惡の華
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シャルル・ボードレールの詩集「悪の華」とは異なります。

惡の華


ジャンル少年漫画サスペンスホラー
漫画
作者押見修造
出版社講談社
掲載誌別冊少年マガジン
レーベル講談社コミックス
発表期間2009年10月号(創刊号) - 2014年6月号
巻数全11巻
話数全57話+特別番外編
アニメ
原作押見修造
監督長濱博史
シリーズ構成伊丹あき
脚本伊丹あき
キャラクターデザイン島村秀一
音楽深澤秀行
アニメーション制作ZEXCS
製作「惡の華」製作委員会
放送局放送局参照
放送期間2013年4月5日 - 7月5日
話数全13話
映画
原作押見修造
監督井口昇
脚本岡田麿里
音楽福田裕彦
制作角川大映スタジオ
製作映画『惡の華』製作委員会
配給ファントム・フィルム
封切日2019年9月27日
上映時間127分
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ映画
ポータル漫画アニメ映画

『惡の華』(あくのはな)は、押見修造による日本漫画作品。『別冊少年マガジン』(講談社2009年10月号(創刊号)から2014年6月号まで連載された。2013年にはテレビアニメも放送された。2019年9月には実写映画が公開[1]
概要

「絶望」をテーマに、思春期特有の精神的彷徨と自我の行方を描いた青春漫画[2]。作品名はシャルル・ボードレール同名詩集による。連載依頼のきっかけは、押見が2004年に執筆した作品『スイートプールサイド』による。

物語の舞台となる地方都市の情景や登場人物には、作者の故郷である群馬県桐生市と学生時代をモデルにした要素が多く反映されている(自伝ではないが、実写映画の紹介では、Huluなど自伝的漫画と紹介しているものもある)。高校編の街のモデルは埼玉県さいたま市大宮区である。

出張読み切りとして『週刊少年マガジン』2010年42号に特別番外編が掲載され[3]、単行本第3巻に収録されている。また、関連作品に高本ヨネコ作のコラボレーション漫画「ラブの華トラブル」が存在する(詳細は該当項目を参照)。

このマンガがすごい! 2011』(宝島社)のオトコ編で第10位にランクインした。2019年10月時点で累計発行部数は300万部を記録している[4]
あらすじ

第1巻から第6巻までは中学編、第7巻34話からは高校編。
中学編

クラスの美少女・佐伯奈々子に密かに想いを寄せる春日高男。ある日の放課後、出来心により彼女の体操着を盗んでしまうが、その様子は嫌われ者の女子・仲村佐和に目撃されていた。窮地に陥り、仲村からの無茶な要求に翻弄される中、意外なきっかけから佐伯と付き合うことになり、春日は恋心と背徳の自己矛盾に苛まれる。そんな彼に呼応するかの如く、佐伯も内に秘めた意思を徐々に示すようになる。

現実社会の閉塞感に自己認識を見出せず、遣る瀬無い自我を抱える3人の中学生のアイデンティティは互いに交錯し、儚い逸脱へと舵を切っていく。
高校編

中学校編から3年後、春日高男は埼玉県で高校生活を送っていた。ある騒動以降、仲村と離れ離れになりながらも春日は彼女への思いを捨て切れず、そして抜け殻のように毎日を過ごしていた。そんな春日はあるきっかけから男子の憧れの的である常磐文と交流を深め、常磐の中に仲村の影を感じていく。
登場人物

