恐竜類
Dinosauria
生息年代: 後期三畳紀?完新世, 231.4 ? 0 Mya (現生鳥類を含む)Pre??OSDCPTJKPgN
恐竜類の化石。左上からミクロラプトル、アパトサウルス、ピナコサウルス、ステゴサウルス、エドモントサウルス、トリケラトプス
地質時代
約23,140万- 現代
(中生代後期三畳紀 - 現代)
分類
恐竜(きょうりゅう、英: Dinosaur)は、恐竜類(きょうりゅうるい[1]、学名: Dinosauria)に属する爬虫類の一群である。爬虫綱での分類階級を示す場合は恐竜上目とされる[2]。全長30メートル程ある巨大なものから、数十センチメートル程しかない小型ものまで、様々な属が生息していた[3] 。
恐竜の進化に関する正確な起源と時期は不明であるが、2億4330万年から2億3323万年前の三畳紀中期に出現したものが起源とされている。恐竜は2億130万年前に発生した三畳紀?ジュラ紀間における大量絶滅を生き延び、その後のジュラ紀と白亜紀を通して陸生脊椎動物の頂点に立ったが、白亜紀?新生代古第三紀間における大量絶滅により、鳥類を除くすべての種が絶滅した。なお一部の非鳥類型恐竜がK-Pg境界を乗り越え、続く暁新世の地層から産出した事例も報告されている[4]。ただし異論も多く、2023年現在有力な説にはなっていない(詳細は暁新世の恐竜を参照)。 最初の恐竜の化石は19世紀初頭に発見され、 1841年にリチャード・オーウェンによってこれらの「偉大な化石トカゲ」を指すために「恐竜 (dinosaur) 」(「恐ろしいトカゲ」を意味)という呼称が造られた。それ以来、化石恐竜の骨格標本は世界中の博物館の主要な目玉であり、恐竜は大衆文化の永続的な一部になっている。現存する生物に比べ、非常に大きな体格と怪物的な外観を有する種が多いため、『ジュラシック・パーク』に代表されるSF作品に登場することも多く、またゴジラをはじめとする多数の創作モンスターのモチーフにも用いられた。 恐竜という言葉は、分類学的・形態学的・生態学的な観点から、非常に細かい「分類」である。現代まで生存している唯一の生物種である鳥類は10,700種以上が確認されており、脊椎動物の中で最も多様なグループの1つとなっている。食性はさまざまで、植物食性・肉食性の双方の種が確認されている。 恐竜は現存する種(鳥類)と化石によって、すべての大陸に分布していたことが分かっている。20世紀の前半まで、鳥類が恐竜として認識される前は、恐竜は鈍重な変温動物であるという認識が一般的だった。しかし、1970年代におこった恐竜ルネッサンスにより、一部の恐竜は代謝が高く、社会的相互作用に多くの適応がある活発な動物であることが示されている。また、現状で確認されている種は鳥類・非鳥類ともに全て卵生であり、大半の種に巣を作る習性があったことが判明している。現代の鳥類は、後期ジュラ紀に獣脚類の中から派生した羽毛恐竜を起源とし、約6600万年前の白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅を生き延びた唯一の恐竜系統であることが化石記録から判明している。そのため、恐竜は「鳥類型恐竜」と、鳥類以外の恐竜である絶滅した「非鳥類型恐竜」に分けられる。 恐竜はすべてのグループにおいて角やとさかなどの外見構造が発達しており、一部の絶滅したグループは骨格を発達させたものが確認されている。唯一の現存群である鳥類系統は、大半の種が飛行を行うために小柄であるが、恐竜(非類および鳥類)の大半は鳥類に比べ体が大きく、中でも最大の竜脚類であったアルゼンチノサウルスは長さ39.7メートル、高さ18メートルに達したと推定されており、史上最大の陸上動物であった。化石を証拠として、古生物学者は900以上の異なる属と1,000以上の異なる種の非鳥類型恐竜を特定した。非鳥類恐竜が一様に巨大であるという誤解は、骨が大きく頑丈であるほど化石になるまで保存されやすいという保存バイアスに基づいている。しかし、多くの恐竜は非常に小さく、長さが約50センチメートルのものも存在していた。
概要
名称Richard Owen
英語: dinosaur はギリシャ語: δειν??, deinos 「恐ろしい」 + σα?ρο?, sauros 「とかげ」[注 1]の合成である。1842年、それまでに発見されていた3種の化石爬虫類(イグアノドン・メガロサウルス・ヒラエオサウルス)の新しい分類名と一括し、リチャード・オーウェンによって「恐竜」という命名を名付けされた[5]。
