情報通信技術 じょうほうつうしんぎじゅつ、英: Information and Communications Technology、略称:ICT)とは、情報技術(IT)を拡張した用語であり、ユニファイド・コミュニケーションの役割を強調し[1]、電話線やワイヤレス信号による通信とコンピュータ、そして主要な企業アプリケーション、ミドルウェア、ストレージ、視聴覚システムなどを統合し、ユーザーが情報をアクセス、保存、送信、操作できるようにする技術である[2]。
「ICT」という用語は、単一の配線またはリンクシステムを介する、コンピュータネットワークの、視聴覚ネットワークや電話網への技術的収束を指す単語としても使われる。配線や、信号分配、管理を単一のシステムに統一し、それを用いて電話網をコンピュータネットワークシステムに統合することには大きな経済的誘因がある。ICTは包括的な用語であり、その中にはラジオやテレビ、携帯電話、コンピュータ、ネットワークハードウェア、衛星システムなどのようなあらゆる通信機器と、テレビ会議や遠隔学習というような様々なサービスや機器を含む[3]。
ICTは幅広い分野であり、そのコンセプトも進化している[4]。デジタル形式で電子的に情報を保存、検索、操作、受信するすべての製品(例: パソコン、テレビ、電子メール、ロボットなど)がこの分野に含まれる。対人コミュニケーション技術とマスコミュニケーション技術の理論的な違いは、哲学者のPiyush Mathurによって定義されている[5]。21世紀のICT専門家のためのコンピテンシーを記述し、管理するモデルの一つにSkills Framework for the Information Age(英語版)がある[6]。 「情報通信技術」という言葉は、研究者の間で1980年代から使われている[7]。「ICT」という略語は、1997年にデニス・スティーヴンソン
語源
この言葉のバリエーションは世界中に広まっている。国連は、「国連ICTタスクフォース(英語版)」と、内部に「ICT局」を設立した[11]。 2017年には全世界で3.8兆米ドルがITに費やされていると推定され[12]、2009年以降は年率最大5%で増加している。2018年のICT全体の成長率は5%と推定されている。新技術の分野(IoT、ロボット工学、AR・VR、AI)では、最大の成長率である16%が予想されている[13]。 アメリカ連邦政府の2014年度IT予算は820億ドル近くであった[14]。企業収益に対するIT費用の割合は、2002年以降50%増加しており、IT予算を圧迫している。現在の企業のIT予算を見てみると、75%が「電源を入れっぱなしにする」ための経常出費、25%が技術開発のための新たな取り組みにかかる費用である[15]。 IT予算の平均的な内訳は以下の通り[15]。 2022年には6兆米ドル強が費やされると推定されている[16]。 世界の保存できる情報の技術的容量は、1986年の2.6エクサバイト(最適圧縮)から、1993年に15.8エクサバイト、2000年に54.5エクサバイト超、2007年に295エクサバイト(最適圧縮)、2014年に約5ゼタバイトと増加してきた[17][18]。2007年の数字はCD-ROMを地球から月まで重ねた分の1.25倍、2014年の数字は印刷した本を地球から太陽まで重ねた分の4,500倍に相当する情報量である。世界の一方向の放送ネットワークで受信できる情報の技術的容量は、1986年は432エクサバイト(最適圧縮)、1993年は715エクサバイト(最適圧縮)、2000年は1.2ゼタバイト(最適圧縮)、2007年は1.9ゼタバイトであった[17]。世界の双方向の通信ネットワークで交換できる情報の実効容量は、1986年は281ペタバイト(最適圧縮)、1993年は471ペタバイト、2000年は2.2エクサバイト(最適圧縮)、2007年は65エクサバイト(最適圧縮)[17]、そして2014年には約100エクサバイトであった[19]。世界の汎用コンピュータによる情報計算の技術力は、1986年の3.0×10^8 MIPSから2007年は6.4×10^12 MIPSに増加している[17]。 下表は2013年の総付加価値に占めるICTセクターのシェアの割合順にOECD加盟国を並べたものである[20]。 順位国ICTセクター(%)相対サイズ 世界各国のICTの利用、アクセス状況はICT Development Index
収益
31% 人件費(内部)
29% ソフトウェア費用(外部、購買部門)
26% ハードウェア費用(外部、購買部門)
14% 外部サービス費用(外部、サービス)
技術的容量
OECD加盟国のICTセクター
1 韓国10.710.7
2 日本7.027.02
3 アイルランド6.996.99
4 スウェーデン6.826.82
5 ハンガリー6.096.09
6 アメリカ5.895.89
7 インド5.875.87
8 チェコ5.745.74
9 フィンランド5.605.6
10 イギリス5.535.53
11 エストニア5.335.33
12 スロバキア4.874.87
13 ドイツ4.844.84
14 ルクセンブルク4.544.54
15 スイス4.634.63
16 フランス4.334.33
17 スロベニア4.264.26
18 デンマーク4.064.06
19 スペイン4.004
20 カナダ3.863.86
21 イタリア3.723.72
22 ベルギー3.723.72
23 オーストリア3.563.56
24 ポルトガル3.433.43
25 ポーランド3.333.33
26 ノルウェー3.323.32
27 ギリシャ3.313.31
28 アイスランド2.872.87
29 メキシコ2.772.77
ICT Development Index
WSISプロセスとICT開発の目標
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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