恋の奇跡
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恋の奇跡(こいのきせき)は、もりたゆうこによる漫画作品。「Kiss」(講談社)で連載、コミックスは全8巻。及びそれを原作としたテレビドラマ
ストーリー(原作)

1993年1月のある日、容姿にコンプレックスを抱く高校3年生の塚本妙子の元へ、父の正春の遠縁で妙子と同い年だという倉田雪乃がやって来た。父、正春の遠縁で長年に渡り母子家庭で育ち、最近になってから母を亡くしたという雪乃を3月まで という条件で家に寄宿させるというのだ。進んで家事をしたり、冗談を言ったりで場を明るく和ませる雪乃に親しみを感じる妙子と母の彩子。気負いなく話す事が出来る幼馴染みの甲斐も雪乃に好印象を抱く。しかしまもなく雪乃は正春に色目を使いベタベタする。連日の様に夫婦の寝室に居座り彩子のベッドで寝る。妙子が大事にしている甲斐からのプレゼントのスカーフを横取りする。「使用人扱いをされている」など近所で中傷をおこなうなど数々の不審な行動を展開。正春に聞いても素性が分からないという雪乃に不信感を抱いた彩子は家を出る様に言うが、雪乃は拒否。同時に正春が自分に対して気があるとして、彩子の容姿の老化を侮辱する言葉を投げつける。その翌日、雪乃は自分を調査すると出かけた彩子を駅のホームから突き落とし殺害する。更に雪乃は彩子の死は自分の責任として泥酔した正春をホテルに連れ込み、関係を持ったように見せかけ、妙子を追い出す様に懇願。困窮極まった父から、何も聞かずに家を出て欲しいと言われた妙子は母殺しを始めとする疑念を雪乃にぶつけるが、雪乃は「醜い娘のあなたより美しい私と暮らしたいと言った」「醜い人が何を言っても周囲は信じない」「家というのはそれなりの容姿でなければ住む資格はない。こんな素敵な家、あなたには似合わない。追い出されて当然」等、悪態をつく。絶望しトラックに飛び込もうした妙子を謎の医師、聖達彦が救出。聖からダイエット計画を持ちかけられた妙子だが、屈辱的な仕打ちと過酷さに家に戻ろうとする。しかし、父は行方不明になり、家は妙子になりすました雪乃によって売却されていた(この時に来ていた買い手から、母の位牌の処分を頼まれたと聞かされる)。行き場をなくした妙子は、聖の命令でダイエットの為にパリでダイエットを始めとする美容関連を学ぶ事に。そして偶然、モデルとして撮影に来ていた雪乃に再会。激しく詰め寄るが逆に容姿に対して罵詈雑言を浴びせられ、復讐を誓う。帰国後、母の出生名「井上彩子」を名乗り、聖の紹介でメイクアップアーティストをしながら、父を捜す妙子だが、仕事中に急遽、モデルの代役を頼まれたのをきっかけに芸能界デビュー。すでに女優デビューを果たしていた雪乃は次第に周囲から認められてゆく妙子に嫉妬。彼女の正体を知る前から犯罪をも含む自分本位な嫌がらせをし、かねてから覚醒剤中毒に陥れてあった正春を死に追い込んでしまう。しかし妙子は時には自分を殺そうともする雪乃の攻撃を逆手に取り、芸能界で活躍すると同時に強さを身に付けてゆく。次第に雪乃の壮絶な生い立ちなどを知った妙子は出演した映画で彼女と異母姉妹という設定。そして和解するという役どころを演じ、雪乃に歩み寄ってゆく。
登場人物(原作)
主要人物
塚本妙子(芸名:井上彩子)
