快速急行
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快速急行(かいそくきゅうこう)とは、日本私鉄で運行されている列車種別のひとつであり、英語表記はRapid Express。また事業者によっては日本語表記が快急、英語表記がRapid Exp.と略されることもある。

特急急行の中間に相当する種別であり、停車は基本的に特急より多く(例外あり)、急行より少なく設定される。特急の補完あるいは急行の速達化を目的に設けられるが、特急・急行のどちらに近い種別と位置付けられるかは事業者路線によって異なる。なお同時に運行している特急が有料列車のみであるときは、料金が別にかからない列車としては最速達種別(JRにおける「特別快速」もしくは「新快速」に相当する種別)となる。なお急行が運行されない路線(あるいはその停車駅が多い路線)では代わりに料金不要の特急が運行され、その上位種別として同じく料金不要の「快速特急」「快特」が運行されるケースもある(快速特急と快速急行が併存している路線も存在する)。

定期列車では南海電気鉄道1958年(昭和33年)に設定したことが始まり(臨時列車を含めれば前年の1957年小田急電鉄で運転開始)とされ、以降1972年(昭和47年)に近畿日本鉄道1976年(昭和51年)に東武鉄道でも設定されたのが初期の例として挙げられる。

日本国有鉄道およびJRでは快速と急行が混ざっており、急行料金を必要とする急行と、普通車自由席は料金不要の快速との間で混乱をきたす恐れがあるため、「快速急行」の種別名は使用していない。

各社の運行状況は以下の項目を参照のこと。
西武鉄道

西武鉄道池袋線1980年(昭和55年)3月17日から運転している。2012年平成24年)6月までは新宿線でも運転していた。2020年(令和2年)3月14日にダイヤ改正を実施し、新宿線で再び運行を開始した[1]
池袋線横瀬車両基地でのイベント時に運転された「急行 奥武蔵」のヘッドマークを付けた快速急行

池袋線では、2022年(令和2年)3月12日より平日通勤ラッシュ時間帯の上り1本のみ飯能池袋駅間、土休日夕方に西武秩父 → 池袋間および東京メトロ地下鉄)直通の快速急行が、平日9 - 16時台、土休日は8 - 17時台に30 - 60分間隔で設定され、横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅から飯能まで最速95分で結ぶ。なお平日のみ有楽町線新木場発の列車も設定されている。

(西武線)池袋駅行き列車の停車駅は池袋 - 石神井公園 - ひばりヶ丘 - 所沢 - 小手指 - 入間市 - 飯能で、飯能 - 西武秩父間は各駅に停車する。地下鉄有楽町線副都心線直通電車の停車駅は小竹向原 - 練馬 - 石神井公園 - ひばりヶ丘 - 所沢 - 小手指(平日すべてと土休日の一部はここで終着) - 入間市 - 飯能である。飯能より先東飯能方面へは臨時列車以外営業運転は行わない。埼玉西武ライオンズの主催試合など、西武ドームでのイベント開催時には、小手指行きのみなとみらい線・東急東横線・副都心線直通快速急行を西武球場前行きの快速に変更する場合がある。この場合、ひばりヶ丘駅始発の快速急行小手指行きを臨時運行し、所沢・小手指方面への速達性を保っている。

かつては所沢 - 飯能間はノンストップであったが、1993年(平成5年)12月6日ダイヤ改正で現在の停車駅となった。

かつて存在した秩父鉄道秩父本線直通列車にはボックスシートを持つ4000系が使われ、三峰口発着と長瀞発着が併結運転され、横瀬駅分割・併合を行っていた。西武線内の列車は一般の4扉車を使用する。

1960年代頃より、春・秋の観光シーズンに池袋 - 吾野に「急行 奥武蔵」「急行 伊豆ヶ岳」「急行 正丸」などの愛称が付けられた列車が運行されていた(西武秩父線開業後は西武秩父に延長)。後に「奥武蔵」に愛称が統一された。「奥武蔵」が1980年3月17日改正で快速急行に格上げ後もヘッドマーク表示は「急行」のままであったが、その後ヘッドマークを新デザインに更新した際に急行の文字が取り払われ、現在は「奥武蔵」のみの表示となっている。その他、不定期にヘッドマークを付けて運行される列車もある。

