必殺仕業人
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必殺仕業人
ジャンル
時代劇
脚本安倍徹郎
中村勝行
野上龍雄
監督工藤栄一
松本明
蔵原惟繕
田中徳三
出演者藤田まこと
大出俊
中尾ミエ
渡辺篤史
美川陽一郎
鶴田忍
白木万理
菅井きん
中村敦夫
ナレーター宇崎竜童
オープニング作曲:平尾昌晃「緊迫の一瞬」
エンディング西崎みどりさざなみ
時代設定天保年間
製作
プロデューサー山内久司(朝日放送)
仲川利久(朝日放送)
櫻井洋三(松竹)
制作朝日放送

放送
放送国・地域 日本
放送期間1976年1月16日 - 7月23日
放送時間金曜日22:00 - 22:54
放送分54分
回数28
朝日放送必殺シリーズ
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『必殺仕業人』(ひっさつしわざにん)は、1976年1月16日から7月23日まで、毎週金曜日22:00 - 22:54に朝日放送松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)の制作で、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列で放送した時代劇。全28話。主演は中村敦夫

必殺シリーズの第7作目、中村主水シリーズの第4作目である。
概要

本作は前作『必殺仕置屋稼業』に引き続き、中村主水が登場。前作の最終回で降格処分を受けた主水は小伝馬町牢屋敷の牢屋見廻り同心となり、劇中では仕置屋解散から一年の月日が経過している。主水の身なりは切迫した暮らしを反映するように、髪の毛も鬢がほつれ、無精髭が目立つなど荒んだ印象を与えている。後にトレードマークとなる襟巻きを着用する様になったのは本作からである。

主水の風貌に加えて、赤井剣之介とお歌の刹那的で貧しい生活描写など、全体的に無常観漂う作風となっている。グループとしての裏稼業の描写も「稼業」というドライさを取り入れた前作から更に進展し、より即物的な「金」の為に仕事を探すという傾向が目立つ。

これらの雰囲気が最終回での剣之介とお歌の無意味な死、主水の裏稼業との決別へ繋がっていくが、クロージングで毎回演じられる主水と出戻り銀次による牢屋でのコミカルな一幕や三代に渡って登場する中村家の間借り人など、全体としてドライではあるが、殊更に暗さを強調した作風ではない。

本作の仕事料は一件に付き、五両。仕事を持ち込んだ者が紹介料として他者の倍額を受け取る事ができるシステムとなっている。

エンディングタイトルバックは第1話から第7話までは「沈む夕日のアップ映像」を使用。しかしこの画面はクレジットが背景に溶け込んで読めないという問題があり、第8話以降は「快晴の空の太陽にエフェクトをかけたもの」に変更となる。

『仕業人』のタイトルは一般から公募された。当初は作中で用いられてはいなかったが、裏稼業の名称として、第10話より劇中で用いられるようになった。

各回のナレーションは宇崎竜童が担当。サブタイトルはダウン・タウン・ブギウギ・バンドの1975年のヒット曲『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』の歌詞の一部を引用した「あんた、・・・をどう思う」で統一されている。劇伴のBGMはエレキギターの旋律をメインとした物が目立つ。

第24話「あんた、この替玉をどう思う」(1976年6月25日放映)は必殺シリーズ 200回記念回である。かつてのレギュラー出演者(中村玉緒沖雅也草笛光子中谷一郎大塚吾郎野川由美子田村高廣緒形拳三島ゆり子石坂浩二。以上、登場順)がカメオ出演した。

今作はキャストに『木枯し紋次郎』(フジテレビ)で主人公の紋次郎を演じた中村敦夫を起用。必殺シリーズは『紋次郎』への対抗馬として制作された経緯があり、中村がかつてのライバル作にレギュラー出演することについては色々と取り沙汰されたらしい[1]。中村は「当時の自分としてはあまり、そのことは気にしていなかった」と後に発言している[1]。中村は前作『必殺仕置屋稼業』第20話で、紋次郎を模した風来坊の殺し屋「疾風の竜」役でゲスト出演。必殺と同じ制作スタッフによる『おしどり右京捕物車』への主演でスタッフとも気心が知れていたという。

エンディング クレジットは前作で沖雅也を先頭に置いたのと同様に、中村敦夫が先頭となり、藤田まことはトメとなった。このことはかねてよりあった中村主水の主役を巡る問題を大きくすることとなり、次期作『新・必殺仕置人』の降板騒動に繋がった[2]