小学校から高校に掛けて、並外れた体重、普通の女としては高すぎる身長、吹き出物などを理由に甲斐以外の男子にいじめられた為に被害妄想が強く、いじけた面が見られた。母の死の直後に雪乃の策略で家を追われ、自殺を図ったところを聖に救出される。あまりの厳しさと聖の冷酷な仕打ちに一旦、家に戻ろうとするも財産はすべて雪乃に奪われ、家は売却されて行き場をなくしてしまう。その為、聖の命令で渡仏。マダムの元でダイエットを始め、美容全般を身に付ける。1年後に長身でボーイッシュな容姿へと変貌し帰国。正体を隠す為に母の出生名を名乗り、聖の紹介でメイクアップアーティストをしていたが、仕事中にスカウトされ、戸惑いながらも芸能界デビュー。雪乃との対立を目撃され、キツイ性格と誤解されたり、雪乃の罠で整形疑惑、彼女を負傷させた容疑を掛けられたなどを逆手に取り、ダイエット成功として過去の写真を公表。中性的な印象とはっきりした物言いをするキャラクターとして売り出し、本来、持ち合わせている明るさを引き出すと同時に強さを身につけてゆく。自分に嫌がらせをし続ける雪乃を憎悪し、罵倒・攻撃をした事もあるが彼女の過去などを知ったことから、最終的に寛大な態度で立ち向かう様になる。長らく甲斐への恋愛感情を抱いていたが、中盤付近で失恋。同時に次第に聖と惹かれ合う様になる。1975年7月19日生まれ。実家の所在地は
調布市。身長は175センチ、ダイエット開始時の年齢は18歳で1993年に渡仏。雪乃との同居期間は2ヶ月程度、卒業後の進路も決まっていた高校は中退と設定されている。
倉田雪乃(本名:後藤由紀子)
貧困母子家庭で母から疎まれ、虐待を受けて育ち、学校でもいじめられていた。父は「表向きは死亡となっているが、実は私が小学生の頃に愛人と蒸発。在命している」と甲斐に話して聞かせている場面があるが、詳細は描かれておらず「父が誰か不明」と同級生らが陰口を叩く場面もある。高校入学後、家を出されて一人暮らしを開始。その頃に告白した同級生の男子の仲間数人から性的暴行、顔を燃やされ負傷。母の元に逃げ込むも愛人と失踪していた為、絶望し自殺を図ろうとしたところを聖に救出される。彼の姉と瓜二つに整形を受けた直後、聖の紹介で働いていた病院で、数年前に亡くなった中学の同級生、倉田雪乃の母に再会。友人だと思っていた彼女の本心を知り激怒。彼女の名を騙り、倉田家の遠縁である塚本家が「デビューに有利な東京在住」を理由に嘘の連絡をして入り込むが、家族仲の良さを憎悪。崩壊させた上で財産を奪い調達した資金で芸能界へ。表向きは清楚で穏やかで優しげな印象だが、本心は残虐な野心家で、美に対しての執着心が強く、自らの目的を果たす為に他人を陥れる様な嘘をついたり、犯罪を肯定する様な歪んだ価値観を言動に表すこともあり、殺人を始めとするさまざまな犯行を重ねてゆく。感情を露わにする場面は極めて少ないが、塚本家の家族仲に対しての嫉妬心、自身の家庭環境、本来の容姿へのコンプレックスを吐露したり、長年に渡り憎んでいた実母を殺害する時に憎悪を爆発させた事がある。春子殺害の参考人として呼び出された警察で対面した遺体から母の整形と本心を知る(この件に関しては最終的にDNA鑑定により母子と確定)。整形に対して生体が拒絶反応を示している様子で、たびたび顔が崩れているのを確認し怯える場面が描かれる。のちに主演女優として受賞をするが、式の最中に早川に絡まれ、ステージから落下。設置されていたスポットライトに頭から突っ込み、顔じゅうから流血する程の怪我を負う。整形不能になってしまった事から自棄になり、妙子を道連れに自殺しようとするが甲斐の命懸けの行動と告白で心境に変化が発生。警察で容疑が固まったのと同時期に彼に連れられて警察に出頭する。整形前を含めて自分本位な言動が多く、最後まで周囲への愛情、反省の言動は見られない。
甲斐将人
