忍者武芸帳
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『忍者武芸帳 影丸伝』(にんじゃぶげいちょう かげまるでん)は、白土三平による日本の長編貸本漫画、およびそれを元にした映画である。映画作品の場合はタイトルに「影丸伝」が付かない。1959年から1962年まで三洋社から出版。全17巻。映画版は1967年大島渚監督が、静止画によるモンタージュという実験的技法で製作した。1969年にはテレビアニメ化も考えていたが白土が拒否したため、パイロットフィルムのみとなり、『忍風カムイ外伝』に企画変更された。
概要

『忍者武芸帳 影丸伝』(にんじゃぶげいちょう かげまるでん)は、永禄年間から本能寺の変後の天正年間に至る間の、大名・武家や僧侶といった支配者層と農民・地侍たち被支配者層との間に起きる土一揆一向一揆、大名同士による戦争・調略、暗躍する忍者など、壮大な歴史群像を描いた劇画である。
ストーリー

永禄3年(1560年)、最上義光(史実ではこの頃の最上家の当主は最上義守)と通じた坂上主膳により出羽国伏影城が乗っ取られた。城主の一子・結城重太郎は父の仇・主膳を討つため復讐の旅に出る。重太郎はその過程で謎の忍者・影丸、無風道人、といった人々に助けられ、明美との恋を経て成長していく。主膳は影丸の指揮する農民一揆により城を失い、自らの野望を叶えるべく上方に上るが、明智光秀の影武者となる。影丸は各地で一揆を指導し、支配地域を拡大し農民への支配を強めつつあった織田家との対決のため上方へと戦線を拡大していく。一方、将軍・足利義輝暗殺や北畠具教暗殺など権力者による陰謀の影で無風道人は暗躍する。織田家と各大名・一向宗・農民との戦いは苛烈を極め、戦国は終息へと向かいつつあった。
登場人物
影丸(かげまる)
無風道人の弟子にして「陰の流れ」に属する忍者。影一族を使い、各地で農民など被支配者層による一揆を指導して支配者打倒のために戦い続けている。本願寺とも連絡を取りあい、一向一揆と共闘している。湖に沈められたり首を斬られたりしても甦り、人々から不死身と呼ばれる。重太郎と妹・明美の幸せを願っている。
結城 重太郎 (ゆうき じゅうたろう)
出羽国伏影城城主・結城隼人光春の子。家老・坂上主膳の謀反により城を追われ幽閉されるが家臣の救出により逃げ延びる。仇の主膳をどこまでも追う途中、瀕死の上泉秀胤に出会い、疾風剣を伝授される。主膳の妹・蛍火との戦いで左前腕部の半ばあたりを切断され、それ以来隻腕となるが、その後も無風道人・上泉信綱などから剣を学び、無双の達人となってゆく。旅の途中で出会った明美と恋に落ちるが、その仇討ちと剣の腕を権力者の陰謀に利用されてしまう。
明美(あけみ)
影丸の妹。無垢で一途な性格。周りの状況の変化に対して本能のまま反射的に対応できる「化性」(けしょう)と呼ばれる性質の持ち主。兄・影丸を探す途上で重太郎と出会い、恋に落ちる。後に重太郎と祝言を挙げ、その子を身ごもるが蛍火らに惨殺される。
影一族(かげいちぞく)
それぞれが特殊な才能を持ち、影丸の影武者にして屈強な7人の忍者。影丸の使う分身術「八本しめじ」は影一族の変装によるもので、影丸の不死身ぶりや神出鬼没ぶりを演出している。一族を名乗っているが、三つ以外は血の繋がりは無い。
蔵六(ぞうろく)
影一族の一員。伊予国出身。本名は鬼吉(おにきち)であり、別名「韋駄天の鬼吉」。頭がカメのように胴体に引っ込む特異な身体を持っており、生きたカメを用いた術も得意とする。忍者・夜叉姫に育てられ、当初は盗賊団を率いて活動していたが、影丸と張り合ううちに影丸を気に入り仲間となる。各地の農民一揆の指導・支配者層の攪乱を担っている。蔵六という名は中国でのカメの名に由来する。
くされ
影一族の一員。飛騨国出身。本名は小助。森に迷い込み、穴熊と暮らすうちに穴熊のような能力を得た。穴を掘って自在に地中を移動、スカンクのように肛門から臭気銃を発射できる。その特異な能力を影丸に見込まれ仲間となる。
しびれ
影一族の一員。本名は捨吉。幼い頃家族と共にカマスかぶりにされ川に流されるが、九死に一生を得て炭焼き・伝造に化けた影丸に育てられる。デンキウナギのような特異体質を持ち、危険を感じると身体から電気を発し、水を導体にして敵を感電死させる。
岩魚(いわな)
影一族の一員。本名は平太。湖に沈められた母の遺体に会うため何年も潜り続けるうちに身体が水中に適応した。脇腹に数対の気門のようなエラを持ち、水中で自由に活動できる。土中深く埋められてもエラで呼吸して生き続ける。
三つ
影一族の一員。荒野で産気づいた妊婦から影丸が取り上げた三つ子で、蔵六がそれをさらい忍者として育て上げた。蔵六と共に影一族に加わる。そのうち1人は影丸の影武者として無風道人に斬られた。
太郎
蔵六の息子。当初は明美や無風道人と一緒に旅して父を探していたが、父にめぐり合ってからは影一族と行動を共にするようになる。影一族と行動する頃には、忍術を習得し、それなりの遣い手となっている。
林崎甚助(はやしざき じんすけ)
重太郎と同じく、父の仇として主膳を追っている少年。結核を患っており、ハンデを補うために居合術を編み出した。影丸と知り合い、その壮大な夢を知ってからは影丸を尊敬している。後にかまいたちに倒れるが、謎のおばばが発見したと小萩の看病により結核から回復。重太郎と風貌が似ているため、作中では何度か間違われている。
小萩(こはぎ)
北畠具教の娘。甚助に好意を寄せており、父・具教から甚助と結婚して2人で京に行くことを勧められるが、街道で甚助を待っている間に苔丸たちに襲われて命を落とす。
無風道人(むふうどうじん)
影丸の師であり「影の流れ」の達人で忍法に精通している。貧しき農民や戦災孤児の救済などに使う金を得るために暗殺を請け負う。「剣法は人殺しの方法に過ぎない」と言い切りその目的のためならば手段を選ばない怪僧。


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