2013年(平成25年)の快速急行の地下鉄直通設定に伴い、同年3月15日まで運転されていた平日昼間の池袋 - 飯能間の快速急行は急行に格下げされた。ただし、直通先で輸送障害が起きて直通運転中止になると、臨時として西武線池袋まで運行することがある。その際、東京メトロ10000系電車東急5050系電車が運用される場合もある。

2016年3月26日のダイヤ改正以降は、日中時間帯のみなとみらい線元町・中華街駅 - 小手指駅・飯能駅発着の列車でみなとみらい線・東横線内を特急、副都心線内を急行運転する列車に、「Fライナー」の愛称が付けられる。

なお、2020年3月7日まで休日には行楽用として朝の下り2本と夕方上り1本運転され、西武線池袋駅から飯能を経て西武秩父線へ直通し、一部列車はさらに秩父鉄道へ直通した列車が存在した。

また2020年3月14日ダイヤ改正から新桜台駅を通過するようになった。
新宿線

新宿線の快速急行は、1998年(平成10年)3月から2012年(平成24年)6月まで運転されていた。2008年(平成20年)6月14日ダイヤ改正までは「川越号」の愛称があった。平日の昼間時に急行の速達列車及び特急「小江戸」号の補完列車として西武新宿駅 - 本川越駅間で運行されていた。廃止時の停車駅は西武新宿線を参照のこと。2020年3月14日にダイヤ改正を行い、土休日の日中に、本川越行き下り2本の運行を開始した[1]

1998年(平成10年)3月のダイヤ改正以前に運転されていた快速急行には、以下の例がある。

西武新宿駅 - 本川越駅間。土休日運転で通称「ゴルフ急行」。停車駅は西武新宿駅 - 高田馬場駅 - 鷺ノ宮駅 - 田無駅 - 所沢駅 - 狭山市駅 - 本川越駅。1993年(平成5年)のダイヤ改正により特急「小江戸」の運転が開始されたことで一旦廃止となった。

西武新宿駅 - 西武園駅間、西武新宿駅 - 西武遊園地駅(現:多摩湖駅)間。土休日運転(西武園発着列車は西武園競輪開催時(平日も含む)のみ運転)。停車駅は急行停車駅から花小金井駅久米川駅を除いたもの。なお、久米川駅は一列車あたりの乗降客数が新宿線では上位にあるにもかかわらず、通過扱いとなったため、快速急行廃止運動が展開された。2012年(平成24年)の快速急行廃止は、結果として久米川住民の悲願が叶ったことになる。また、西武遊園地行きの小平駅以西停車駅は萩山駅のみであったのが、1996年のダイヤ改正からは八坂駅武蔵大和駅のホーム延伸工事の完成によって両駅に停車するようになった(その影響で、多摩湖線国分寺駅 - 西武遊園地駅間に運転されていた準急はこの改正で各駅停車に格下げされた)。1998年(平成10年)のダイヤ改正により同区間運転の急行へと格下げされた(その後、西武遊園地→多摩湖行き急行は現存、西武園行き急行は廃止)。

西武ライオンズ球場での野球開催時には、西武新宿駅始発で狭山線に乗り入れる西武球場前駅行きの快速急行(これは前述の西武遊園地行きの快速急行を行き先変更したもの)が運転されていたが、1998年3月のダイヤ改正で急行に格下げされている。

2021年より、快速急行が復活。運行は、土日祝日に2本(西武新宿→本川越)。途中停車駅は、高田馬場・田無・東村山・所沢・新所沢と、新所沢からの各駅。2022年には1本に減便。