塚本家の隣の住人で、妙子とは中学卒業まで同級生(女生徒から人気が高かった)。小学生の頃、いじめられていた妙子をさりげなく庇ったり、誕生日に母に頼まれてスカーフをプレゼントするなど心優しい性格だが、残虐な本性を知り、そして殺されかかっても尚、雪乃に心惹かれる。改心させようと彼女の中学の同級生らと接触。同姓同名の少女が中学生の段階で病死、そして容姿が全く異なると知って疑問を抱くが、定期券を不正使用した学生の姿から彼女の偽名使用を確信。脚本家志願の大学生として妙子と雪乃の共演作の脚本を手がけた事もある。雪乃に注意をした事から彼女に棒で殴られ一時的に失明。そして春子を殺害した雪乃の罪を被り警察で偽証するも寝言の内容、矛盾点、不審な点が多いとして刑事達の疑念を雪乃に向けさせるきっかけとなる。雪乃が顔を負傷した直後に証拠不十分で釈放され、同時に目が見える様になり、自棄になった雪乃を爆発から救い出し、「家族になろう」と打ち明ける。
聖達彦
美を研究する整形外科医。自殺を図った雪乃に整形・妙子にダイエットの計画を持ちかけている。実業家だった父は事業拡大しか頭になく、政略結婚だった母に冷酷な態度で接しており、愛人もいた為にノイローゼになった母は実家へ戻り、寝たきりの末、彼が7歳の時に心臓病で死亡(この事が医師を目指すきっかけとなる)姉以外に理解者がなかった為、父に似た身勝手で非常識な面、同時に偏執狂的な性格を持つ様になり妙子と甲斐にも冷徹で邪険な態度で接していた。のちに姉の心の病気を利用して男女の関係に持ち込むが、目撃した父の叫び声で正気を取り戻した姉が焼身自殺(この際に父も巻き添えになっている)したという過去がトラウマになっており、炎を見て錯乱した事もある。姉と同じ顔に整形した雪乃が芸能界で活躍する姿を見て喜んだり、姉の遺体を地下室に保管して(当初、妙子に人形師に作らせたものと説明していた)話しかけたりしていたが、妙子と惹かれ合うようになった事から次第に変化が生じ、遺体を屋外で荼毘に付す。のちに雪乃の逆恨みが元で匿名で違法行為を密告され、医師免許を剥奪されてしまう。海外へと旅立つ直前、妙子から告白を受ける。
塚本家
塚本正春
妙子の父でサラリーマン。無口で家族想いの心優しい性格だったが、交流、面識のない倉田家の娘だという雪乃の身元を確認せずに家に入れてしまう。色目を使う彼女に甘い顔をしたこと、彩子の死の直後、泥酔していたところへ押しかけてきた雪乃と関係を持ってしまったと思い込み、妙子に事情を説明せずに一人暮らしを薦めてしまう。そして雪乃の罠にかかり家庭崩壊。アルコール依存症になり、勤務先を解雇され、雪乃によって
覚醒剤を打たれ、監禁される(雪乃の伯父という扱いになっていた事もある)覚醒剤の禁断症状が出ている最中に雪乃に妙子を殺害する様に命じられた直後、事故に遭遇。駆け付けた妙子との再会を果たし、謝罪をした上で死亡。この時、荷物を預かっていた聖が幼少期の妙子と一緒に写った写真を見つけ出している。
塚本彩子
妙子の母で50代半ば。中性的な印象の美人。近所での中傷などから雪乃の不審さに気づき、部屋を借りてあげるから家を出て欲しいと言うが、正春との不倫を仄めかされた上に容姿の劣化を嘲られた為に平手打ちを食らわし、「私は夫が娘と同い年のあなたとどうこうなるなんて思ってない」と言い切る。正春に聞いても素性が分からない雪乃の調査をする為に出かけるが、雪乃により駅のホームから、突き落とされ殺されてしまう。さっぱりした気丈な性格で妙子を深く愛していたが、雪乃の事で悩んでいたのでは?と弔問客の話題にのぼる。家を売り出した雪乃によって位牌を捨てられかかる。旧姓は井上。
倉田家
