心_(1973年の映画)
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監督
新藤兼人
脚本新藤兼人
原作夏目漱石
製作新藤兼人
葛井欣士郎
出演者松橋登
辻萬長
乙羽信子
音楽林光
撮影黒田清巳
編集近藤光雄
配給アート・シアター・ギルド
公開 1973年10月27日
上映時間90分
製作国 日本
言語日本語
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『心』(こころ)は、1973年に公開された新藤兼人監督の日本映画
概要

近代映画協会日本アート・シアター・ギルド(略称:ATG)が提携し、夏目漱石の小説『こゝろ』を映画化した[1]

ただし、原作に依拠しながらも、時代設定は映画制作当時のものとし、脚色や改変がなされている[2]
あらすじ

20歳の大学生Kは、東京都文京区本郷にある古い家を訪れ、世帯主のM夫人に、空き部屋を貸してほしいと頼む。下宿ではなかったが、海軍にいた太平洋戦争で失い遺族年金で暮らしているM夫人は、Kが父親遺産相続すると知り部屋を貸すことに決める。Kが住むことになった部屋には、「空」と書かれた掛軸が飾られていた。

裁縫が得意なM夫人は、一人デザイン学校に通う妖艶なI子と暮らしていた。I子はピアノが得意で、ベートーヴェンの『月光』をよく弾いていた。常に和服を着ている古風なM夫人と、スタイリッシュな洋服を着こなす現代的なI子は、価値観も対照的であった。早々にI子を結婚させたいM夫人は、幾度も見合いを組むが、いつも失敗に終わっていた。

Kは、生活に困窮している中学時代からの親友Sを、自分の隣の部屋に住まわしてほしいとM夫人に頼む。同居生活を危惧したM夫人は反対したが、Kの強い説得に押され止む無く許可する。M夫人には隠していたが、Sは学生運動に身を投じ、警察逮捕された前科があった。

ほどなくして、夏休みとなったKとSは、I子とM夫人を連れて長野県蓼科高原旅行に出かける。ピクニックをしたり、釣りをしたりして楽しい日を過ごした。M夫人は先に帰り、3人は白樺の林を散歩していたが、Kは一人取り残された。2人を探したKは、茂みから出てくるSとI子を目撃してしまう。

翌朝、I子から蓼科山に登ってみるよう促されたSは奮い立ち、一人で登り始めた。双眼鏡で確認したI子だが、Sを見失ってしまった。山小屋夕食の準備をしていると、ようやく疲れ切ったSが戻ってきた。

本郷に帰宅してから、Kを呼び出したSは、I子を愛してしまったことを明かした。まだI子自身には告白していないと知ったKは翌日授業を休み、Sが大学へ行っている間にI子をにしたいとM夫人に願い出る。それを受け、M夫人はI子との結婚を承諾した。このことをSに打ち明けないまま数日が経ち、Kは落ち着かなくなっていた。そんなKに対し、M夫人はI子との結婚が決まったことをSに話したと告げる。その時のSの反応をM夫人に尋ねると、喜んでくれたようだと答えた。

その夜、悪夢にうなされて起きたKが、異変を感じ隣の部屋に入ってみると、Sは剃刀を切りに飛び散るほど大量に出血した状態でんでいた。の上には、Kに宛てた遺書が置かれていた。電報で呼び出されたSの父は、荼毘に付されたSの遺骨を持ち帰っていった。

結婚したKは、I子と再び蓼科を訪れる。その後、暗い結婚生活を送ったKは、病に倒れたM夫人を看病した。M夫人は臨終間際、「お幸せに」と一言残した。Sを忘れられないKは、分かれ道となった蓼科山を登っていくのだった。
出演

K -
松橋登

S - 辻萬長

I子 - 杏梨

M夫人 - 乙羽信子

Sの父 - 殿山泰司

アベックの男 - 荒川保男

アベックの女 - 小竹外登美

備考

役名のKとSは、部屋の掛け軸に書かれた「空」の読み、「から:Kara」「そら:Sora」にかかっている。


大学の講堂に見立てて撮影された
建物は、1977年解体された旧東京都美術館である。


2019年キングレコードから「ATGライブラリー 廉価シリーズ」の一つとしてDVDが再リリースされた[3]

出典^ “心<1973>”. ぴあ. 2022年5月30日閲覧。
^ “心(1973)”. 日本映画情報システム. 2022年5月30日閲覧。


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