徴兵制度(ちょうへいせいど、英語: conscription)とは、国家が憲法や法律で国民に兵役に服する義務を課す制度で、志願制度(募兵)の対義語。
北アフリカ諸国の他、ベトナム、イスラエル、ウクライナ(2013年一旦廃止、翌2014年復活)、キプロス、韓国、スイス、オーストリア等、CSTOに加盟しているアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ロシアなどでは徴兵制が続いているが、冷戦終結後は、西側諸国ではフランス(2002年[注釈 2]。2019年より、普遍的国民奉仕として復活[注釈 3])、ドイツ(2011年)のように徴兵制度を廃止する国が増え、また、実施している国でも良心的兵役拒否した場合の代替服務を選択可能とする制度を導入している場合が大半である[1][2][3]。
NATOに加盟している28か国を例にとると、90年代から00年代にかけて冷戦の終結に伴い次々と徴兵制を廃止し、2010年12月時点でNATO加盟国において徴兵制を採用している国はエストニア、ギリシャ、デンマーク、ノルウェーの4か国にまで減少した[4][5]。しかし、2010年以降、フランスはテロの脅威を理由により2019年新学期開始時に「普遍的国民奉仕」として導入したり[6][7][8]、リトアニアのようにロシアによるクリミア併合によるロシアの脅威を理由[9]に徴兵制へ戻すなど、徴兵制を復活させている国もある。日本においては、第二次世界大戦後、一貫して志願制が維持され自衛隊が構成されている。
徴兵制による国民皆兵武装を基盤として、永世中立を掲げるスイス[注釈 4][10]とオーストリア[注釈 5][11]では国民投票で徴兵制の廃止が否決され、2013年に徴兵制を廃止したウクライナでは、翌年発生したクリミアへのロシア侵攻の後に徴兵制が復活する[12]など、国是や国家を取り巻く情勢によって左右されている状況にある。また、2010年7月に廃止していたスウェーデンでもウクライナと同様に、ロシアの脅威を理由に、2018年1月から新たに女性も対象にした徴兵制が復活することになった[13]。常備軍を持たないコスタリカでは「有事の際に徴兵制を実施できる」旨が憲法に明記されている[14]。 この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
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出典検索?: "徴兵制度"
徴兵とは国民を兵士として召し上げ(徴)、兵役の義務を課すことであり、徴兵制度は憲法や法律により「一定の年齢に達した国民」に対し、「一定の期間兵役を課す」ための組織化した制度を指す。徴兵制において兵役は国民の義務的な負担として扱われ、国防への負担と貢献が求められる。徴兵制は軍隊に対する安定的な人材の確保が長期にわたって容易であるものの、国民に対する負担は大きい。なお、一般的には、徴兵制度があり兵役の期間を満了した後もなお、定年まで徴兵を志願し続けることも可能。近年は、韓国や北朝鮮など一部の国家を除いて、ほとんどの兵役制度がある国家で良心的兵役拒否権が合法的に認められ、介護や医療、救急などの代替役務が制度化されている。
徴兵制度はほとんどの場合、徴兵に適した、おおむね18歳?20代の成人男性が対象となり、さらにその徴兵も兵役の適格性を調査するための徴兵検査を経て、その検査に合格した人材が徴兵される。また、代替役務などの選択肢が用意された徴兵制度は選択徴兵制と呼ばれることもある。
古来より兵役・戦役に応ずることは市民の権利と密接に関係しており、徴兵制は男性のみに普通選挙権などの特権を与える根拠になってきた。現在[いつ?]では男女平等の観点から特権が廃止される傾向が強く、逆に男性のみに義務が発生することへの不平感があるという意見がある。
社会制度として確立された徴兵制度とは異なり、軍隊や部隊が住人や難民を強制的に徴発し、兵や水兵として利用することを特に強制徴募と呼ぶ。前近代のあらゆる地域でこの形態での徴発が行われたが、国家の近代化・市民化にともない衰退し、戦時国際法・ハーグ陸戦条約等では禁止されている。現代でも低開発諸国の紛争地域ではしばしば難民や地域住民への強制徴募が問題となる。
徴兵制度は宗教戦争の頃から、市民兵および市民社会の成立と同時に生まれて、18世紀のフランス革命(ジャコバン独裁期)の国家総動員において近代的な徴兵制度が成立した。19世紀にはフランスを模範としてプロイセンでも採用され、兵役制度として確立される。日本では1873年の徴兵令により確立され、イギリスやアメリカ合衆国でも第一次世界大戦により徴兵制へ移行した。先進諸国では、高度化する近代的な軍事兵器を運用するには高度な教育を受けた専門の将兵が求められるようになると、徴兵による人数の確保よりも採用する兵士の質の向上が求められ、冷戦の終焉に合わせて徴兵制度を廃止または縮小する先進国が多く、新たに導入する国はあまりない。