意思決定(いしけってい、英: decision making)は、人や団体が特定の目標を達成するために、ある状況において複数の代替案から、最善の解を求めようとする人間の認知的行為である[1]。 意思決定はあらゆる状況で行われているが、経営学や軍事学などの諸領域にとって、意思決定とは合理的な選択を行うことが求められる。意思決定の思考方法とは、正しい目標の認識や必要な情報の収集、目標達成のための方策案の考案と比較、最善の方策の選択と実行計画の立案、計画の実施の監督を包括するものである。個人の意思決定から集団の意思決定までに通用するものとして捉えることができる。しかし、厳密な意思決定のモデルについては、後述するように複数のモデルが考えられている。 俗に『バカの山、絶望の谷』という言葉があるが、ある判断において自分は決して間違っていないと思うとき、その判断そのものをよく分かっていないことが知られており[2][3][4]、意思決定は今や脳科学的によく研究されているのである[5]。 意思決定のプロセスは、国や民族の背景によって様々である。例えば北朝鮮のような一党独裁体制においてはトップダウンによる判断が絶対であるが、一般的な民主国家では異なる統治がなされている。また民主国家の体裁をとりながらも、アメリカやイギリスのようにリーダーの意思決定が特に強い影響力を持つ場合もあり、多様性が認められる。 日本の意思決定は、伝統的に礼儀やコンセンサス(合意形成)を重んじる文化などを背景に、国家や企業において規定されている内容と実際に行われる事が違う、意思決定そのもののスピードが遅いと頻繁に言われる[6]。原因として英語のレベルの問題から、海外事業においては輪をかけて遅いと言われ、各人の役割分担や責任範囲が明文化されておらず曖昧であることも挙げられている[7]。 また企業では、相談役や顧問のようなOBが現役の経営陣に対して影響力を持つなど、本来、意思決定に積極的に関与しない立場の役職が最も大きな権限を持つ慣例が認められている。企業統治における日本企業独自の意思決定プロセスは、東芝に代表される悪質な企業不祥事が特に多数発生した2015年に、経営体制の監督と執行の線引きについて議論が高まった。このためキヤノンでは、2016年1月に役員体制を変更し、取締役を17名から6名に削減、曖昧な役割の線引きが指揮命令系統の混乱に繋がりかねないとの見解から、事業責任を執行役員に集中させる体制に刷新することを発表した[8]。 1978年のノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンが著名である。 カリフォルニア大学サンフランシスコ校のベンジャミン・リベット博士が1980年代に行った実験によると、ヒトの意思決定は以下の時系列で行われているとする結果となった[要出典]。 1、「脳が運動の指令信号を発する」 一般には2,1,3の順位で行われそうに思われそうだが、実験結果は以上の通りであった。運動の指令信号は被験者が意思決定した時間の0.35秒前に発生していた。この問題は脳科学者の間で大論争を巻き起こした。実験結果を素直に受け取れば「自由意志」が否定されるが、仮に被験者の意思決定が最初に発生し、それにより脳活動が惹起されたとするなら最初の意思決定は脳以外の場所が発したことになり、脳とは切り離された「精神」や「心」というべき存在(二元論)を想定せねばならなくなり旧来の科学では受入れがたいものとなる。 大阪大学の北澤茂
概要
各国の意思決定プロセス
世界
日本
研究史
2、「自らの意志で指を動かそうと思う」
3、「実際に指が動く」
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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