オーウェンはδειν?? の語を英語でfearfully great[6][7]、つまり恐ろしいほど大きな[8]という意味で用いたという。語根 -saur- には「竜」をあてるのが通例である。「○○サウルス」といえば「恐竜の名前」として認識されがちだが、実際にはトカゲ型の動物や爬虫類には、現生のものであっても「-saurus」と学名の付いたものが少なくない。例えばエリマキトカゲの学名はChlamydosaurus kingiiであり、カタカナに直せば"クラミドサウルス・キンギイ"となる。 通俗的には「恐竜」という言葉は往々にして「大昔の爬虫類」という程度の把握しやすいイメージで認識されており、同じ地質時代に生息していた各種の爬虫類のほかに、古生代に生息していた一部の非哺乳類型の単弓類なども含めた概念として呼ばれる場合が少なくない。「恐竜」とは系統的に異なり、大衆的に恐竜の一群としてイメージされやすい翼竜・魚竜・首長竜・モササウルスなどは一切含まない独立した分類群である。恐竜展や子供向けの恐竜図鑑などではこれらの古代生物たちまで含めて展示・掲載するものがよく見られるため、初心者にとっては混同し易い。 恐竜という分類群はそのもっとも際立った特徴をして「直立歩行に適した骨格をもった爬虫類」と呼ぶことができ、ほぼすべて地上棲である[9]。翼竜は恐竜や鳥類・ワニと同じく主竜類に属し、恐竜とは「姉妹群」の関係にあたる。 古典的分類によれば、恐竜は爬虫綱 - 双弓亜綱 - 主竜形下綱に属し、分類階級は上目とされてきた。なお、系統樹に基づく分岐学的観点から単に「恐竜」と呼んだ場合、学術的には「鳥類」を含める(後述)。このため、上記の分類群(恐竜から鳥類を除いたグループ)を指す上では、より厳密な「非鳥類型恐竜(non-avian dinosaur)」の使用が、学術論文を中心に見られる[10][11]。ただし一般に「恐竜」と言えば鳥類を除いたものを指すケースが多く、依然分類群としても簡便で有用である[11]。よって本項では特に言及のない限り、「恐竜」と言えば「非鳥類型恐竜」を指すものとする。 分岐学の観点から、「現生鳥類とトリケラトプス(Triceratops)を含むグループの最も近い共通祖先より分岐したすべての子孫」が定義として頻繁に用いられる[12][10]。 この意味は実際にクラドグラムを見ると分かりやすい。 以下は、Nesbitt (2011)に基づく主竜類のクラドグラムの例:.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green} ラゲルペトン科(Lagerpetidae
定義
古典的定義
分岐学的定義
恐竜型類(Dinosauriformes
マラスクス(Marasuchus)
シレサウルス科Silesauridae
恐竜
鳥盤類(イグアノドン、トリケラトプス、ステゴサウルスなど)
竜盤類
竜脚形類(ブラキオサウルス、サルタサウルスなど)
現生のイエスズメ(Passer domesticus)。獣脚類の系統に含まれる。
上の系統図で、現生鳥類は竜盤類の獣脚類に含まれ、トリケラトプスは鳥盤類の一属である。要するに、前述の定義の意図するところは概して「竜盤類と鳥盤類、それぞれの動物の共通祖先から分岐したすべてのもの」[11]であり、「現生鳥類」「トリケラトプス」は、それぞれ竜盤類、鳥盤類における代表例として任意に挙げられたにすぎない[注 2]。
よって同様のグループを、例えば「恐竜 (dinosauria)」の命名のきっかけとなった2属を挙げ、「メガロサウルス(Megalosaurus)とイグアノドン(Iguanodon)を含むグループの、最も近い共通祖先より分岐したすべての子孫」[13]と表すこともできる。
また、より厳密に3つの系統を用いて「トリケラトプス (Triceratops horridus)、サルタサウルス(Saltasaurus loricatus)、イエスズメ(Passer domesticus)の、最も近い共通祖先より分岐したすべての子孫」(つまり、恐竜=鳥盤類+獣脚類+竜脚形類)[14]とする意見もある。
これらの定義では必然的に、獣脚類の一群である鳥類を恐竜(より詳細には、竜盤類の中の獣脚類、コエルロサウリアに属すマニラプトラに含まれる)に含めることになる。このため、鳥を除いた恐竜を表すために、「非鳥類型恐竜 (non-avian dinosaur)」の用語が使用される。また特に、鳥を除いた獣脚類を表す語として、「非鳥類型獣脚類 (non-avian theropod)」も頻繁に用いられる。
なお、恐竜類の中のクレードについては上記のクラドグラムと異なりオルニトスケリダやフィトディノサウルス類(英語版)を設ける説もある[15]。