意識に相関した脳活動
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意識に相関した脳活動 (NCC) とは特定の意識的知覚や意識的 (明示的) な記憶を生み出すのに十分な神経活動と神経構造 (この図では新皮質の錐体細胞の同期した活動電位) の最小のセットのことである。Koch (2004)より

意識に相関した脳活動(いしきにそうかんしたのうかつどう、: NCC、Neural correlates of consciousness)はある特定の意識的知覚を共同して引き起こすのに十分な、最小の神経メカニズムとして定義される (Crick & Koch, 1990)。目次

1 意識に対する神経生物学的アプローチ

2 意識に相関した脳活動

3 意識の量子的なメカニズム

4 覚醒レベルと意識の内容

4.1 意識の状態と意識状態

4.2 意識の大局的な障害

4.3 意識に作用する局所的な脳損傷


5 意識的知覚の神経基盤

6 フィードフォーワード投射とフィードバック投射

7 参考文献

8 推薦文献

9 関連文献

10 脚注

11 関連項目

12 外部リンク

意識に対する神経生物学的アプローチ

意識は、ある種の複雑系、生物学的システム、適応系、強い相互作用を持ったシステムが持つ難解で状況依存的な特性である。意識の科学は、精神の現象的状態との現象的状態との正確な関係を説明できるよう努めなくてはならない。非物質的な意識的精神と、身体の電気化学的な相互作用によるその生理的基盤との関係の本質は何か?という問いは古典的な心脳問題の核心である。神経科学者は多くの実験的アプローチによって意識の神経基盤に光を当ててきた。この記事ではこのようなアプローチを概観し、どのようなことが研究されているのかを要約していく。ここに関連用語の索引がある。
意識に相関した脳活動

心脳問題の解決に向けて前進するためには、哲学的な論争を避け、実験的に扱うことの出来る問題に集中することが必要である。そのための鍵となるのが、意識に相関した脳活動 (と最終的には意識の原因) の探求である。

上述した意識に相関した脳活動の定義では、最小限という言葉が重要である。なぜなら、脳活動全体は明らかに意識を引き起こすのに十分だからである。問題はその内のどの下位構成要素が意識的な体験を引き起こすのに必要かという問題だ。例えば、小脳の神経活動は意識的知覚を引き起こすことはないと考えられている。したがって、小脳の活動は意識に相関した脳活動の一部ではない。

この定義は必要条件に強く固執するものではない。なぜなら、神経ネットワークには強い冗長性と並行性が見られるからである。ある条件下でのある神経集団の活動が知覚を引き起こす際に、その神経集団を不活化しても別の神経集団が似たような知覚を引き起こすことが起こりうる。

赤いパッチを見ている時や、おばあさんを見ている時、サイレンを聞いている時などの、全ての現象的、主観的状態は意識に相関した脳活動に関連付けられる。ある特定の意識的な体験の、意識に相関した脳活動の不安定化や不活化は知覚に影響を与えたり消し去ったりする。もしも、人工装具によるものや神経外科手術の際などの皮質の微小刺激などによって、意識に相関した脳活動を人工的に引き起こすことが出来れば、被験者はその脳活動に関連付けられる知覚を体験するだろう。

意識に相関した脳活動の特徴とは何か? 視覚の意識に相関した脳活動と聴覚の意識に相関した脳活動の共通点とは何か? 全ての時間における大脳皮質の全ての錐体細胞が意識に相関した脳活動に必要なのか? または前頭葉からの後方の感覚皮質に対する長距離的な投射の一部だけでよいのか? そのような神経細胞はリズミカルに発火しているのか? そのような神経細胞は同期しながら発火しているのか? これらはこの数年の間に進展が見られた問題の一部である (Chalmers 2000)。

意識に相関した脳活動を発見し、特徴付けることは、意識の理論に関して同様のことをすることと同一ではないという点には注意しなくてはならない。特定のシステムがなぜ何かを体験できるか?、なぜ私たちは意識を持つのか?、なぜ(腸管神経系や免疫系などの) 他のシステムは意識を持たないのか? などの疑問に答えることの出来るのは後者のみである。しかし、意識に相関した脳活動を理解することは、このような理論を前進させることに必要である。
意識の量子的なメカニズム

意識を生じさせる因子は分子レベルではなく、(1細胞もしくは複数細胞における神経伝達物質の放出や活動電位の発生などの) 神経レベルで存在していると、多くの神経生物学者は暗黙のうちに仮定している。

一部の研究者は巨視的な量子の挙動が意識を生み出すと提唱している。特に興味を集めているのは、カップリングした2つの電子などの複数の物体の量子的状態が、空間的に離れているにも関わらず強い相関を示す、量子もつれと呼ばれる現象で、私たちの局所性に関する直感が破られている (量子もつれは量子コンピューターへの応用が期待されている量子メカニズムの鍵となる特性でもある)。眼によって受容された光子や生体分子の量子メカニズムの役割は議論の余地がないほど明白である。しかし、(強く環境とカップリングしている37℃の暖かく湿った組織である) 神経系のいかなる構成要素も、量子もつれを示している証拠は無い。また、もしも拡散や活動電位の発生、伝播など、個々の細胞の内部で量子もつれが発生していたとしても、神経細胞から情報が入力や出力される原理的なメカニズムは量子的な重ね合わせを崩すだろう。神経細胞間の相互作用という細胞レベルの現象は古典的な物理法則が支配している (Koch and Hepp 2006)。
覚醒レベルと意識の内容
意識の状態と意識状態

意識という単語には2つのありふれた、しかし非常に異なる用法がある。それは、覚醒 (Arousal) や意識の状態 (States of Consciousness) に関するものと、意識の内容 (content of consciousness) や意識状態 (Conscious States) に関するものである。

何かに対して意識的であるためには、脳は比較的高いレベルの覚醒 (警戒 (vigilance) と呼ばれることもある) 状態でなくてはならない。


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