必殺からくり人
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必殺からくり人
ジャンル時代劇
脚本早坂暁
中村勝行
保利吉紀
監督蔵原惟繕
工藤栄一
大熊邦也
松野宏軌
出演者緒形拳
森田健作
芦屋雁之助
ジュディ・オング
間寛平
山田五十鈴
オープニング作曲:平尾昌晃「許せぬ悪にとどめさす」「万事解決」
エンディング川谷拓三負犬の唄
時代設定天保年間
製作
プロデューサー山内久司(朝日放送)
仲川利久(朝日放送)
櫻井洋三(松竹
制作朝日放送

放送
放送国・地域 日本
放送期間1976年7月30日 - 10月22日
放送時間金曜日22:00 - 22:54
放送分54分
回数13
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『必殺からくり人』(ひっさつからくりにん)は1976年7月30日から10月22日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)系で毎週金曜日22:00 - 22:54に放送された、朝日放送松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)共同製作のテレビ時代劇。全13話。主演は緒形拳

必殺シリーズの第8作、必殺からくり人シリーズの第1作である。また、必殺シリーズ初の1クール(全13回)物でもある。
概要

当時、NHKドラマで高い評価を受けていた早坂暁をメイン・ライターとして迎え、キャストも映画、演劇界の大物だが、テレビの露出は少なかった山田五十鈴[1]、青春スターのイメージが強かった森田健作ジュディ・オング[2]、必殺シリーズの出演は3作目となる緒形拳がキャスティングされた。

鼠小僧蛮社の獄といった史実を下敷きとし、現代の風景から物語が始まる基本フォーマットなど、時代劇としては挑戦的な試みが随所に見られた。また、必殺シリーズとしても、全話を通して巨悪を登場させたり、頼み人から金を受け取らないなど、それまでの作品とは異なる要素を含んでいる。

劇中における「からくり人」は裏稼業と言っても必ずしも殺しを専門としているわけではなく、『必殺必中仕事屋稼業』の「仕事屋」と同じように、必要に応じて殺しも行うトラブルシューターとしての存在である。また「涙としか手を組まない」と言い放った仇吉の台詞に象徴されるように、より弱者に対して寄り添うエモーショナルな姿勢が強い。結果として、この姿勢を貫いたことが曇り一家との対立を決定的にした。

本放送当時、出演者のスケジュールは多忙を極めており、天平ととんぼは第1話では一言しかセリフがなく、メンバーが一堂に会するシーンもない。

プロの殺し屋でありながら、同時に家族的な濃密な人間関係を持った「からくり人」と脚本はドラマとしても高い評価を受け、第2話「津軽じょんがらに涙をどうぞ」は優れたテレビ・ラジオ番組に贈られる、ギャラクシー賞放送批評懇談会)の選奨を受賞した[3]。早坂は全13話中、10話を執筆しており、必殺シリーズにおける執筆数で見ても、そのほとんどを本作が占める[4]

仕事人大集合』(1982年秋)では山田五十鈴、緒形拳、森田健作の「からくり人トリオ」が再結集した。もっとも、本作品からのキャラクターとして復活したのは森田健作の天平のみで、山田五十鈴は『新・必殺仕事人』の三味線屋のおりく、緒形拳は『仕事屋稼業』の半兵衛役だった。

劇場版映画『必殺! THE HISSATSU』では別の役柄だが、山田五十鈴と芦屋雁之助が再共演を果たしている。

しかし、こうした斬新かつ意欲的な試みが、従来の必殺シリーズを見慣れた視聴者にはなかなか受け入れられなかったらしく、視聴率的には苦戦したという。チーフプロデューサー山内久司は洋泉社「必殺シリーズを創った男」のインタビューで「この時期の作品は、どれも高い視聴率がなかなか取れなかった」とコメントしている。この結果、『新・必殺仕置人』以降は「金を受け取らなければ、頼み人のいかなる頼みも受けない」「頼み人との密接なかかわりを避け、任務遂行のために見殺しにする」など、突き放した視点での非情な殺し屋たちの物語が堅持されていくこととなる。

また、後続番組の『必殺からくり人・血風編』『新・必殺からくり人』『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』と合わせて「からくり人シリーズ」として扱われる場合もある。4作品ともに共通する要素としては、「グループの元締めが女性である」「史実上の人物・事件が物語に大きな関わりを持つ」という点がある。

オープニングナレーションは「からくり人」一同が写った白黒写真とあやとりをしている手元のカラー映像にからくり人役の山田・芦屋・ジュディ・森田・緒形(登場順)が一人づつナレーションを行う趣向がとられた。
あらすじ