東武鉄道過去に運行されていた日光線系統の快速急行(有料列車)については「#かつての有料快速急行」を参照

東武鉄道では現在、東上本線で運行されている。

2008年(平成20年)6月14日のダイヤ改正よりTJライナーの運行が開始されたことに伴い、改正前の特急に相当する列車の種別として導入された。登場時の停車駅は、池袋 - 和光市 - 志木 - 川越 - 川越市 - 坂戸 - 東松山以北の各駅。従来から運行されている急行や、2013年(平成25年)から運行が開始された快速の上位列車となる。また、TJライナーと比較すると、和光市と志木に停まる一方でふじみ野を通過する。しかし、2023年(令和5年)3月18日のダイヤ改正により、Fライナー急行がFライナー快速急行に格上げされた。また、停車駅が志木駅から朝霞台に変更となり、川越から先は各駅に停まるようになった。朝霞台駅への停車駅変更は武蔵野線との乗り換え客が多いためであり、川越駅以北の各停化は日中時間帯に運行されるFライナーの快速急行化に伴い、川越市駅から先の区間でダイヤを等間隔にするためである。

2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正から、みなとみらい線元町・中華街駅から東急東横線・東京メトロ副都心線直通森林公園発着の快速急行が下りは午前中に3本(うち2本は菊名発、副都心線内急行、東横線・みなとみらい線内は元町・中華街発1本が特急、菊名発2本が急行)、上りは夕方に2本新設された(副都心線内急行、東横線・みなとみらい線内特急)。車両は下り1本が東京メトロ車、それ以外は東急車が使用されている。2019年3月16日のダイヤ改正では、下り列車の運行区間が森林公園から小川町まで延長された[2]

そして2023年3月18日ダイヤ改正から菊名発の1本が相鉄線の海老名始発となった(相鉄線内特急、東横・副都心線内急行)。

全列車10両編成で運転される。池袋発着は平日土休日問わず上下方向どちらも午前中に運転され、上り1本のみTJライナーの送り込みのため、深夜に運転され50090型限定運用で、座席をクロスシートにして運行されている。 2023年のダイヤ改正前の夕方上りは、土休日の副都心線直通列車を除いてTJライナーの送り込みを兼ねていた。TJライナーの送り込み以外の列車は特に使用車両は限定されない。

地下鉄直通列車で運転される快速急行は、全て副都心線方面へ直通する。日中時間帯を中心に設定されており、ほとんどがFライナーである。

東上本線の快速急行(10030型

みなとみらい線・東横線・副都心線直通の快速急行(東急5050系4000番台)

小田急電鉄小田急電鉄の快速急行(2007年6月撮影)

小田急電鉄では、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}遠近の利用者分離と速達化や湘南新宿ラインとの対抗を目的に[要出典]、それまで存在した湘南急行を発展させるかたちで、2004年12月11日より運転を開始した。

2018年3月17日のダイヤ改正で、多摩線への乗り入れを開始し、停車駅に登戸駅栗平駅小田急永山駅小田急多摩センター駅唐木田駅が追加された[3]

小田原線の新宿 - 小田原で運行される系統と、江ノ島線に直通し新宿 - 藤沢で運行される系統が存在している。日中時は毎時各3本(新宿 - 相模大野間は併せて毎時6本)、平日朝ラッシュ時の上りでは毎時各6本(後者は江ノ島線内では急行、新宿 - 相模大野間は併せて毎時12本)設定されている。平日夕ラッシュ時の下りでは毎時各2本のほか、多摩線に直通し新宿 - 唐木田で運行される系統が毎時2本設定されている(新宿 - 新百合ヶ丘間は併せて毎時6本)[3]

全列車が10両編成で、途中駅での分割併合はない。輸送障害時など、所定の行先ではなく町田・相模大野など途中駅で打ち切りや折り返しとなる場合がある。かつては深夜帯に相模大野ゆきが平日に2本設定されていたが、2018年3月のダイヤ改正で消滅した。

新宿 - 相模大野間の停車駅は、代々木上原下北沢登戸新百合ヶ丘町田である。これは、急行よりも3駅(経堂成城学園前向ヶ丘遊園)少ない。また、2018年3月19日より運行を開始した通勤急行とは千鳥停車の関係にあり、通勤急行が通過する登戸に停車し、通勤急行が停車する成城学園前・向ヶ丘遊園を通過する[3]

なお、定期列車には存在しないものの、東京メトロ千代田線直通の臨時快速急行(湘南マリン号、丹沢もみじ号)が運行されることがある。
小田原方面

新宿 - 小田原間を結ぶ列車のうち、相模大野より西側は、途中海老名本厚木 - 新松田間の各駅に停車する。


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