心理カウンセラー
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この項目では、カウンセリングやカウンセラー全般について説明しています。

カウンセリングやカウンセラーに関連した資格については「日本の心理学に関する資格一覧」をご覧ください。

教育職員免許状の授与がなされるために履修する教職課程における「教職に関する科目」の1つとして位置づけられる「カウンセリング」に関する科目、及び科目名としての「カウンセリング」については「教育相談」をご覧ください。

我が国において、カウンセリングの全領域を扱う学術学会については「日本カウンセリング学会」をご覧ください。

カウンセリング(: counseling)とは、依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談援助のことである。カウンセリングを行う者をカウンセラー(: counsellor、: counselor)、相談員などと呼び、カウンセリングを受ける者をクライエント(client)、カウンセリー(counselee)、相談者/来談者などと呼ぶ。日本では、カウンセリングと心理療法はほぼ同じ意味として用いられており、カウンセリングは心理カウンセリングを指すことが多い。[1]
概要
広義のカウンセリング

広義のカウンセリングは、社会経済生活の各分野における種々の専門的相談援助行為を指し、例えば、就職関連、法律関連、美容関連、婚姻関連ほか、様々なものが含まれる。
心理カウンセリング

一方、狭義のカウンセリングは、精神心理的な相談援助、すなわち心理カウンセリングを指す。その場合、心理カウンセラーの学問的基盤は、心理学応用心理学の一分野である臨床心理学が中心的に用いられる[2]

アドバイスとは異なり、カウンセラーがクライエントに対して明確な解決策を直ちに提示することは原則的にない。これは、カウンセリングという場においてクライエントが自らに向き合い、その作業を通じて新しい理解や洞察に自発的にたどり着き、最終的にカウンセリングが終結した後には、カウンセリングにおける経験を生かしてクライエントが実生活の問題や悩みに主体的に相対して行けるように導くことが、カウンセリングの目的であると同時にカウンセラーの役目であるためであり、心理カウンセリングの際は大切にされる原則である[3]

しかしながら、抱える問題の性質やクライエントが置かれている環境、あるいは臨床的な状態によってはこの原則の限りではない。日本では、診察診断などは医師のみに許される行為であるため行わないが、一方で心理カウンセラーは、上記のように臨床心理学に基づく専門業務を行う[3]

したがって、心理カウンセラー自身の学問的基盤に立脚し、クライエントおよび当該事例の現状に対する臨床心理査定を適切に行うことが第一義的に求められており、導かれた臨床心理査定に即して、原則通りの心理カウンセリングを用いるべきか、それとも心理教育・心理コンサルテーションを折衷すべきか、あるいは薬物療法を含む医療を最優先させるべきかなど、その都度状況を判断し、最もクライエントのメンタルヘルスに資する方法を選択することが、心理カウンセラーに要求される重要な専門性のひとつである[3]

また、心理カウンセラーは、従事する業務が「心理相談」であるという性質上、クライエントとは既存の利害関係が存在しない「第三者性」「外部性」を有する心理職専門家であることが、「二重関係(多重関係)の回避[4][5]」と呼ばれる倫理上の義務として大前提とされている[4][5]。関連情報は「スクールカウンセラー#第三者性・外部性の確保」を参照
歴史

日本では最近まで、心理職には、心理士、心理カウンセラー(相談員)、心理セラピスト(療法士)などの国家資格が存在しなかったが、民間の心理学関連資格は多数存在していた。そのような状況に鑑み、専門職大学院などの指定大学院における高度な専門養成課程を敷き、スクールカウンセラー事業を始め支援活動の実績がある臨床心理士や、医療保健福祉分野に活動領域を限定する方針で、医師関連団体が提案する医療心理師(仮称)を中心に、心理職国家資格を創設しようとする動きが見られてきた。この流れを受け、数年にわたる協議を経て、2017年9月に公認心理師法が施行。心理職の国家資格として、厚生労働省文部科学省の共管による公認心理師が誕生することとなった。なお、カウンセリングに関して、学問的基盤を社会福祉学ソーシャルワーク)に持つ隣接領域の国家資格としては、精神保健福祉士社会福祉士がある。関連情報は「公認心理師」、「臨床心理士」、「医療心理師(仮称)」、「心理士」を参照

メンタルケア先進国である欧米諸国に比べ日本においては、これまでの制度面の遅れがあり、それゆえに心理カウンセリングや心理療法が日常的なものとして位置づけられてきづらかった[6]。しかし、1998年から年間30,000人を超え続けている自殺者[7]昭和期20世紀に比しての、精神疾患受療率増加[8]不登校児童生徒数増加[9]、対教職員・生徒間などの暴力行為発生件数増加[10]、そして2008年労働契約法施行による労働者の心身両面への安全配慮義務の明文化と経営者に対する義務づけ[11]などの様々な社会情勢から、精神科医などの医師臨床心理士との心理カウンセリング・心理療法のため、専門家相談機関を訪れる人は増加傾向にある[8]。また、教育機関においては、文部科学省によりスクールカウンセラー事業が制度化され定着するなど、今日では心理カウンセリングや心理療法が我々の日常的なものとして認知されてきている[12]
詐称と関連した問題

「自称心理カウンセラー」「自称○○カウンセラー」「カウンセラー類似者」による、偽カウンセリングや高額自己啓発セミナー、およびそれによる消費者被害が問題となっている[13][14][15]。また、誤ったカウンセリングによって相談者の心理的負担が返って増すという事例もあり、カウンセラーの質に関する問題もある[16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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