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意志と表象としての世界
Die Welt als Wille und Vorstellung
初版本
著者アルトゥル・ショーペンハウアー
発行日初版1819年
発行元F・A・ブロックハウス書店
ジャンル哲学
国ドイツ、ザクセン王国
言語ドイツ語
ウィキポータル 哲学
『意志と表象としての世界』(いしとひょうしょうとしてのせかい、独: Die Welt als Wille und Vorstellung)は、1819年に公刊されたドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウアーの主脳たる著書[1]。 1844年にはこの書の『続編』が刊行された[2]。姉崎正治訳本では『意志と現識としての世界』[3]。
概要
本書成立まで
1809年、ゲッティンゲン大学医学部に籍を置いたが翌年哲学部に移り、哲学者G・E・シュルツェの下でプラトン、カントを学びながらシェリングを読み耽っていたショーペンハウアー(21歳)であったが、本格的な哲学研究への思いより1811年にベルリン大学哲学部に移籍し[4][5]、当時ドイツの国民的哲学者であり、カント哲学の伝統の継承者とされていたJ・G・フィヒテの下で研究を始めた[6][7]。
『初期遺稿集』[注 2]によればショーペンハウアーはかなり早い時期から、人間の個別的でうつろいやすい感性的世界からの解放を、永遠無限の存在への問いとして追及していた[8]。しかしそれを、人間の意識の外にある自然、神へ至る通路の問いとしてではなく、むしろ「教養」の伝統によりながら、自己同一的な意識の拡張と高まり、「よりよい意識」の問題として語り始めている[8]。そこにシェリングの知的直観や、後期フィヒテの「より高き意識」との近親性を認めることは容易であるが、「よりよい意識」はショーペンハウアーの思想が本書『意志と表象としての世界』に向かって明確な方向づけを得るまで、さまざまな読み替えをくぐり抜けつつ維持されることになった[8]。
1812年、ベルリン大学にて講義を受ける中でJ・G・フィヒテとF・シュライエルマッヘルに対する尊敬が軽蔑と否定に変わったに反し、古典文献学者F・A・ヴォルフのギリシア古典並びにギリシア文学史の講義を聴き、学者として、また人間として彼を高く評価するに至った[9]。