必殺仕事人III
[Wikipedia|▼Menu]

必殺仕事人III
ジャンル
時代劇
脚本吉田剛
保利吉紀
石森史郎
監督田中徳三
松野宏軌
貞永方久
広瀬襄
関本郁夫
出演者藤田まこと
三田村邦彦
鮎川いずみ
ひかる一平
山内敏男
白木万理
菅井きん
中条きよし
山田五十鈴
ナレーター中村梅之助
オープニング作曲:平尾昌晃「浜の真砂は尽きるとも」
エンディング鮎川いずみ「冬の花」
製作
製作総指揮山内久司(朝日放送)
プロデューサー仲川利久(朝日放送)
辰野悦央(朝日放送)
櫻井洋三(松竹
制作朝日放送

放送
放送国・地域 日本
放送期間1982年10月8日 - 1983年7月1日
放送時間金曜22:00 - 22:54
放送分54分
回数38
テンプレートを表示

『必殺仕事人III』(ひっさつしごとにんスリー)は、1982年10月8日から1983年7月1日まで、テレビ朝日系で毎週金曜日22:00 - 22:54に放送された、朝日放送松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)共同製作のテレビ時代劇。全38話。主演は藤田まこと

必殺シリーズの第19作、必殺仕事人シリーズの第3作、中村主水シリーズの第9作である。
概要

本作は、前作『新・必殺仕事人』の続編であり直結する作品世界を持つ。前作の最終話で解散したはずの主水たち仕事人グループが本作第一話では解散などなかったかのように引き続き活動しているが、これは本作の放送開始直前(前週)に『必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合』というテレビ特番が放送されこの中で仕事人グループ再始動に至る前作と本作をつなぐエピソードが既に描かれたからである。なお本作のオープニングナレーション時の映像は前作と同じものを使い回し、そこに新登場の西順之助のカットを加えただけとなっている(ナレーションは新規)。

本作も、藤田まこと演ずる中村主水を筆頭に、三田村邦彦演ずる秀、中条きよし演ずる勇次、鮎川いずみ演ずる加代、山田五十鈴演ずるおりくが、前作より何ら変わることなく登場している。

本作の特徴は異色の受験生仕事人 西順之助の仕事人グループへの加入である。順之助役には、TBS3年B組金八先生』第2シリーズで人気を得た、ジャニーズ事務所所属の当時のアイドル ひかる一平が起用された。順之助は『必殺からくり人』のとんぼに続いて、2人目となる10代の若者の殺し屋だが、『からくり人』放送当時、20代のジュディ・オングが10代の設定のとんぼを演じていたのとは異なり、ひかる一平は劇中の順之助同様、10代であり、「演じる役者も10代の殺し屋」は順之助が初めてである。当初、三田村邦彦が『太陽にほえろ!』(日本テレビ)への出演決定に伴って、必殺シリーズの降板が内定したため、秀に代わる新しいキャラクターとして設定されたのが、順之助である。その後、女性ファンからの強い要望で、三田村は引き続き出演することになり、『新・必殺仕事人』のメンバー+順之助という形に納まった。

順之助は受験生であり、当然、人間としては未熟な青年で、仕事人としてもまだアマチュア意識がある。彼は当初仕事人を悪人を倒す正義のヒーローのようにみており「世の中が悪いからひっくり返したい」という観念的理想主義者であり、金で仕事を請け負う殺し屋らしからぬ「正義のために」「世直しのために」という大義名分で殺しに参加しようとして主水たちを怒らせたり[1]、かといってその理想に燃えているわけでもなく率先的に行動するタイプではなく受動的で、やる気もあまりなく塾の試験勉強のために平気で裏の仕事を休んだりといった、歴代の殺し屋たちが多少なりとも持ち合わせていたプロ意識が大幅に欠如しており[2]、主水たちから呆れられたり鉄拳制裁される描写もあった[3]。常に敬語で話すライトな性格もあって主水たち仕事人グループの中では浮いた存在で、現代っ子のような場違い感もあった。

10代の若者の順之助を仲間入りさせたことで作品内容が甘くなったのかと言えば、そのようなことは決して無く、自分が恋した女が殺しの標的となり、やむなく始末したことで、仕事人稼業から足を洗いたいと泣きながら言い出す順之助を主水と勇次が殴り飛ばし、厳しく叱責したり(第3話)、主水とおりくを除いた他の3人(秀、勇次、加代)が、足手まといの彼を始末しようと相談する描写などもあり(第9話)、この時期『必殺シリーズ』自体がマイルド路線に変化していったことも事実である反面、登場女性への性暴行描写など、前作『新・必殺仕事人』以上のハードな描写も多々見られる。一方、先述のようにあまりシリアスなキャラクター性ではなくプロ意識も足りない順之助は簡単な理由(試験前であるなど)で殺しを休んだり、多少のコメディ感もあって主水たち大人との感覚のズレが面白さを生んでいた。