声はアニメ版の声優。演(舞)は舞台版の俳優。演(映)は映画版の俳優。
主人公と取り巻く少女達
春日 高男(かすが たかお)
- 植田慎一郎[5] / 演(舞) - 清水尚弥[6] / 演(映) - 伊藤健太郎本作の主人公。地味で中性的な容姿が特徴。ひかり市立南中学校2年1組→埼玉県立みぎわ高等学校2年B組の生徒。中一の頃から佐伯に片思いをしている。趣味は読書、中でもボードレールの『悪の華』がお気に入り。成績は芳しくなく、自身の内面と現実社会との隔たりに鬱屈を深めている。自意識過剰な性格に加え、内向的かつ潔癖症気味で、対人関係にも壁を作りがちな傾向にある。クラスメイトからの評判はあまり良くない。偶発的に佐伯の体操着を盗んでしまったところを仲村に目撃され、彼女の下僕と化す。激しい自己嫌悪の中、同時に自分の本質の空虚さや佐伯に憧れる自己矛盾も感じるようになり、迷走の深みへと嵌っていくと同時に、仲村に対する好意が芽生える。しかし、それを仲村から春日を奪い返そうとする佐伯に見抜かれてしまう。佐伯に秘密基地で待ち伏せされ強引に性行為させられたものの、仲村に対する想いが甦り佐伯を拒絶した。その数日後、夏祭りの現地で仲村と心中を企てたものの失敗した。幻想と苦悶の中で揺れ動く彼の自我の挫折と構築が、物語のテーマとなる。高校編では、仲村との心中に失敗し、彼女と離ればなれとなり、追われるように大宮に引っ越す。彼女の影を追いながら抜け殻のように過ごす。自分の存在に対して否定的でより内向的となり、独特の自意識過剰は影をひそめるようになる。引っ越しの際に所有していた本を捨ててしまい、それ以来本を読まなくなるが、小説家志望の常磐文と古本屋で逢ってから再び読書好きとなる。常磐と交際を始めて以降は内向的な一面が薄れ、穏やかながら活動的な性格へ変貌していく。クラスメイトとも打ち解け、家族との関係も徐々に軟化しつつある。祖父の死と葬儀のため一時帰郷した際に木下と対面し、彼女から仲村が引っ越していたことと彼女の居場所を告げられた。
家庭環境
一般的な中流家庭で、一戸建ての家に住む。家族構成はやや神経質な母親と、大らかで読書好きの父親がいる。両親に対して反抗的な態度を見せることは少ないが、自らの内面を見せるほどには至っていない関係。高校編では埼玉県の公団住宅に引っ越しており、蔵書は全て処分したため自室は殺風景になっている。
仲村 佐和(なかむら さわ)
声 - 伊瀬茉莉也[5] / 演(舞) - 花奈澪[6] / 演(映) - 玉城ティナ本作のヒロイン。春日の真後ろの席に座っている、茶髪でボブカットの眼鏡女子。春日と2人きりになった時には感情表現豊かで眼鏡を外すことが多いが、普段は無表情かつ冷淡。目上に対しても非常に毒舌家かつ非社交的な性格で、周囲との軋轢が絶えないが、一切恭順せずに社会規範や常識に唾棄する態度を貫く。自身の弱い面を全く見せず、教師も怯ませるほどの図太い威圧感を放ち、誰に対しても協調せずしばしば暴言を吐く。反抗期を超えた、理解不能の問題児として疎まれている。偶然に春日の秘密を知った後は、一方的に脅して服従を強いる。要求は主に佐伯に絡んだことが多いが、春日の交友環境を壊すことを目的とせず、春日自身の性欲や背徳的な欲求を全てさらけ出して自覚させることで、建前と倦怠に満ちた日常を壊そうと画策する。自称「変態」。作者曰く春日は自分の一部で、仲村は外見は仲村みう、性格は自分の妻であり、「クソムシ」という言葉は妻からのメールにあった言葉である。高校編では、春日との心中に失敗し、追われるように千葉県で定食屋を営む母親と同居。家業を手伝いつつ日々を送る娘の現状を母親は「とても落ち着いている」と述べており、物腰は以前に比べると穏やかになっている。また、眼鏡を外し髪型は黒髪のセミロングと容姿も大きく変わっている。
家庭環境
一般的な中流家庭で、やや古びた一戸建ての家に住む。家族構成は温厚な性格の父親と祖母がいる。5歳の時に離婚しており、母親は同居していない。父親は自分なりに娘を気にかけてはいるが、心情を量りかねている様子で、半ばあきらめ気味。家族交流もほとんどなく、自室も殺風景。
佐伯 奈々子(さえき ななこ)
声 - 日笠陽子[5] / 演(舞) - 秋月成美[6] / 演(映) - 秋田汐梨本作のヒロインのうちの1人。ひかり市立南中学校2年1組→栃木県宇都宮市に住む高校2年生。黒髪のロングヘアーをしたお嬢様風の美少女かつおしとやかな雰囲気で、「スタイルもよい」と男子からの人気は高い。成績も優秀で周囲からはしっかりした優等生のイメージを持たれているが、それ故に悩み事を多く抱えている。内面では周囲の期待に迎合している自分の在り方に漠然とした虚しさを感じており、自己不一致の悩みを抱えているが、同時に性格は真面目かつ保守的で、常識や社交性も十分に持っている。春日の言動に自我の導きを見出し、告白を受け入れて交際を始めるが、春日が仲村との間に抱えこんでいる煩悶を薄々察していくにつれ、距離感に不安を募らせていく。


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