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急性腹症(きゅうせいふくしょう、acute abdomen)とは、急激な腹痛によって緊急手術の適応か否かの判断が要求される症候である。 突如として急激な腹痛が起こり、急性の経過をとる疾患の総称である。かつて確定診断の精度が低かった場合は仮に急性腹症の用語を用いていたが、現在では迅速な診断が可能となっている。急性腹症を用いるところは主に外科領域であるが、疾患によっては産婦人科や泌尿器科などが関わってくる。なお、外見からだけでは判断しにくい疾患を急性腹症としているため、一見すれば判断できる腹部外傷は通常急性腹症に含めない。 同じ腹痛であっても、その痛みにはいくつかの種類が存在する。それを同定することが確定診断の第一歩となる。 緊急手術を要する可能性もあるため、迅速的な診断が必要となる。基本的には以下の診断が行われる。 腹痛の種類や部位を知るのに非常に重要である。また、開腹手術歴があればイレウスの可能性が高くなるなど、既往歴や現病歴も診断に大きく関わってくるため非常に重要である。女性であれば月経異常を調べて子宮外妊娠などが起こっていないか考える必要もある。上腹部痛 問診とともに重要な診断方法である。視診、聴診、打診、触診、直腸診、内診の順に行う。また、バイタルサイン(脈拍、血圧、呼吸、意識レベル、体温)を測定し、輸液やその他の体調管理が必要ないか調べる必要がある。
目次
1 定義
2 腹痛の種類
3 診断
3.1 問診
3.2 身体的検査
3.3 臨床検査
4 治療
5 急性腹症を起こす疾患
5.1 基本的に緊急手術を必要とする疾患
5.2 保存的に治療し手術が必要か判断する疾患
5.3 原則的に保存治療する疾患
6 脚注
7 関連項目
8 外部リンク
定義
腹痛の種類
内臓痛
内臓の炎症や感染などによって求心路である脊髄無髄神経終末が刺激を受け、疼痛が発生する。鈍い瀰漫性の慢性的な痛みが起こる。同時に悪心、嘔吐、冷汗
体性痛
腹膜、腸間膜、横隔膜の炎症や消化液や出血による刺激によって脊髄有髄神経が刺激を受け発生する。内臓痛と違って鋭く限局性の痛みが起こる。
関連痛
内臓痛や体性痛を受けた臓器から隔たった体表に限局的に感じる痛みである。
診断
問診
身体的検査
視診
腹部に膨隆があればガスが貯留している可能性がある。また、皮膚の着色斑も重要である(カレン徴候
聴診
腸雑音の亢進や減弱・消失は診断に非常に重要である。グル音が亢進している場合には単純性イレウス
血液検査、尿検査、便検査、単純X線は基本的に早急に行うが、それ以外のCT、超音波検査、内視鏡などは問診や身体的検査の情報を元に選択的に行う。 確定診断ができればその疾患の治療を行うが、それまでに状態を悪化させないことが重要である。初期は静脈路を確保して水分補給や電解質や酸塩基平衡の是正を行う。また、呼吸障害があれば気管挿管をして気道を確保する。抗菌薬や鎮痛薬は原則的には用いず、場合に応じて慎重に判断する。
治療
急性腹症を起こす疾患
基本的に緊急手術を必要とする疾患
汎発性腹膜炎
消化管穿孔
虫垂穿孔
胆嚢穿孔
大動脈解離・大動脈瘤破裂
複雑性イレウス
子宮外妊娠破裂
卵巣茎捻転
[ヘルプ]
^ a b c d “ ⇒急性腹症の診療”. 2018年10月18日閲覧。
^ 今枝博之 (2013). “急性腹症の診療”. ドクターサロン 57: 47(847).
関連項目