情報_(教科)
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情報(じょうほう)は、日本の後期中等教育課程高等学校の課程、中等教育学校後期課程特別支援学校高等部)における教科の一つである。
概要「情報教育」および「情報学」も参照

一般的な意味である、「知らせ」を表す語である「情報」と混同されやすいことなどもあり[注釈 1]、情報科(じょうほうか)、教科「情報」(きょうか・じょうほう)などと呼ぶことも多い。英訳については情報処理学会から「Informatics」を使う提言が出され、文部科学省「平成30年改訂高等学校学習指導要領 教科・科目名 英訳版(仮訳)」[1]において変更された。教科「情報」には、普通教育に関する各教科(普通教科)としてのものと、専門教育に関する各教科(専門教科)としてのものの2つがある。教科「情報」は高度情報化社会に対応した人材を育成するために、情報の収集・分析から発信までを総合的に学ぶ教科であり、単にパソコン操作を教える教科ではない。総合的な学習の時間と同様に、他教科との連携も重要となる、複合的な教科である。

近年は形骸化が指摘され、専門知識を持たない数学の教諭が指導を行ったり[2]、簡単な表計算をもって合格としたり、センター試験の自習に振替えたりする学校も一部に存在している。[3]

平成20年1月の中央教育審議会答申において、「高等学校の各学科に共通する教科情報科(教科「情報」)」が改善されることになった。現行の「情報A」、「情報B」、「情報C」の3科目構成を見直し、平成25年度から「社会と情報」、「情報の科学」の2科目が設けられる。改善の具体的事項として、答申で示された。
高校生の実態は多様化している一方で、情報及び情報機器等の活用が社会生活に必要不可欠な基盤として発展する中、これらを活用して高い付加価値を創造することができる人材の育成が求められている。これらを踏まえ、情報活用の実践力の確実な定着や情報に関する倫理的態度と安全に配慮する態度や規範意識の育成を特に重視する。その上で、生徒の能力や適性、興味・関心、進路希望等の実態に応じて、情報や情報技術に関する科学的あるいは社会的な見方や考え方について、より広く、深く学ぶことを可能とするよう科目構成を見直す[4]
「普通教育に関する各教科」における「情報」
目標

情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ、情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる[4]
内容

普通教科「情報」の内容を大きく分けると、「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の3つの要素がある。これらの要素は、単独で存在するのではなく、相互に関係し合っている。

この教科は「理系」と「文系」に分類しないが、科目により後述のとおり内容に若干の傾向が見られる。
専門学科においては、学習指導要領第1章第3款の2で、専門教科・科目の情報科目(情報技術基礎、農業情報処理,生活産業情報、海洋情報技術)で情報科科目の履修と同様の成果が期待できる場合、情報科の必履修科目を代替できる。
現行科目

情報I

 情報に関する見方・考え方を働かし,情報技術の活用を行い問題の発見や問題の解決を行う学習活動を通して,問題の発見・問題の解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的な活用を行い,情報社会に主体的に参画するための資質・能力を育成することを目標とする。[5]

情報II

 情報に関する見方・考え方を働かし,情報技術の活用を行い問題の発見や問題の解決を行う学習活動を通して,問題の発見・問題の解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用,創造的に活用を行い,情報社会に主体的な参画を行い,その発展に寄与するための資質・ 能力を育成することを目標とする。[5]
令和3年度入学者までの科目
普通教科の科目「社会と情報」
情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに、情報機器等を効果的に活用したコミュニケーション能力や情報の創造力・発信力等を養うなど、情報化の進む社会に積極的に参画することができる能力・態度を育てることに重点を置く
[4]
普通教科の科目「情報の科学」
現代社会の基盤を構成している情報にかかわる知識や技術を科学的な見方・考え方で理解し、習得させるとともに、情報機器等を活用して情報に関する科学的思考力・判断力等を養うなど、社会の情報化の進展に主体的に寄与することができる能力・態度を育てることに重点を置く。[4]

上記の科目を通じて、情報通信ネットワークやメディアの特性・役割を十分に理解し、安全に配慮し、情報を適切に活用できる能力をはぐくむ指導をより一層重視する。情報通信ネットワークや様々なメディアを活用して、新たな情報を創り出したり、分かりやすく情報を表現したり、正しく伝達したりする活動を通して、合理的判断力や創造的思考力、問題を発見・解決することができる能力をはぐくむ指導をより一層重視する[4]

平成23年度入学者までの科目
普通教科の科目「情報A」
科目「情報A」は、科目「情報B」、科目「情報C」について概論的に触れる部分を持ちながら、「情報活用の実践力」を育成することを目的としている。その過程でコンピュータ利用にも触れるが、むしろ中学校を卒業した時点で、基礎的なコンピュータの操作を学んでいることが前提となっており、この科目で改めてコンピュータ操作を教えるものではない。
「普通教育に関する各教科」の「情報」科科目の中では、最も多くの学校で開講されていた。
普通教科の科目「情報B」
理系的と捉えられることもある科目である。情報社会を支える情報技術の役割や影響、コンピュータにおける情報の表し方や仕組みを理解し、問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法の取得を目指すものである。
「情報A」あるいは「情報C」と比べ、この科目を開講している学校は少なかった。
普通教科の科目「情報C」
文系的と捉えられることもある科目である。情報デジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解し、情報やコミュニケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養い、情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解し、その上で情報社会に参加する上で望ましい態度を育成するものである。
「普通教育に関する各教科」の「情報」科科目の中では、「情報A」に次いで多くの学校で開講されていた。
「専門教育に関する各教科」における「情報」
目標

情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、現代社会における情報の意義や役割を理解させるとともに、高度情報通信社会の諸課題を主体的、合理的に解決し、社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる(高等学校学習指導要領による)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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