倉田雪乃(=本物)
由紀子の中学の同級生で評判の美人。容姿などでは同級生達から一目置かれていたが、心臓の病気があり欠席しがちで影が薄く恋人・親しい友人等がなかったこともあり、何かと由紀子を頼っていた。しかし裏では2人暮らしだった母親と一緒に由紀子の容姿を嘲っていた様子。中学校在学中の14歳で病死。お下げ髪で清楚な印象を持ち、登校した日は男子が「ラッキーデー」と喜んだという証言がある。
倉田の母
娘の死から数年後、重病を患い入院。そこで働いていた整形後の由紀子に対して本人と気づかず、娘の容姿の自慢に加え、当時の由紀子に対して娘がどう思っていたかを伝え、嘲った為に彼女の怒りを買う。財産などはわずかしかなかった様で死後、由紀子に遺品を盗まれ、娘になりすまされる。そこから由紀子が連絡先を知る事になった塚本家とは遠縁の親戚だが、交流と面識なし。
芸能人
佐伯トモミ
新人女優で国民的美少女と称されている。映画収録中、雪乃に殺害されかかり負傷した妙子の代役に抜擢され、相当なプレッシャーを感じていたが妙子が復帰した為に没になる(本人はホッとした様子)。美人でスタイルが良いが、ワガママでセリフが覚えられない、演技が下手などトラブルも多く、周囲が手こずっていたが前向きな妙子に憧れ、再会した時に気持ちを本人に伝えている。性格は素直であっけらかんとしている。
早川恵美子
妙子の母と同年代(56歳)の美人女優。妙子が雪乃に塩酸を掛けたのでは? という疑惑に対して反論した事がある。妙子が聖を庇う発言をしたのがきっかけでマスコミに整形をかぎつけられ、仕事を干される。そして妙子が以前、聖と同居していた事などから「私の整形前の写真を見て情報を漏らしたのでは?」と疑い、泥酔し授賞式の壇上に上がり暴れた後、もみ合いの末に雪乃を負傷させてしまう。大物女優として扱われていたが受賞歴などはなく、若い頃は派手に遊びほうけていた様子。
事務所、制作スタッフなど
岩国
妙子が途中で移籍した羽沢プロダクション所属のマネージャーで中年の女性。さばけた性格で母性的な面を持ち、妙子に対して厳しい言葉を投げかける事もある。
黒和田
妙子と雪乃が中盤で共演した映画の監督。仕事には厳しいが普段は気の良い中年男性。雪乃を野心家と見抜く発言をして、妙子を驚かせる。
雪乃のマネージャー
若い男性でデビューした妙子の容姿を悪く言い、雪乃に「大事なのは容姿ではなく、クライアントの要望ではないか」と注意を受ける。妙子を襲撃する様に雪乃から依頼されるが失敗。役立たずとして雪乃から「恋愛感情を抱かれて困っている」と嘘の報告をされ、事務所を解雇され立腹。路上で雪乃を襲撃するも脇にいた甲斐に殴られて逃げ出す。氏名は不明。
その他
聖の姉
聖より7歳年上。氏名は不明。母が家を出て以来、彼の母親代わりをしていた。女優を目指していたが父に猛反対された末、22歳の6月に父の企業を救う為に田所という男と結婚をさせられる。結婚後に田所を愛する様になるも、美人だが恋愛経験がなく、物静かで生真面目な性格が物足りないとして田所が愛人を家に連れ込んだ為、嫉妬心からその愛人を突き飛ばし、逆に自身が怪我をしてしまう。この事が元で実家に戻され、父によって地下室に幽閉され、次第に心を病んでゆき、聖を田所と思い込んで肉体関係を持ち、正気に返った際にショックで焼身自殺をする。雪乃の顔のモデルになっており、長年に渡って聖の自宅に
エンバーミングを施した遺体として保管されていたが、のちに聖によって自宅の庭で火葬される。


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