最終回(第28話)は大出俊がスケジュールの都合で先にクランクアップすることになり、第26、27話よりも先に撮影された。第26話は又右衛門が全く登場せず、第27話は書き置きを残して、温泉に旅に出ていることになっており、殺しの場面では代役による後ろ姿と針を持った手のみが登場。エンディング クレジットに大出の名前は無い。これは本作が当初は全26話の予定で、大出もそれに合わせて、スケジュールを確保していたが後番組『必殺からくり人』の製作が遅れたために穴埋めとして、本作が急遽2話追加されたためとする説がある[3]
あらすじ

中村主水は市松を逃がした失態により、小伝馬町牢屋敷の牢屋見廻り同心に格下げとなった。俸禄が少なくなった中村家は傘張りの内職に明け暮れ、妻と姑のいびりも激しい。だが、仕置屋時代の仲介人 おこうの死に際の頼みから、新たに加わった鍼灸師のやいとや又右衛門と組んで、裏稼業を続けていた。

一年後のある日の夜、主水は旅の芸人らしき男女と出会う。白塗りの男に「中村主水を知らないか?」と尋ねられるが、主水は知らないと誤魔化す。その頃、江戸には沼木藩の奥方 お未央の方が来ていた。彼女は理不尽な悪行を重ねており、主水にも仕事の依頼が入っていたが、戦力不足を感じていた。

その後、主水は旅芸人の男と再会する。男の名は赤井剣之介といい、その素性は元・上州沼木藩士の真野森之助で惚れた女旅芸人のお歌の為に人を殺して脱藩した。その後はお尋ね者として身を隠しつつ、大道芸で生計を立てていた。その道中で、市松と出会い「江戸に行ったら、主水を頼れ」と言われていた。

剣之介はお歌の負担を軽くする為に自分も裏稼業の仲間にして欲しいと主水に頼み込む。新たな仲間を探していた主水は今度の標的について話すが、お未央の方は剣之介の許婚であり、剣之介は彼女の悪行も自分の出奔が遠因と思い、仕事を断ろうとする。だが、お歌がお未央の手の者にさらわれたと知り、裏の仕事への参加を決める。

主水たちはお未央の方とその仲間を始末して、お歌を救出する。又右衛門は剣之介を信用できず、仲間に入れることを拒否するが、主水の説得でしぶしぶ認める。新しい仕業人グループが結成され、弱者の晴らせぬ恨みを晴らし、悪を闇に葬っていく。
登場人物
仕業人
中村主水
演 - 藤田まこと[4]南町奉行所の小伝馬町牢屋敷 牢屋見廻り同心。俸禄が減り、牢屋常駐で町廻りができない為、袖の下は貰えなくなった。裏の仕事も金の為という意識が強く、被害者へ積極的に話を持ち掛けたり、依頼に多少筋が通っていなくても構わず引き受ける。表の仕事は閑職だが、収入面で家庭での風当たりが強くなり、その対策として前作『必殺仕置屋稼業』で増築した離れを下宿として間借り人を募集することを提案する。最終回で、剣之介とお歌の死に衝撃を受ける。最後は全てを決着させるために殺し屋ではなく、一人の侍として果たし合いに臨み、裏稼業から足を洗うことを決心する。剣之介の死については後に『新・必殺仕置人』の劇中で言及している。
赤井剣之介
演 - 中村敦夫大道芸人。本名は真野森之助。設定年齢は41歳[5]。元・上州沼木藩の藩士だったが、惚れた女旅芸人 お歌の為に人を殺して脱藩する。その後はお尋ね者として、お歌と共に身を潜めながら旅をしている道中で出会った市松から主水を紹介され、江戸にやって来た。堅物で不器用であり、芸人には不向きながらも大道芸[6]をしている。お尋ね者の為、人前で芸を見せる時は顔に白粉を塗り、素顔を隠している。お歌に負担を掛けていることを申し訳なく思っているが生活が思い通りにならない不満から手を上げることが多い。武士への未練や執着は全く無く、お歌以上にその日暮らしに馴染んでいる。食い逃げや他人から施しを受けることにも抵抗がない。剣の腕は主水に匹敵するが武士を捨てたという理由で殺しには用いない。お尋ね者であることを仕事に利用したり(第6話)、逆にお尋ね者の為に仕事に支障を来たすことがあった(第18話)。第27話で「赤兎馬組」の「赤兎馬」の由来について説明する場面や「杞憂」という言葉の意味をお歌たちに教えるなど、元武士としての高い教養がある事が伺える場面がある。最終回で標的の藩の屋敷に捕らわれ、拷問を受けるが、お歌と又右衛門の協力により脱出。一度は捨てた刀を手に多勢の追手と応戦するが最後は力尽き、お歌と共に無惨な死を遂げた。
やいとや又右衛門(またえもん)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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