情念
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感情の例。上から時計回りに、興奮・愛情・恐怖・怒り・悲しみ・喜び

感情(かんじょう)とは、ヒトなどの動物がものごとや対象に対して抱く気持ちのこと。喜び悲しみ怒り、諦め、驚き嫌悪恐怖などがある(感情の一覧)。
目次

1 概要

2 感情の生物学

2.1 至近要因-感情の脳科学

2.1.1 個体発達


2.2 進化心理学で想定する要因


3 感情の分類

3.1 六情

3.2 三字経

3.3 中国の五情(ごじょう)

3.4 部首が「心」で感情を表す漢字

3.5 感情を表す和語

3.6 インドの伝統的な美学理論

3.7 チャールズ・ダーウィン

3.8 心理学的な感情の分類


4 表情

5 感情が冒される疾患や状態

5.1 イスラム世界


6 感情に作用する薬物

7 感情を分析する医療用工学技術

8 関連項目

9 外部リンク

概要

精神医学心理学では感情(: emotion)と気分(mood)を区別することがあり、前者の方がより一時的なものをさす(しばしば天気 weather と天候 climate に例えられる)。しかし両者を区別せずに使用する場合も多い。脳科学的には、感情は大脳の表面(大脳皮質)、およびの深部(辺縁系など)、身体の密接な相互作用で成り立っているとする。また感情と思考認知は、たとえその人が意識にのぼらせなくても密接に関係し合っている(「感情の脳科学」節参照)。

一般に人間ヒト)は感情を抱くが、ヒト以外の哺乳類も、大脳辺縁系の構造はヒトと類似していること、辺縁系各部位に対する電気刺激や神経作用物質の投与により、不安・恐怖・怒りなどヒトの情動反応に類似した反応をみせることが古くから知られ、これらの動物にも感情(情動)があると推測されることも多い。ただし、比較認知科学的には研究が始まったばかりであり、あくまでも刺激行動の相関関係が観測されているだけにすぎない、とする主張もある。

生活文化においては、単に「情」と略する事がある。他人の感情を深くくみ取り(感受性が高い)、場合によってはそれに伴った感情を態度(涙を流すなど)や行動に表すほどに心が豊かな事を「情に厚い」という。「情に厚い江戸っ子気質」などの語句に使用され、江戸っ子いきの一つともされている。
感情の生物学

生物学的には感情は大きく四つの要因に分ける事ができる。(1)感情を引き起こす脳科学的メカニズム、(2)感情の社会的メカニズム、(3)個人の感情を形作る感情の個体発達、(4)種に普遍的な感情を形作った進化的機能である。前二者は至近要因、後二者は究極要因と呼ばれる。
至近要因-感情の脳科学

生理学的には、感情には身体感覚に関連した無意識な感情(emotion, 情動)と意識的な感情(feelingもしくはemotional feeling)と分類されることが多い。意識的感情(feeling)には、大脳皮質(大脳の表面)とりわけ帯状回前頭葉が関与している。無意識感情には、皮質下(脳の中心の方)の扁桃体視床下部脳幹に加えて、自律神経系、内分泌系、骨格筋などの末梢系(脳の外の組織)が関与する。しかし、感情も情動も皮質と帯状回のみで成立する、という反論も存在する(Rollsたち)。

emotionについては情動を参照のこと。

たとえば我々が恐怖を感じるとき、同時に脈がはやくなり、口が渇き、手に汗を握るのを感じる。恐怖を感じているのは皮質であり、末梢の反応(動悸など)を起こすのは皮質下である。しかし感情について考えるとき、両者を切り離して考えることはできない。

アントニオ・ダマシオらは、スタンレー・シャクターらの感情の二要因説を発展させ、感情を体験・認識することは、刺激に対して発生した身体反応を説明するために皮質が作るストーリーであると主張している。


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