必殺ファンで知られる、作家の田辺聖子が雑誌のエッセイで「最近の必殺には子供が出てきて殺しをしているが、あれは中途半端で嫌い」とコメントしたことがある。山内久司プロデューサーはこの意見を参考にし、本作後半からは順之助を殺し担当ではなく、エレキテルで見張りを気絶させるなど、ややマイルドな役割に微調整していった。これを発展させて『必殺仕事人IV』では、順之助は完全に殺しの下準備係となった。田辺の順之助への苦言と、必殺シリーズに対するリスペクトの強さは映画『必殺! THE HISSATSU』パンフレットに寄せたエッセイでも確認することができる。順之助を演じた、ひかる自身も、辰巳出版刊『時代劇マガジン』VOL9のインタビューで、「テレビとはいえ、10代の受験生が殺しを行うのは良くないというクレームが視聴者から寄せられた」と語っている。

1983年3月4日放送の第21話で、必殺シリーズの歴代最高視聴率37.1%を記録している。

本作の主題歌「冬の花」は『暗闇仕留人』の主題歌「旅愁」以来の大ヒットを記録。唄った鮎川いずみは、当時の日本有線大賞新人賞を受賞した。
あらすじ

仕事人大集合』で、多くの仕事人の犠牲と協力の元で、大仕事を完遂した中村主水、勇次加代おりくは仕事人チームを再び組むこととなった。

ある日の夜、主水たちは殺しの現場を目撃されてしまう。この目撃者 - 西順之助は蘭方医 西順庵の息子で、西洋医学所に合格するために日々、塾に通って勉強する受験生であった。主水たちは裏稼業の掟により順之助を始末しようとするが、仕事人の面々を前にしても臆すること無く、仕事人は正義の味方と憧れる彼の言葉を聞いて、どうしても手に掛けることは出来なかった。結局、誰にも口外しないことを条件に順之助は助けられた。

その後、ある事件が起こり、その噂を聞きつけた順之助は主水たちの仲間に入りたいと志願するも、主水たちから、全く相手にされない。順之助はそれでも諦めず、加代を煽って事件の真相を探ろうとするが、一味の一人に勘付かれてしまい、二人の人相書が市中に貼られてしまった。主水は順之助を殺そうとするが、泣きじゃくる彼を殺すことが出来ない。

おりくの提案で、異色の受験生仕事人 西順之助が誕生。彼とともに、主水たちは一味を闇に葬った。新たな仲間を加えた仕事人たちの暗闘は続く。
登場人物
仕事人
中村主水
演 - 藤田まこと南町奉行所の定町廻り同心。TVスペシャル『仕事人大集合』で、セクンデ一味との戦いをきっかけに闇の世界に再び身を投じる決意をする。未熟な順之助には基本的に厳しい態度を取りつつも、その成長を見守る。

演 - 三田村邦彦飾り職人。『仕事人大集合』の時点で、知らぬ顔の半兵衛と裏稼業を組み、彼と別れた後、セクンデ一味との戦いを終え、主水と再び組む。順之助にはあまり、いい印象を持たなかった。最後の仕事を行った後、依頼人の線から足がつくと主水から言われたことで江戸を離れることとなる。
加代
演 - 鮎川いずみ何でも屋で、仕事人の密偵。まだ若く、素人同然の順之助のサポートを行う。金にがめつく、図々しい性格も相変わらずである。最終話で敵が仕掛けた仕事を請け負ったことで素性がばれ、最後の仕事を行った後に奉行所から追われることとなり、チーム解散と同時に江戸を離れた。
西順之助
演 - ひかる一平蘭方医の息子で、西洋医学所に合格し、自身も医者になることを夢見て学問に励む受験生。塾帰りに偶然、仕事人たちの殺しの現場を目撃。以前から仕事人を「悪政を正す正義の味方」として英雄視しており、主水たちのグループに仲間入りする。若さ故にいい加減なところがあり、「塾の試験が近いから」という理由などで殺しの仕事を休むことがあり、主水たちの反感を買ったこともある(第2、9話)。最後の仕事を終えた後、チーム解散と同時に赤の他人だと主水から告げられ、元の受験生生活に戻っていった。最後まで仕事を世直しと勘違いしている節があり、秀に叱責される場面もあった。
勇次
演 - 中条きよし三味線屋。前作に続き、小唄の師匠として中村家へ出入りしている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:67 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef