悪は存在しない
Evil Does Not Exist
監督濱口竜介
脚本濱口竜介
製作高田聡
製作総指揮原田将
徳山勝巳
出演者大美賀均
西川玲
小坂竜士
渋谷采郁
音楽石橋英子
撮影北川喜雄
編集濱口竜介
山崎梓
製作会社NEOPA
fictive
配給Incline
公開
2023年9月4日(ヴェネツィア国際映画祭)[1]
2023年10月5日(ニューヨーク映画祭)[2]
2024年4月5日[1]
2024年4月26日
2024年5月3日(一般公開)
上映時間106分
製作国 日本
言語日本語
テンプレートを表示
『悪は存在しない』(あくはそんざいしない)は、2023年に製作された日本映画。監督・脚本は濱口竜介。同年に開催された第80回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員賞)を受賞し[3]、この受賞によって濱口はアカデミー賞と世界三大映画祭のすべてで主要賞の受賞を果たした黒澤明以来2人目の日本人監督となった[4]。 本作は濱口の前作『ドライブ・マイ・カー』で作曲を務めた石橋英子の依頼から始まっている。石橋は『GIFT』と題する自身のライブ・パフォーマンスのための映像制作を濱口に依頼[5][3]。しかし濱口はそうした制作の経験がなく、石橋との協議を重ねるうち、抽象的なイメージ映像のようなものではなく、明確な物語映像を希望していることがわかり、次第に物語が膨らみ始めたという[6]。そのため石橋の演奏に使う映像と並行して、本作が劇映画として作られることになった[7]。 濱口は石橋の仕事場がある長野県の諏訪地域をたびたび訪れ、この映画の撮影も多くはそこで行われた。また濱口は周辺集落の人々から森や動物についての実践的な知識を数多く習得し、それは劇中に盛り込まれている[6]。また映画に登場する開発計画も、一部は実際に八ヶ岳周辺で説明会が行われた計画からアイデアをとっている[6]。 山奥の小さな集落「水挽町」で暮らす寡黙な男・巧と、その一人娘・花。集落の人々は美しい森と澄んだ雪解け水に支えられて静かな暮らしを守ってきた。ある日、そこへ東京の企業からホテル施設を備えたキャンプ場「グランピング」の設置計画が持ち込まれる。企業は、この計画は多くの観光客を呼び込んで集落は大いに潤うはずだと説く。しかしそこに置かれる浄化槽は、人々が誇りとする自然水を汚染し、宿泊客による山火事の危険も高まるだろう。そしてこれはコロナ助成金目当てのずさんな計画らしい。人々はざわめき始める。 住民説明会へやってきた担当者・高橋と黛に、集落の人々は理を尽くして反論する。この集落の住民は入植者と都会からの移住者。言うなれば、よそ者であり、ここへ新たに加わりたいときちんと考えた計画なら反対する理由は何もない。しかしその前に、この土地の人にとって自然水がどんな意味を持つのか、そこで暮らすことがどんな責任を負うことなのか、どうか一度よく考えてほしい。高橋らは「地元の人は決して愚かではない」と態度を改め、計画のいい加減さに気づくようになる。 しかし計画を立てた企業側は「助成金の申請期限が迫り、ガス抜きの説明会が済んだ以上、予定どおり設置を進めればよい」と方針を曲げない。板ばさみとなった高橋らは、集落から信頼を得ているらしい巧に協力を仰ごうと考える。高橋らは再び集落を訪ねて巧に希望を伝えるが、はっきりした返事を巧はせず、建設予定地は鹿の通り道で、施設ができれば鹿はどこへ行けばよいのかとつぶやく。そしてその日の夕方、巧の娘・花の行方が分からなくなる。集落の人々が総出で花を捜索したすえ、巧と高橋は、森の中の開けた草原で、傷を負った鹿と向かい合っている花を発見する。
概要
あらすじ
キャスト
安村巧:大美賀均
安村花:西川玲
高橋啓介:小坂竜士
黛ゆう子:渋谷采郁
峯村佐知:菊池葉月
峯村和夫:三浦博之
坂本立樹:鳥井雄人
木崎ヨシ子:山村崇子
長谷川智徳:長尾卓磨
堀口明:宮田佳典
駿河一平:田村泰二郎
スタッフ
監督・脚本:濱口竜介
音楽:石橋英子
編集:濱口竜介、山崎梓
撮影:北川喜雄
企画:濱口竜介、石橋英子
エグゼクティブプロデューサー:原田将、徳山勝巳
プロデューサー:高田聡
録音・整音:松野泉
美術:布部雅人
助監督:遠藤薫
制作:石井智久
カラリスト:小林亮太
配給:Incline
配給協力:コピアポア・フィルム
宣伝:Uhuru Films
製作:NEOPA、fictive
撮影
架空の町「水挽町」は、主に長野県諏訪郡の富士見町と原町で撮影が行われ、これに山梨県小淵沢でのロケが一部加わっている。