性器ピアス
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性器ピアス(せいきピアス)とは性器の一部分に穴を貫通させて入れるピアスである。ボディピアスの一形態であり、身体改造の一形態であるとも考えられている。性器に穴を開けた後、そこに異物を挟み傷を癒すことで皮膚のトンネルを作り、出来た穴に装身具を装着する。イギリス[1]や、アメリカジョージア州[2]では女性器へのピアスが法律で禁止されている。

ピアス穴は、通常完治するまでに4か月から6か月かかり、時には1年以上かかる場合もある。
男性器へのピアス
アパドラビア・ピアッシング、アンパラング・ピアッシング
概要

アパドラビア・ピアッシングは亀頭を上から下まで縦に垂直に貫通させる男性器ピアスである[3]。これに対応する形で、亀頭を左右に水平に貫通させる男性器ピアスをアンパラング・ピアッシングという[3]。アパドラビア・ピアッシング、アンパラング・ピアッシングともにたいていは尿道を通過するよう中央に置かれる。故意に中央からずらすこともあるが、その時も尿道は通過するように貫通させる。このピアスは、インドで4世紀から5世紀頃に成立したと言われているインド最古の「性典」であるカーマ・スートラでも言及されている。
実施

アパドラビア・ピアッシングのピアス穴は通常1回で開けられるが、時にはプリンス・アルバート・ピアッシング(後述)の穴を開け、傷が癒えた後でアパドラビア・ピアッシングの穴を開けるという2段階で開けられることもある。アパドラビア、アンパラングともに、通常真っ直ぐなバーベル (en) をピアスに使う。バーベルは勃起による膨張に対応するために十分な長さが必要である。最初のバーベルの直径は通常2.0ミリメートルか2.4ミリメートルであるが、傷が癒えた後は徐々に穴を広げることができ、直径10ミリメートルを越えるサイズまで達することが出来る。アパドラビア・ピアッシングでは尿道が十分に大きければ、バーベルの片側の先端のボールを尿道の中に入れることで亀頭を貫通しない形にも出来るが、大部分の男性の尿道は小さすぎてそのオプションを選択できない。

アパドラビア・ピアッシングおよびアンパラング・ピアッシングは陰茎で最も敏感な部分を通過するため、男性にとって最も辛いピアスの一つである。しかしながら、一度傷が癒えればバーベルが陰茎の内部組織を刺激するため、通常非常に快感である[4]。性交時にはピアスの先端がGスポットに接触するように位置するため、女性のパートナーの性的快感を増幅させると考えられている[5]

アパドラビア・ピアッシングのバリエーションとして、シャフト・アパドラビアと呼ばれる穴あけ機を使わずにシャフトを貫通させるピアッシングがある。シャフト・アパドラビアに対応する形でシャフト・アンパラングも存在する。尿道割礼もしくは尿道口切開を行っていれば、ハーフ・アパドラビアと呼ばれる。また、アパドラビア・ピアッシングとアンパラング・ピアッシングと組み合わせたものはマジック・クロス・ピアッシングと呼ばれる。
健康問題

このピアスに関する主要な健康問題は、ピアス穴を開けた際の治癒プロセスにある。ピアス穴を開けるプロセスの間と、初期治癒の間の両方においてかなりの量の失血がある。また、6週間から6か月という長い治癒プロセスの間は性交を控える必要がある。ピアスのサイズは勃起した陰茎のサイズを元に選ばれるが、実際にピアスを付けるのは萎えた状態である。オーラルセックスの間に軟口蓋を傷つけたりダメージを与える事がある。ピアスが尿道を通過している場合は尿の流れを変えるため、排尿時に座るかその他の処置を取る必要がある。ピアスを入れることで傷跡が残り、ピアスを外して回復したとしても傷は残る。
歴史

