸
脚本鄭義信
原作下田治美
製作藤峰貞利
高井英幸
阿部忠道
出演者原田美枝子
野波麻帆
中井貴一
小日向文世
熊谷真実
國村隼
音楽千住明
高桑忠男
撮影柴崎幸三
編集川島章生
製作会社東宝
角川書店
サンダンス・カンパニー
配給東宝
公開 1998年9月26日
上映時間135分[4]
製作国 日本
言語日本語
製作費4億1000万円[5]
配給収入2億1000万円[5]
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1998年9月26日公開。平山秀幸監督、原田美枝子主演。
あらすじ(映画)

母子家庭で働きながら主婦をする山岡照恵は、数十年前に病死した大好きな父・陳文雄の遺骨を探して区役所や病院を訪れるが手がかりが掴めない。一方照恵の一人娘・深草は最近帰りが遅く理由を話してくれない母を不審に思い口論となり、照恵は娘の頬を叩いてしまったことで自身の暗い少女時代の記憶が蘇る。幼い頃に両親が離別した照恵は、文雄と2人で幸せに暮らしていたが父の死後孤児院生活をしていた所、翌年母・豊子に引きられたことで生活は一変する。

照恵は、バラック小屋で豊子と二番目の男(中島の父)と照恵の異父弟[注 1]・武則と4人で暮らし始めるが、照恵は直後から母に冷たい態度を取られる。3年後豊子が中島の父と別れたため、照恵と武則は母に連れられ、三番目の男(和知の父)が暮らす引揚者定着所に引っ越すが貧しい生活に変わりはなかった。後日夏祭りの夜店に行くため小遣いをねだった照恵は豊子から折檻され、幼い武則や気の弱い和知の父は虐待を止めることができず娘は母からの暴力に耐える日々を送る。

ある日照恵は勇気を出して豊子に「どうして私を叩くの?孤児院から引き取ったのは私をかわいいと思ったからじゃないの?」と疑問をぶつける。しかし豊子から「仕方なく引き取っただけ、お前がかわいいからじゃない!」と言われてしまい、母に愛されていないことを知り照恵はショックを受ける。6年の年月が流れ学校を卒業した照恵は働き出すが豊子からの虐待は続き、ある日生活に耐えきれなくなった照恵は家を出たまま二度と帰ることはなかった。

(現在)照恵が深草を叩いた翌日2人はすぐに仲直りして和知の父の墓参りに訪れ、子供時代に受けた豊子からの虐待や文雄の遺骨探しのことを打ち明ける。照恵と深草は文雄の故郷である台湾に遺骨探しの旅に出かけ、数日がかりで叔父の家などあちこち尋ね歩くが遺骨は分からずじまい。帰国した照恵は区役所で再度調べてもらうと戸籍課の職員から「もしかして文雄さんの国籍が台湾人のままでは?」と言われる。外国人登録担当の職員の調べにより文雄の遺骨が三鷹の寺に埋葬されていることが判明し、後日照恵と深草は寺に訪れてようやく父の遺骨と対面する。
キャスト(映画)
主要人物
山岡照恵(てるえ)
演 -
原田美枝子、小井沼愛(5歳時)、牛島ゆうき(10歳時)、浅川ちひろ(15歳時)本作の主人公。印刷会社の作業員として働く主婦。夫は亡くなっており娘の深草と2人暮ししている。基本的に物腰が穏やかで大人しく母親にしては少々頼りない性格。子供の頃から困った時や嫌なことがあると作り笑いをする癖があり、「ついてない」と言うのが口癖。現在では豊子のことを“あの女”と呼んでいる。額の左側に子供の頃に豊子に受けた虐待のケガの跡があり、前髪で隠している。
陳豊子
演 - 原田美枝子(一人二役)照恵の母。昭和30年、詳細は不明だが夜の仕事をしている。照恵を引き取ったが育てる気はない。気性が荒くキレやすくかなり気まぐれな性格で、気に入らないことがあると照恵に当たり散らして虐待をするが、直後に何事もなかったように振る舞うことがある。作中では、『バナナ・ボート』の歌が好きで時々口ずさんでいる。
豊子が付き合う男たち
陳文雄(ちんふみお)
演 -
中井貴一作中で豊子が付き合う1番目の男。照恵の父で彼女から“アッパー(父の意味)”と呼ばれていた。穏やかで優しい性格で照恵をかわいがっていた。台湾の沙鹿出身。来日中に豊子と出会い夫婦となり照恵が生まれるが、昭和29年に肺結核により病死。
中島武人
演 - モロ師岡作中で豊子が付き合う2番目の男。武則の実父。照恵の養父。照恵からは“中島のお父さん”と呼ばれている。豊子と結婚するも離婚して息子とも離れて暮らすことになったため、息子からは顔を忘れられている。
和知三郎(わち)
演 - 國村隼作中で豊子が付き合う3番目の男。照恵と武則の養父。狭いアパートのような引揚者定着所で暮らす。街頭でアコーディオンを弾く傷痍軍人のフリをして小銭を稼いでいる。内気な性格だが時にしたたかな一面も持つ。
照恵と親しい人たち
山岡深草(みぐさ)
演 -
野波麻帆現在に登場。照恵の娘。年は高校生ぐらい。学校では競泳部に所属し自宅でも器具を使って筋トレをしている。快活でしっかり者な性格だが思ったことを口にしやすく愚痴っぽいという欠点がある。照恵との親子関係は良好だが、やや頼りない性格の照恵を自身の方が親のように時々たしなめることがある。
和知武則
演 - うじきつよし前田弘(4歳時)、塚田光(7歳時)、五十畑迅人(11歳時)過去と現在に登場。


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