芸者置屋の「花乃屋」一家は、世間に決して言えない秘密が二つあった。それは彼らが八丈島を島抜けした罪人であること。もう一つは彼らが弱い者の恨みを晴らす、からくり人であるということ。

からくり人のメンバーは花乃屋の女主人、仇吉、船頭の藤兵ヱ。仇吉の娘のとんぼ、藤兵ヱの息子のへろ松。花火職人の天平、枕売りの時次郎。彼らを率いる元締は表では骨董商を営む、蘭兵衛。

しかし、別のからくり人組織の元締「曇り」によって、元締の蘭兵衛が殺される。「曇り」は裏で幕府と結び付いており、格安で弱い者の依頼を請け負う彼らを快く思っていなかった。仇吉は蘭兵衛の遺志を引き継ぎ、元締となり、弱者の涙のために恨みを晴らしていく。

時代設定は天保年間[5]で、天保の大飢饉蛮社の獄などが、物語に織り込まれる。
登場人物
からくり人
夢屋時次郎
演 -
緒形拳[6]表稼業は安眠枕を売る「夢屋」で川を小船で渡りながら歌を唄いつつ、枕を売っていく。からくり人の中では行動力に優れ、ねずみ小僧が入牢している牢屋に忍び込んだり、仇吉の頼みで尾張まで飛び、情報収集を行った。作劇上では語り手としての側面を持ち、第1話の冒頭で現代の銀座に姿を見せ、ねずみ小僧の市中引き回しを説明する場面がある。遊び好きで、女に手を出すのが早く、お調子者の一面もある。島帰りの証である腕の刺青を知り合いの彫物師によって、一本だけ消してもらい、残りの一本も消してもらう約束でいたが、その彫物師はある悪事に利用された末に殺される。過去にアキという恋人がいたが、彼女が男に絡まれているのを助けようとして誤って、相手の男を殺してしまい、島送りとなる。島抜けをした後、アキは他の男と結婚していた。彼女への想いを捨てきれなかった時次郎は彼女に瓜二つの女郎のしぐれに肩入れするようになる。しぐれが病気になった時に女郎を差別せず、命を助けてくれた蘭学医の小関三英に恩を感じ、小関が蛮社の獄で自決したことを知るや仇を討つために鳥居耀蔵たちの暗殺を図る。そのために仲間へ累がおよばないよう姿をくらまし、特製の狙撃銃を用意したが、弾道に飛んだ一羽の鳩のために失敗に終わる。最後は身体中に火薬を塗り、五重塔の中で自爆した。
仕掛の天平
演 - 森田健作[7]百万坪の埋立地に居を構える花火師。赤く発色する火薬を使った花火を得意としており「血染めの天平」の異名を持つ。血気盛んで、ぶっきらぼうだが、優しい性格である。とんぼに惚れられているようだが、女心には疎く、いつも邪険にする。へろ松と一緒に掘っ立て小屋に住んでいるが、一緒に住むようになった経緯は不明。小屋の中には火薬が大量に置かれており、火付けに合うことが多く、小屋を爆発させられてしまう。出生に関しては詳しく語られていないが、とんぼと同じ島生まれらしく、幼いころに仇吉らと共に嵐の中を島抜けして以来の縁。とんぼの項で触れられている兄妹説に関しては真偽は不明のままである。最終話では家を爆破された影響で視力を失い、曇り一家に単身で乗り込み、曇りと共に自爆しようとするも叶わず、自分の花火で爆死した。
花乃屋とんぼ
演 - ジュディ・オング仇吉の娘。仇吉が八丈島に流された時には既に身籠っており島で産み落とされた。父は、かつて仇吉の男だったが裏切った浮世絵師(歌川延重)。その後も島で暮らし、その間に生きるための術として学習した読唇術をからくり人の仕事としても利用して、悪人の密談を調べる。日頃から好意を抱く天平とは兄妹かもしれないという会話が仇吉と藤兵ヱの間でされたが、そうなると天平もまた仇吉の子ということになるため、第11話で仇吉によって語られた過去との矛盾が生まれてしまい、真偽は不明のままである。典型的な現代っ子だが、純粋な性格。殺しは基本的に行わないが、最終話の曇り一家との全面抗争で、花乃屋に侵入してきた刺客を藤兵ヱに託された匕首で刺殺した。仇吉から最後の願いを託されて上方へ渡り、のちに清元の名手[8]となって明治初頭に活躍した。
八尺の藤兵ヱ
演 - 芦屋雁之助花乃屋の番頭で、普段は屋形船の船頭。仇吉の用心棒も務める。並外れた怪力の持ち主で、柱への突っ張りで家屋全体を揺るがすほどの力を備えている。


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