この亀頭を貫くピアスは、フィリピンの部族のヨーロッパ人との接触に先行しており[6]ボルネオ島ダヤク族が行っていた[5]。トマス・キャヴェンディッシュ (en) は、フィリピンでのこのピアスの実行は、男性同士の同性愛を防ぐための女性の発明であったと主張している[7]。このピアスをするとアナルセックスがやりにくくなることが知られている[5]ゲイBDSMのコミュニティーの間の習慣となっていたものが、1980年代から1990年代にかけての「body piercing industry」の設立によって他の性器ピアスとともに大衆化された。
プリンス・アルバート・ピアッシングプリンス・ワンド
概要

プリンス・アルバート・ピアッシング (PA)は、陰茎小帯の外側から尿道口へと貫通させる男性器ピアスである[5]。これとは逆向きに、亀頭の上部から尿道口へと貫通させるピアスをリバース・プリンス・アルバート・ピアッシングという。中には陰茎小帯の中心を沿って走る神経束を避けるようにピアス穴を開ける方法もあるが、他はそうしない。割礼によって陰茎小帯が除去されていれば中心にピアス穴を開けることもあるが、そうでなければ、周囲の皮膚が動的に移動する必要があるのでサイドに開けられる。PAは、ピアス穴を開けた後1から2カ月と非常に早く回復する[5]。新しく入れたPAは最初の2から5日の間は軽く出血する事もある。
実施

PAには8か10ゲージ(バーの直径3.264ミリメートル、2.588ミリメートル)のピアスが使われ、しばし6ゲージ(4.115ミリメートル)や4ゲージ(5.189ミリメートル)まで引き上げられる。「チーズカッター効果」を防ぐことは、初期の段階で16ゲージから12ゲージの小径のピアスを使わない理由の一つでもある。また、少なくとも8ゲージや6ゲージまで手順を早く進めるのも一つの方法である。しかしこれらは個人の選択と体による。10ミリメートルを上回る太さまで拡張することも可能である。十分に重たいバーベルまたはリングを常に装着していれば、ピアス穴は自動的に拡張される。これは、ピアス穴を拡張していく過程が、他のピアスと違ってあまり痛みを伴わないことを意味している。PAの装着者が最も感じる事は身に付ける事による快感であり、性交中でさえも滅多に取り外さない。一部の人は、非常に大きく重たい装身具は付けていても快感が得られず、陰茎の性的な機能に干渉することもある。PAに用いられる装身具は、サーキュラー・バーベル、カーブド・バーベル、キャプティブビーズリング (en)、セグメントリング、プリンス・ワンド (en) がある。PAにつかわれるカーブド・リングは、通常長さが7/8インチ(2.22センチメートル)であり、片側のボールが陰茎の下部に配置し、もう一方のボールが尿道口に位置するように装着される。このようなリングは、より大きなリングが日常で衣服の中を動き回る不快感を防ぐことができる。
歴史

PAはしばらくの間ヨーロッパ中で実施されるようになったが、その起源は諸説あり本当の起源は分かっていない。多くの考えでは、性的もしくは文化的な意味合いよりもむしろ、いくつかの方法で陰茎を保護するために用いられたと示唆される[8]。現代では、1970年代初めにジム・ワード (en)によって大衆化された[9]ウェスト・ハリウッドにあるロサンゼルスゲイ・タウンでワードはダグ・マーロイ(リチャード・サイモントン) (en)およびファキール・ムサファー (en)と出会い、彼らは共にPAの開発を進めた。恐らくは運命的に、マーロイは小冊子を出版し、そのなかで特に空想的な男性器ピアスの歴史を作り上げてしまった[10]。これらの作られた物語は、アルバート皇子がぴっちりしたズボンの中で彼の大きな陰茎の姿を抑えるためにこのピアスを発明したという概念を含め、都市伝説として広く出回ったが、その真偽は歴史的にマーロイの主張と別個に証明されてはいない。
ダイドー・ピアッシング
概要

ダイドー・ピアッシングは、陰茎の先端を亀頭のカリの部分を貫通させる男性器ピアスである[5]。一般には亀頭の隆起の中央に置かれるが、2つの場合は左右対称に置かれる。いくつものダイドー・ピアスを亀頭に入れたものは「王冠」と呼ばれる。


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