悪霊_(ドストエフスキー)
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悪霊
Бесы
初版本の表紙(1873年)
作者フョードル・ドストエフスキー
ロシア帝国
言語ロシア語
ジャンル長編小説
発表形態雑誌掲載
初出情報
初出『ロシア報知』1871年1月号-11月号、1872年11月号-12月号
刊本情報
出版年月日1873年
日本語訳
訳者森田草平米川正夫
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『悪霊』(あくりょう、Бесы)は、フョードル・ドストエフスキーの長編小説1871年から翌年にかけて雑誌『ロシア報知(英語版)』(: Русск?й В?стникъ)に連載され、1873年に単行本として出版された。

無政府主義無神論ニヒリズム信仰社会主義革命ナロードニキなどをテーマにもつ深遠な作品であり著者の代表作。『罪と罰』、『白痴』、『未成年』、『カラマーゾフの兄弟』と並ぶドストエフスキーの五大長編の1つで、3番目に書かれた。

題名は作品のエピグラフにも使われているプーシキンの同題の詩および新約聖書ルカによる福音書>第八章三二-三六節からとられている。

フリードリヒ・ニーチェは、スタヴローギン、キリーロフ、ピョートル、シャートフたちの世界解釈に注目して、抜書きをしていた[1]
登場人物
主要人物
ニコライ・フセヴォロドヴィチ・スタヴローギン
類い稀な美貌と並外れた知力・体力をもつ全編の主人公。徹底したニヒリストで、キリーロフ曰く「彼は自分が何も信じていないということさえ信じていない」。ピョートルの目論見を見抜いたり、キリーロフとシャートフを啓蒙したりと、主要登場人物へ影響を及ぼす。
ピョートル・ステパノヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー(ペトルーシャ)
ステパン氏の息子。自らを「政治的詐欺師」と呼び、知事夫人に取り入って文学サークルを装った革命組織を作り、スタヴローギンをその中心に祭り上げようと画策する。モデルは、
革命家セルゲイ・ネチャーエフ
キリーロフ(アレクセイ・ニーロイチ・キリーロフ)
子供好きの建築技師。スタヴローギンの影響によって「神の意志に従わず我意を完全に貫いたとき、神が存在しないこと、自分が神となることが証明される。完全な我意とは、自殺である」という独特の人神思想を持つ。ピョートルの策謀のために、組織の活動を遺書に残し自殺、一身に組織の罪を引き受けた。徹夜して思索することが彼の習慣であるため、夜の登場が多い。
シャートフ(イワン・パーヴロヴィチ・シャートフ)
スタヴローギン家の農奴の息子。スタヴローギンの影響によってロシア・メシアニズム(汎スラヴ主義)の信奉者となる。ピョートルの組織を脱退しようとしたため、秘密が漏れることを恐れたピョートルや「五人組」に殺害される。組織の檄文の印刷機を預かり、それの引渡しと引き換えに、組織の脱退を約されていた。キリーロフとは親友。ぴんと突き立ったつむじが特徴。モデルは、ネチャーエフに殺害された学生イワン・イワノフ。
ステパン・トロフィーモヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー
ピョートルの父。元大学教授で、かつてスタヴローギンの家庭教師でもあったことから、ワルワーラ夫人宅の食客となっている。旧世代の進歩派。賭け事が好きで、息子ピョートルの領地を賭けのかたに取られる。モデルはモスクワ大学教授のグラノフスキー。
ワルワーラ夫人(ワルワーラ・ペトローヴナ・スタヴローギナ)
スタヴローギンの母。未亡人で、富裕な地主。高圧的な話口が特徴。
マリヤ・チモフェーヴナ・レビャートキナ
足の悪い白痴の女性。スタヴローギンと極秘結婚していたことが後に明らかにされる。
リザヴェータ・ニコラエヴナ・トゥシナ(リーザ)
ワルワーラ夫人の旧友ドロズドワ夫人の娘。婚約が内定しているもののスタヴローキンに恋し、誘惑され彼と一夜をともにするも、彼の退廃振りに幻滅し去る。惨殺されたマリヤ兄妹の死体を見学に行った際、狂奮した見物人らに撲殺される。
カルマジーノフ
文豪気取りの俗物作家。ツルゲーネフがモデルであり、第三部第一章で彼が朗読する作品もツルゲーネフのパロディである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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