微細構造定数
fine-structure constant
記号α
値7.2973525643(11)×10?3 [1]
相対標準不確かさ1.6×10?10
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微細構造定数(びさいこうぞうていすう、英: fine-structure constant)は、電磁相互作用の強さを表す物理定数であり、結合定数と呼ばれる定数の一つである。電磁相互作用は4つある素粒子の基本相互作用のうちの1つであり、量子電磁力学をはじめとする素粒子物理学において重要な定数である。1916年にアルノルト・ゾンマーフェルトにより導入された[2][3]。記号は α で表される。
歴史的な経緯から、複数の電磁気量の単位系とそれらが基づく量体系があるが、微細構造定数は無次元量で、単位はなく、量体系に依らず値は変わらない。微細構造定数の値は α = 7.297 352 5643 ( 11 ) × 10 − 3 {\displaystyle \alpha =7.297~352~5643(11)\times 10^{-3}}
である(2022CODATA推奨値[1])。微細構造定数の逆数(測定値)もよく目にする量で、その値は α − 1 = 137.035 999 177 ( 21 ) {\displaystyle \alpha ^{-1}=137.035~999~177(21)}
である[4]。 微細構造定数は α = Z 0 e 2 2 h {\displaystyle \alpha ={\frac {Z_{0}e^{2}}{2h}}} と表される。ここで、h はプランク定数、e は電気素量、Z0 は自由空間における電磁波の特性インピーダンスである。電磁相互作用の大きさを表す結合定数である電気素量を、量子論を特徴付ける普遍定数であるプランク定数で関係付けている量といえる。特性インピーダンスは複数ある電磁気量の体系のうち、どの量体系に基づいているかを決める定数である。 国際量体系 (ISQ
他の物理定数との関係
α = e 2 4 π ϵ 0 ℏ c = μ 0 e 2 c 4 π ℏ {\displaystyle \alpha ={\frac {e^{2}}{4\pi \epsilon _{0}\hbar c}}={\frac {\mu _{0}e^{2}c}{4\pi \hbar }}}
となる[5]。素粒子物理学ではしばしば c = ħ = Z0 = 1 に固定する自然単位系が用いられるので[6][7]
α = e 2 4 π {\displaystyle \alpha ={\frac {e^{2}}{4\pi }}}
ガウス単位系は Z0 = 4π/c とする量体系に基づいているので
α = e 2 ℏ c {\displaystyle \alpha ={\frac {e^{2}}{\hbar c}}}
である[9]。原子単位系では e = ħ = 1 に固定するので α = 1 c {\displaystyle \alpha ={\frac {1}{c}}}
となる[10]。 微細構造定数は同じ次元を持つ物理定数の間の比例係数となる。 a 0 = α − 1 λ e 2 π {\displaystyle a_{0}=\alpha ^{-1}{\frac {\lambda _{\text{e}}}{2\pi }}} であり、古典電子半径 re は r e = α λ e 2 π {\displaystyle r_{\text{e}}=\alpha \,{\frac {\lambda _{\text{e}}}{2\pi }}}
物理定数の比
長さ