心停止
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この項目では、心停止の医学的・国際的側面について説明しています。日本での心停止の社会的側面については「心肺停止」をご覧ください。

心停止
別称心肺停止、突然の心停止[1]

心停止を模したマネキンに対して行われている心肺蘇生法
概要
診療科循環器学, 救急医学
症状意識レベルの変化(英語版)、意識消失(英語版)、呼吸停止脈拍触知不能[1][2]
発症時期発症リスクは年齢とともに増加する[3]
原因虚血性心疾患, 先天性心疾患, 大量出血, 低酸素症, 感電, 低カリウム血症, 心不全など
診断法

脈拍無し,[1] 心電図[4]
合併症蘇生した場合、 昏睡遷延性意識障害、心停止後症候群(英語版)。蘇生されなかった場合はに至る。
予防喫煙をしない, 運動, 健康体重の維持, 健康的な食事[5]
治療心肺蘇生法 (CPR), 除細動[6]
予後全生存率 ?10% (病院外) 25% (病院内);[7][8] 予後は心停止のタイプとその原因とで大きく異なる。
頻度年間13人/10,000人 (米国、病院外)[9]
死亡数・425,000人/年 以上 (米国)[10]
分類および外部参照情報
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心停止(しんていし、: cardiac arrest)は、突然の心停止(: sudden cardiac arrest)とも呼ばれ、心臓の拍動が突然停止することである[11][1]。その結果、血液は正常な循環で全身に送られなくなり、意識は急速に失われ、呼吸は異常を呈するか消失する[1]。心停止が起こった場合、心肺蘇生法(CPR)や、場合によっては除細動などの即時介入がなければ後遺症を残すか、心臓突然死(: sudden cardiac death)と呼ばれるに至ることもある[2][12][13]。日本では、心停止は心肺停止: cardiopulmonary arrest: CPA)とも呼ばれることもある[14][15]

医学的には「」とは、心肺系、もしくは脳に不可逆的な損傷を負った状態(脳死)を含み[16]、生命維持に不可欠な臓器の恒久的な全機能停止とされる[17]。一方、心停止は極めて深刻な病的状態だが、心肺蘇生によって、最善の場合社会復帰できる可能性と可逆性を有しており[18][19]、死とは区別される[注釈 1]。本項では心停止について概説する。
概要

心停止の最も一般的な原因は心室細動(Vf)や心室頻拍(VT)などの致死的不整脈であるが、様々な疾患が原因となる[21]。特に心臓疾患が心停止の主な危険因子である[3]。これらの致死的不整脈においては、心電図上は心臓の電気活動はあるものの、心臓は全身に血液を送り出すポンプ機能を喪失している。

心停止は脈拍手首などの動脈の拍動)が確認できないことで診断される[1]。なお、心拍と脈拍は医学的に異なる概念である。心拍は、胸部聴診心電図で確認できる心臓の拍動であり、脈拍は手首や首などで確認できる動脈の拍動である[22][23]。心電図上、心室細動・心室頻拍以外の波形が認められたり、たとえ、その波形が正常であっても、脈拍が確認できなければ、心停止である[24][25]。このような状況は無脈性電気活動と呼ばれる[26]。心電図上、電気活動がない、いわゆるフラットな状況は心静止と呼ばれ、心停止の一種ではあるが、より深刻な状況である[26][27][28]

心肺蘇生除細動により、心停止を回復させ、自己心拍を再開(英語版)させることができるが、そのような介入がなければ、心臓突然死として知られる致命的な状況となる[13][29]。心停止後の心肺蘇生の開始は早ければ早いほど、生存確率は高まる[30][31]

他の、一般的ではない原因としては、大出血低酸素症、極度の血中カリウム濃度低下感電心不全、遺伝性不整脈、激しい運動などがある。これらの心停止に対しては、それぞれの原因に対する治療、例えば大出血に対しては止血、低酸素症に対しては酸素供給の再開など、根本の治療を行わねば、生存は期待できない。

場合によっては、死亡が予測される重篤な疾患の結果として心停止が起こることもある[32]が、疾患の末期老衰など蘇生しても継続的な延命が困難な状況では、事前の本人もしくは家族による蘇生を行わないという意思表示(蘇生措置拒否、DNR)があれば、心肺蘇生の対象とはならない[33]。「蘇生措置拒否」も参照

心停止は、それが起こった状況で分類されている。例えば、心停止の瞬間を目撃した人がいたかどうか(目撃のある心停止、目撃のない心停止)や病院内で発生したかどうか(病院内心停止、病院外心停止)[34]。これらの状況により、心停止の治療戦略が変わり、予後も変わる[34]

病院内でDNR対象外の予期しない心停止もしくはそれに準ずる事態が発生した場合は、蘇生対応のための医療従事者の緊急召集を意味するコード・ブルー(英語版)が発令、放送される。病院外で心停止に遭遇した場合、周囲の助けを求め、救急医療サービス(日本では119番)に連絡する[35]

心停止の治療には、直ちに心肺蘇生を行い、ショックで治療可能な不整脈(心室細動か心室頻拍)が存在する場合は除細動を行う[6]。病院内では除細動器が用いられるが、病院外の公共の場所では医療従事者以外でも使用できる自動体外式除細動器(AED)が用いられる。心肺蘇生には、一次救命措置(BLS)と二次救命処置(ALS)の2つのプロトコルが確立されている[36]。BLSは医療従事者に限定しない一般人をも対象として、講習が開催されている。ALSにおいては、アドレナリン静脈注射酸素投与気道確保など、様々な医療処置が行われる[37][注釈 2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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